概要
CV:かかずゆみ
カミザケ コクリュウとは、『メダロット魂』のキャラクター。
メダロット社とメダロットを憎んでおり、絶大な財力と影響力を使ってデスメダロット社を設立してデスメダロットを開発させた※少年。
最強のデスメダロットを探し求めている。
その性格は悪い意味で子供らしく、我儘かつ邪悪と言えるほど冷酷で、気まぐれと言える欲求のために大人を含む何人もの人間を振り回すこともしばしば。
ギンカイとは16話時点から1年前、ベイヤニットとささいなきっかけで喧嘩をした後に出会い友達となったが、コクリュウにとって友達とは自分に従ったり命令通りに動いたりする人物と解釈していたため、後に見限られた。
デスメダロットの強大な戦闘力を餌に何人もの子供を手下として従え、多くのデスメダロッターを生み出した。
※実は作中でコクリュウが開発したとは言われていない。ただしプログラミングなどの技術についてはプログラマー並みの知識があり、例えばオーバーフローを起こさないように制限していたグレインの制御プログラムを解除するなどは行える。
デスメダロットの開発に携わるほどなので同年代の少年と比べると知能は明らかに突出している一方、視聴者の中には人間味を感じないと言われるように、感情的にならずに一方的に我儘を通しては飽きたり、デスメダロットがロボトルに敗れたりしたらそのデスメダロット自体をすぐに見限るなど、考え方に短絡さが目立つ。
デスメダロットもまたネオデスメダルのブラックビートルを除き、ロボトル以外の行動については単純な内容であっても体を動かせない特徴があり、まさに子は親に似るといったところだろう。
ロボトルの考え方も「強いパーツのメダロットがあれば勝てる」「ルールを守らなければ勝てる」といった思考に陥っており、既存のメダロットを憎む理由は不明ながら、自分の性格とメダロット社の理念が一致しないために、メダロット社のロボトルを否定的に見ているのは間違いない。
あえて辛辣な表現をするなら、自分のメダロッターとしての実力の無さを棚に上げて、自分の頭脳をもって戦えるルールのロボトルを行えるようにするために、デスメダロットを開発したのかも知れない。
もっとも、ロボトル中の弾丸の転送やパーツ交換、1対複数人のロボトルや途中乱入こそ卑怯な手段ではあるものの、デスメダロット自身の性能は既存のメダロットより高性能であるため、後半になるにつれコクリュウはそこまで卑怯なロボトルを行なっていない(メタ的には元々コクリュウの出番の無い回が後半には多いのも理由であるが)。
大企業社長である父親はコクリュウが産まれてから現在のコクリュウが住む別荘を建てたが、仕事の多忙さのため幼少期から息子の彼と疎遠(それどころか生まれてから一度も会ったことが無い)であり、唯一自分に親身に接していた肉親である母親を幼少期に失った過去を持つ。
それ以来表面上は喜怒哀楽を見せることが無くなり、現在の性格の形成に繋がった模様。
しかしなぜルール無用のロボトルに固執するのかは最後まで明かされなかった。
最強の戦闘マシーンと言えるデスメダロットグレインを開発し、天領イッキ達の前にラスボスとして立ちはだかるが、イッキの説教やグレインのネオデスメダルに残っていたブラックビートルの意識が身を挺してコクリュウを崩壊するデスメダロット社の瓦礫から庇った事、コクリュウの父親がコクリュウに親子として接する努力を始めた事をきっかけに改心した。
ちなみにラストはコクリュウの服装が紺寄りの衣装から薄青調に変わっている他、コクリュウの態度も今までの良くも悪くもフラットなものからよそよそしいものへと変化し、友達として付き合おうとしている様子がうかがえる。
デスメダロッターに始まりメダロッターに終わるコクリュウの考察
以下の文章は上記の概要を踏まえた考察に過ぎず、必ずしも本編中の展開に即した内容とは限りません。ご注意ください。
この文章の筆者の主観だが、コクリュウが作中で人間らしさを見せたのは、イッキに「ひとりぼっち」と指摘された時、ブラックビートルに助けられた時と、幼少期の母親を失うまでだったと考える。
それ以外のコクリュウは概要の通り、我儘かつ邪悪と言えるほど冷酷で、気まぐれと言える欲求のために大人を含む何人もの人間を振り回す人物である。
一応、ロボトルに負けた時は負け惜しみを言ったり険しい表情を見せたりすることもあるが、同年代の子どもに比べると感情は表に出にくい。
友達に対する認識も歪んでおり、年齢差などの違いはあるかもしれないが、作中の扱いは側近のウラガスミと大差ない他、イッキにひとりぼっちと指摘された際に反論するも、その時に出たひとりぼっちではない相手は「手下」や「執事」と言った自分の我儘にとって都合の良い存在ばかりであった。
ただしギンカイや他のデスメダロッターとウラガスミについて、指示する内容はあくまで彼らが行える範囲できちんと差別化されており、客観的に見て必ずしも荒唐無稽な内容とは限らない。
例えばデスメダロットの性能の高さを鑑みれば、ルール無用のロボトルを行なった上で世界大会準優勝者の天領イッキに勝つことは本来なら可能な範疇にある。
しかしイッキとメタビーには、世界大会準優勝に至るまでのロボトルの経験、ロボトル中のイッキの閃き、何より相棒のメタビーと以心伝心と言えるレベルにまでお互いの心と考えが通じ合う熱い関係があるために、デスメダロットやデスメダロッターをも正々堂々なロボトルを行なった上で倒すことが可能であった。
コクリュウも含めたデスメダロットやデスメダロッターの直接的な敗因は、そのイッキとメタビーを軽視した結果であるが、一方で謎のメダロッターなどイッキとメタビーほどの実力者でなければ良い勝負ができる……はずだった。
