曖昧さ回避
- 真名:征遼の睟(せいりょうのすい)
- 炎の色:碧玉
概要
19世紀末~20世紀初頭で特に活動的だった<革正団>のメンバーの1人である “紅世の王”。
1865年にパリで設立された万国電子連合において電信を使って自身の思想宣言を行った為、一部では単なる思想集団で確固たるリーダーがいない <革正団>の思想的指導者ではないかと睨まれていたが、実際にはあくまでも<革正団>の思想に共感し(少なくとも劇中の描写から察するに)目立った活動を積極的行っているに過ぎず、彼が組織の創設者という訳ではない。
“こちら側(この世)”では人化の自在法を使って法服とも見える豪奢な衣を身に纏い、足元まで波打ち届くような髪が特徴的な妖艶な美貌の長身の男性の姿で顕現しており、ハワイ島のナウナロア山の地下基地を活動拠点として活動している。
なお、同じ<革正団>のメンバーであり、後に物語の重要な役割を担う事となる“吠狗首”ドゥーグとは200年来の付き合いで、彼からは「お頭」と呼ばれて慕われていた(ただし本人は仕切りに「ボスと呼びなさい」といっていた…)。
自身を含めたあらゆる物体や空間に碧玉色に輝く縦に裂けた無数の目の形状の自在式を作り出し、それに別の自在式を組み込んで任意の場所で発動させる事が出来る自在法『呪眼(エンチャント)』を編み出した優秀な自在師であり、自身の目的を阻むためにやって来たサーレたちとの二度目の戦いの最中に突如として現れた『風の転輪』による傀儡の爆発から形成された自在式を誘導と牽引の複合式である事実を一瞬にして看破した事からもその実力のほどを窺い知れる。
また、彼の私室には大都市の図書館に匹敵するほどの膨大な量を誇る蔵書を揃えており、いささかの時間を掛けてそれらに記されていた人間の格言を習得する等の行為を通して人を喰らう“徒”と、“徒”に喰らわれる人のどうする事もできない関係を憂い、“人と徒との明白な関係”を築き上げる為に<革正団>の一員になったという経緯を持つ。
急進的な思想と理性的な態度を併せ持っており、志を同じくする者ならばそれがたとえ人間でも、生物ですらない“燐子”でも、敵対関係である筈のフレイムヘイズにすらも分け隔てなく接する人物で、良し悪しは別としてただ単に自身の欲望のままに“存在の力”を搾取して貪り続けている“紅世の徒”たちとは一線を画す革命家。
劇中では人間とただ“徒”に食われるだけの人間との関係を打破するためにダンタリオンの協力の元、自身の命を掛けて『オベリスク』(正式名称【我学の結晶エクセレント27071-穿破の楔】)を使って全世界に自分たち“紅世の徒”の存在を人間たちに知らしめ、この世の本当の事を宣布する為に自分たちの活動拠点が置かれたハワイ諸島を中心に6年の歳月をかけて準備を進めていたが、その急性すぎる思想やその行動によって世に様々な災いを齎す可能性が強い事などから危険人物としてフレイムヘイズから睨まれる事になる。
そして彼の討滅及び、彼の行おうとしている行為の阻止の為に駆けつけた“鬼功の繰り手” サーレ・ハビヒツブルグたちや“約束の二人”たちの活躍よってその企図は阻まれてしまい、最後は『オベリスク』諸共“極光の射手”キアラ・トスカナにより討滅される最期を遂げる。
なお、彼のメッセージは極々少数の者たちの元へと届けられていたのだが、人間と徒の関係が激変する程の何かを残す程の物には至らなかった……………。
しかし彼は討滅される直前に自身の行為が失敗する事を既に悟っていたのか、同志の1人であるハリエット・スミスには、絶対に<革正団>に関わらず、見聞きした事を後世に伝えるように頼み、ドゥーグには自分の思想と“徒”側の意見の全てを記した本をアメリカで活動している同志に渡すように託しており、後にドゥーグが託された本の写本が<仮面舞踏会>の本拠地である『星黎殿』の書庫に一冊所蔵され、この写本を読んだ“祭礼の蛇” 坂井悠二の信念に多大なる影響を与える事になる。
そのような経緯から彼の思想は後々まで連綿と受け継が、彼の掲げた理想は物語の終盤でようやく芽を出したともいえる為、結果的には彼の理想は少しずつではあるが実を結び始めたともいえる。