この項ではフランスの原子力空母について扱う。同名の政治家についてはシャルル・ド・ゴールを参照のこと。
概要
シャルル・ド・ゴール(Charles de Gaulle)は、フランス最初で、唯一の原子力空母である。1986年『リシュリュー』として発注されたが、その後艦名を変更した。1994年5月7日に進水したが、就役は2001年5月18日であり、財政状況の悪化から遅延したものと思われる。艦番号はR91、母港はトゥーロン。
来歴
フランス海軍は、1960年代からクレマンソー級空母を運用していたが、老朽化が目立ち始めた。そこでこれらを更新するために、原子力空母を建造することを決定し、その第一号となったのがド・ゴールである。近年は過激派武装勢力への空爆にも投入され、現在は近代化改装の最中である。
設計
実際に建造されたフランスの軍艦としては、第二次大戦期の戦艦以来最大で、満載排水量は42,500t。蒸気カタパルト、アングルドデッキ、アレスティングワイヤーを装備した正規空母である。主な艦載機は国産のラファールだが、このためアメリカ海軍のF/A-18や、E-2などの固定翼機を運用することも可能である。ステルス設計を取り入れており、艦橋などは傾斜のついた外壁で構成され、マストも周囲を閉じたものである。艦首はエンクローズドバウ(閉じた艦首)とされている。このほかスタビライザーの装備などで波には強く、横揺れが少なくなっているとされる。
しかし、のちに修正されたとはいえ様々な設計ミスがあり、着艦甲板長さの不足や、騒音が問題になることもあった。これらに加え、舷側エレベータの性能を十全に発揮するためには艦型が小さく、エレベータを下げると波を被ってしまうと言われる。ド・ゴールが、正規空母として十分ではなかったことを受けて、もう一隻の原子力空母の整備を迫られたフランスは、イギリスとの共同建造で、より大型のPA2を計画することになる。
諸元
満載排水量 | 42,500t |
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全長 | 261.5 m |
全幅 | 64.36 m |
喫水 | 9.43 m |
機関 | K-15加圧水型原子炉2基、蒸気タービン2基、補助ディーゼル4基 |
速力 | 27ノット |