キアラ・トスカナ
きあらとすかな
「私の前には、今、世界を危険に晒すものがある……だから、阻む」
契約を結び、人間としての過去・現在・未来を捨てることによって、その運命の空白に異世界人“紅世の徒”を宿すことで生み出される元人間の異能者フレイムヘイズの少女。
契約者は、紅世の王“破暁の先駆”ウートレンニャヤと“夕暮の後塵”ヴェチェールニャヤの姉妹二人組みであり、通常の契約体系は1:1であるため非常に特異である。
神器は鏃型の髪飾り“ゾリャー”であり、二個一組で存在する。
見た目は15歳程度のおさげ髪の少女だが、この姿は1890年頃のものであり、フレイムヘイズの性質によって不老となっている。
優しく生真面目なしっかり者だが、やや口うるさく世話焼きな面も見られる。契約してそれなりの期間が経つが、精神年齢も少女のままに近い。忌み嫌われがちな例の昆虫との邂逅で軽いトラウマ級のショックを受ける程度には子供らしい。
“絢の羂挂”ギゾーのフレイムヘイズ『鬼功の繰り手』サーレ・ハビヒツブルグを師匠としており、彼らを強く慕っている。サーレの手を握ると心が落ち着く。
現在ではサーレと恋人同士になっており、本人たちは隠しているらしいが、息の合ったコンビネーション以上に痴話喧嘩やペアルックを着るなど、傍目にもそうと分かるほど仲が良い様子。
鏃という武器型の神器が示す通り、矢としての高速かつ貫通力に長けた自在法を用いる。
人間が乗れるサイズまで神器を融合・拡大し、オーロラを展開させ、さながら戦闘機のように高速飛行する戦い方が主流。
鏃を矢に充てての弓矢攻撃もできるが「自分自身が矢になったほうが強い」ということである。
戦闘機大の鏃の飛行性能は高く、数千キロ離れた場所へ休息なく航行可能。直接特攻による突破力の高さ、再生が容易なオーロラの両翼によるブレード攻撃等、現実の戦闘機では自爆特攻レベルの攻撃も容易にノーリスクで実現できる。
『極光の射手』の力を使いこなせていない頃は、二つの鏃を両端にした極光の弓を作り出し、そこから極光の矢を放つ戦闘スタイルをとっていた。
19世紀末、早くに母をなくし父一人娘一人の家庭で育つ。父が“徒”に殺される間際に契約したが、見えたオーロラの美しさに見惚れて父を見殺してしまったため、自身の炎の色であるオーロラ色の極光に強烈な自己嫌悪と罪悪感を抱いてしまう。こうしたトラウマから、契約したての頃は事あるごとに暴走していたが、サーレとギゾーに暴走を押さえ込まれて以降、彼らを師匠と慕うようになる。彼らと行動を共にすることで落ち着きを取り戻し、『極光の射手』の真の力を使えないまま戦歴を重ねていった。
契約から約10年後の1901年、ハワイ共和国ホノルルの外界宿(アウトロー)再建のために、サーレたちと共にハワイを訪問。現地で活動する[革正団(レボルシオン)]との戦いを通じてトラウマを克服し、『極光の射手』の真価を発揮して[革正団]の活動を阻止した(XV巻)。
本編では対[[仮装舞踏会(バル・マスケ)]戦に向けてフレイムヘイズ兵団に加わり、サーレと共に『犀渠の護り手』ザムエル・デマンティウスの代理として総本部のチューリヒへ来たが、痴話喧嘩で逃げたサーレを追って地中海のあたりに出向く(XVII巻)。
サーレと合流後は追撃部隊の先鋒として、本拠地『星黎殿』への撤退を急ぐ[仮装舞踏会]ギリシア方面軍・エジプト方面軍との戦闘に参加した(XIX巻)。
その後は輸送機で主戦場に向かうが、途中で“祭礼の蛇”の『大命』宣布を聞かされた事でフレイムヘイズ兵団の敗北を悟らされるも、自身の役目を果たす為に戦い続ける事を決断。その後、サーレと共にマージョリーの誘導標識によって高速で中国南西部の戦場に接近し、『グリペンの咆』『ドラケンの哮』、そして“ゾリャー”の突撃でシュドナイに不意打ちを加えた後、シャナとヴィルヘルミナとマージョリーを拾い上げて戦場から離脱して香港へと向かった(XX巻)。
フレイムヘイズ兵団が大敗した半日後には、飛行機でニューヨークに移動、J・F・ケネディ空港でシャナと共に到着したサウスバレイとウェストショアを出迎える。その後、『イーストエッジ外信』でシャナが『大地の三神』の同行を取り付けるのを見届けた。御崎市決戦では、“ゾリャー”にシャナとヴィルヘルミナとサーレを乗せて、南方から高速で突入する。守備隊のオセが操る幻術に取り巻かれるが、シャナの一撃により難なく突破して『真宰社』へ到達する。そして、頂上に向かうシャナとヴィルヘルミナと別れて、『真宰社』防衛機構である数十体の鉄巨人とマモンを相手に空中戦に入る(XXI巻)。
その後、ダンタリオン討滅に逸るサーレをたしなめて、“ゾリャー”で『真宰社』を周回しながら、サーレのダンタリオンへの逆撃の罠を作る支援をした。それが成功し、唖然となるマモンに致命傷となる一撃を与えたが、突如湧き上がった『ダイモーン』の靄の前に、追撃はできなかった。新世界『無何有鏡』が創造された後は、『天道宮』をシャナたちの元まで誘導してきた。その後、サーレたちと共に新世界へ旅立った(XXII巻)。
新世界へ渡り来た後は、“紅世”に関する記憶や知識が再現されなかったことで混乱する新世界の外界宿の再編成の為に、暫定首班の座に就任させられたサーレの助手として、チューリヒで書類仕事に忙殺されている。しかし、時折仕事から逃げ出したサーレを追っては捕まえて連れ戻しているなど、相変わらずである模様(外伝『ホープ』)。
シャナとは精神的な意味で同年代フレイムヘイズ仲間であるキアラ、そんなオイシイ立ち位置もあり等身大で登場。
どういうわけかニオイフェチになっており、御崎市の面々の体臭を嗅いで回っていた。
ついでに途中から神器がクナイに変わった。