概要
「シールド工法」と呼ばれるトンネルの掘削方法に用いられる、先端に円盤上に並べられたカッターが付いた円筒状の重機。
シールド工法とは掘削中のトンネルの終端をシールドと呼ばれる壁で一時的に支え、その後方で壁面を組み立てながら少しずつ前進していくという方式の掘削方法である。そのためシールドマシンの「シールド」は先端の円盤ではなく側面の円筒状の部分を指している。
マシンの種類としては大きく「泥水式」と「土圧式」の2種類に分けられる。前者は掘削した土砂を泥水として、後者は土砂の状態のまま外部へ送り出す方式となっている。
構造
前方には強靭な超合金性の「カッタービット」が並べ立てられた円盤「カッターヘッド」が付いており、カッターヘッドには掘ることで生じた土砂を後方へ排出するためのスリットが設けられている。
カッターヘッドのすぐ後ろには掘削した土砂を貯める部屋「チャンバー」が設けられている。このチャンバーとトンネル外部を繋ぐシールド内部は泥水加圧式と泥土圧式で構造が異なっており、泥水式の場合は水をチャンバーに送り込み泥水として汲み上げ外部へ送る送水管と排泥管が、土圧式の場合はチャンバーの土砂を掬い上げるスクリューコンベアと掬い上げた土砂を外部へ送るベルトコンベアが設置されている。
シールドの内部には先述のチャンバーと排泥設備の他にも、壁面の資材となるブロック「セグメント」を設置するための上下左右360度把握可能なアーム「エレクター」や有人作業用の架台が備わっている。
シールド周辺はエレクターが設置したセグメントの側面を押し出し、反力で本体を前進させるためのシリンダー「シールドジャッキ」が内壁をぐるりと取り囲んでおり、シールド終端にはセグメントが崩落しないよう岩盤との間に「裏込め材」呼ばれるコンクリートやモルタルを塗布するための穴が開いている。
然るべき所まで掘り進め掘削工事が完了したシールドマシンは脇道まで掘り進め自らを地中に埋める形で廃棄したり、内装品を撤去されカッターヘッドとシールドをトンネルの壁面に転用する形で残されることが多いが、カッターヘッドだけ搬出され開通記念のオブジェとして飾り立てられたり、解体・搬出して再利用されることもある。