その謎のメダロッターとドークス(後にティレルビートルも加入するが)の戦い方は奇しくもデスメダロッターと同じ戦い方であったため、やはりデスメダロットとデスメダロッターでは勝てなかった。
謎のメダロッターについて擁護しておくと、正々堂々なロボトルで勝てるのはあくまでイッキとメタビーが実力者だからなのが大きく、一般的なメダロッターとメダロットでルール無用のロボトルに勝つなら相手の土俵で戦う方が手っ取り早いのである。
このためコクリュウはデスメダロットはおろか自分が考えたルールにさえ見放されたとも言える訳だが、ここで話を最初の「コクリュウの人間らしさ」に戻す。
そもそもコクリュウが今の性格に至った経緯は、父親に愛情を感じられないまま、親身になって愛情を注いでくれた母親が死別したことにある。
これは言い換えればコクリュウにとって初めて自分の思う通りに事が運べないばかりか絶対的に覆せない事象(コクリュウにとっては「死」のシンボルとも言える)であり、既存の正々堂々なロボトルもまた上記のようにメダロッターとして未熟なのを鑑みるとコクリュウには絶対に勝てないルールであったために、それを覆すべく自分やデスメダロット社が編み出したのがデスメダロットやルール無用のロボトル(コクリュウにとっては自分を生かす「生」のシンボル)なのではないだろうか。
なお、あくまでルール無用であるのに「ロボトル」と言い張っているのは、一応はメダロット同士の戦いであることを意識していると考えられるからであり、例えば作中の違反行為の中にメダロッターが不意打ちでメダロットを襲う描写は見当たらない。
また、デスメダロットは人間と比べるとパーツ交換をすれば損傷を直せるし、デスメダルも量産できるものであるため既存のメダロットと比べると「魂」という概念が希薄であることから、デスメダロットもデスメダルも自らが経験した「死」への悲しみからの逃避のために開発させたとも考えられる。
このためデスメダロットやデスメダルは、精神面で幼いコクリュウや、繊細な子どもの自尊心を守るような「強さ」にこだわった設計なのではないだろうか。
一方、その自尊心が肥大化する危険性は考えていなかったようだ。
デスメダロットの開発者の一人で謎のメダロッターこと大空ユウヅルの父・マイヅル博士は、グレインに自分の息子のメダロットが破壊されそうになるまでは改心しなかった。
また、最終話でバッカス財閥の株主は強いデスメダロットを提供することが子どもたちのためになると信じていたが、デスメダロット社の電力室でロボトルしていたのもあり自らが危険な場所に居ることを鑑みずただ純粋に相手を破壊することだけを考えるコクリュウの冷酷で向こう見ずな姿に、ただ強いメダロットを開発し提供だけしても、デスメダルはもちろんデスメダロッターにも何らの成長も無いことを痛感し、メダロット博士の理念が正しかったことを実感している。
ところで、コクリュウにとってデスメダロットやデスメダルは自分を生かすための「生」のシンボルであるが、そうなると意志を持った(コクリュウに限っては「生」のシンボルとは限らない)ネオデスメダルの存在が矛盾してしまう。
しかし、ネオデスメダルの開発経緯については必ずしもコクリュウだけの問題ではないことに注意が必要である。
マイヅル博士は作中開始から5年前にメダロット社からファーストメダルを奪取した後、デスメダロット社に転職し、遅くともブラックビートルが作中で初登場する前までにネオデスメダルを開発した。
コクリュウの年齢は定かでは無いが、コクリュウがデスメダロットの開発に携わるのが先かネオデスメダルの開発開始が先かという差なので、ネオデスメダルの開発についてコクリュウがどこまで関わっているかは怪しい所。
しかし意志を持ったブラックビートルに対し過酷な戦闘を強いたのは間違いなくコクリュウであり、下手したら自らと同じような経験をブラックビートルに負わせてしまう所だったことも踏まえると、デスメダルに意志を持たせることは「強いデスメダロットが欲しい」と考えるコクリュウにとってそれ以外の考えは見られず、ウラガスミが目論んでいた「ブラックビートルがコクリュウの友達になれる」という希望は望めそうもない。
つまりネオデスメダルはコクリュウにとって「強いデスメダロット」のパーツになれば御の字といった実験程度の認識であり、ネオデスメダルがどんな感情を持とうが一切無関心であった。
だからこそ最強最悪の兵器かつ破壊衝動によりメダルの意思を奪う(ブラックビートルの意志を失くすため元来は「死」のシンボルであるが、コクリュウにとっては最強のデスメダロットであるため「生」のシンボルである)グレインにネオデスメダルを装着することに躊躇が無かったのである。
以上の状況でコクリュウが感情を露にした相手が、自分の屁理屈であるルール無用のロボトルや強いデスメダロットを相手に真正面から受け止め続け、(コクリュウにとっては屁理屈だが)自分のために説得したイッキなのであった。
さらに自らが破壊しようとしていた元来の「生」のシンボルであるメタビー・ドークス・アークダッシュや、グレインのパーツを装着し意志を失くしたはずのブラックビートルによってコクリュウは崩落するデスメダロット社から救われ(これは即ち今までのコクリュウにとっての「生」のシンボルの喪失も意味するが、同時に人間らしさという元来の「生」のシンボルを取り戻したとも言える)、コクリュウの父親が家族として会うことを望んだことも相まって改心し、メダロッターという新たな人生の第一歩を踏み出したのだろう。