声(アニメ版) - 速水奨
人物
世界に20人ほどしかいない「鼻(ネ)」と呼ばれる、天才調香師(パフォーマー)。
香道の家元で現在は勘当されている。外見や外面(だけ)は超絶美男。
二千種以上の香りを嗅ぎ分け、その分析力はいかなる化学分析にも勝る。
体臭から人の健康状態や感情の動きを把握したり、100m以内なら誰の匂いか嗅ぎ分ける事が出来る。
体調を万全に保つのも調香師の仕事として、常に肉体を鍛錬している完璧主義者。
鼻が良過ぎる故に、ワサビが弱点。
香道の家元だけあって美術品や工芸品とも馴染み深く、フジタやサラとは何度も関わり合う。
アロマテラピーに関しても相当な知識と腕前を持つが、香りへの探求は狂気じみており、初登場回では顧客の目の前で大量の鶏を屠殺して生き血を浴びる(フジタ「頭のネジが2、30本はキレてるぜ……」)、常軌を逸した奇行が目立つ狂人。
女性に対しても(家宝を窃盗した女に非があるとはいえ)顔面を全力で殴打(アニメ版では描写がマイルド)したり、
気に入った体臭の少女に痺れ薬を盛り行為に及ぼうとしたなど、(特に登場初期は)非常に危険な男。
性格は一匹狼なうえにナマケモノで気まぐれ、表向きはアロマテラピーの講師としてホストめいて女性をメロメロにしているが、内心は自分好みの体臭ではない女を唾棄している。
誰か付けても似合う香水など無いが持論で、彼が香を作るのは気に入った体臭の女の為だけ。
フェイツイ(の体臭)を気に入って依頼を受けた他、サラ・ハリファの体臭に理想の楊貴妃の香り(挙体異香)を見出し執着。
藤田とはメインヒロイン・サラを巡り恋仇的ポジションになっていく。
活躍
18巻2話「奈翁(ナポレオン)のオー・デ・コロン」
翡翠(フェイツイ)からの依頼で、とあるフランスの政治家向けにナポレオンのオーデコロンを再現する事に。
初対面のフジタをカニくさいと称し、初対面から互いの印象は悪かった。
散々変態的な香への探求を見せた末に、完成したオーデコロンを堪能する前提条件として、半生を戦場に駆け抜けたナポレオンの香とは…
「死臭漂う戦場にあってこそ、血の臭いにまみれてもなお、眼閉じこの香りをかぐ者はあたかも天上極楽を見るが如し!」
と大量の鶏を肉包丁で屠殺し生き血を頭から被った。
その狂気はフジタをして「頭の神経の2、30本はキレてるぜ……」とドン引きであった。
19巻第6話「楊貴妃の香」(前編)(中編)(後編)、アニメ16話
アニメでは初登場にして唯一の登場回。
舞台で楊貴妃を演じることになった落ち目のベテラン女優・秋吉雅子の依頼で、体臭を楊貴妃の香りに改造する「体身香」による丸薬療法を行っていたが、サラがフジタから絵の代金を滞納していた秋吉への取り立てに行った際、サラこそが楊貴妃の香りに相応しい女と目を付ける。
秋吉そっちのけでサラの香りの演出を始め、サラの生理のタイミングを嗅ぎ分けてその日に入浴剤を使うよう指示。
体身香を服用させ、(その過程で散々サラの香りを嗅ぐ変態行動)サラの体に楊貴妃の香りを纏わせることに成功する。
そしてサラに痺れ薬を盛り、自由を奪われたサラを抱き抱えて寝所に運び、体か痺れて抵抗できないサラの全身を嗅ぎまわり、衣服をハサミで切り裂き(アニメではブラをはだけさせるに留まる)、衣服に染み込んだサラの匂いを堪能。
陶酔しながらガジン香炉に自らボルネオで採取した竜脳香を焚き、
襲おうとするも、香本の奇行を読んでワサビを仕込んでいたフジタの策で失神、サラは難を逃れた。
香本はその後もサラへの執着を捨てておらず、サラに警戒され藤田と犬猿の仲となる事となる。
…美少女に痺れ薬を盛って襲うというかなりヤバい展開であった。
24巻8話9話「千鳥香炉」
歌舞伎座座長から組香勝負で石川五右衛門ゆかりの「千鳥香炉」を奪取する。
加茂先生に連れられて歌舞伎見物に来ていたサラがそれを知り、千鳥香炉を返すよう要求(前回痺れ薬で襲われた経緯から警戒され、ワサビ持参)してくる。
最高の香りを持つサラとの再会を喜びつつ、サラに千鳥香炉を賭けた組香勝負を持ち掛け、負けたら脇の臭いを嗅がせるよう迫った。
ハンデとして中東出身のサラ有利な中東の香料での勝負となるも、圧勝。
脇を嗅がれる恐怖と敗北の失望感に打ちひしがれるサラの感情による体臭の変化を堪能しつつ、
落ち込むサラに、「千鳥香炉が伝説通りに鳴いたら香炉は返す」と再チャンスを与える。
フジタの助言で見事香炉を鳴かせたサラに、潔く負けを認めて去る香本だが、その真意はサラに嫌われぬよう本気でサラをフジタから奪うつもりであった。
31巻4話「貴婦人のセル」
サラがモナコで購入した香水ビンと思われたものは「フランコン・ド・セル」という、19世紀フランスで流行した気付け薬の容器だった。
仕事に疲れたOLを接客したサラが21世紀のセルを思い付き、中身のセル制作を依頼された香本は、サラの着眼点を称賛し仕事を受けた。
「癒しとは醜悪なる現実の肯定と逃避にすぎない!!現代の女性に必要なのは、正気を取り戻し、これに真っ向から立ち向かう誇りと勇気を取り戻すセル!!」
そのキツくも快い香りは仕事で追い詰められ疲れ果てていたOLを救い、彼女に勇気を与えた。
香本が受け取った報酬とは、サラの指先の匂いを嗅ぐ事で、その変態的ながら情熱的なアプローチに、サラの心が少しときめくのだった。
31巻5話「薔薇と怠惰(ローズ・アンド・ルーズ)」
ギャラリーフェイクを訪れ、フジタにボッティチェッリのヴィーナスのレプリカを求める。
その後、サラを己がプロデュースするキキ・ド・モンバルナス(香水の世界的ブランド)の新作発表会に招待。
ボッティチェッリのヴィーナスに描かれた花々で組み上げた香水を威風堂々と解説する香本に、サラは改めてこの男が世界的に活躍する一流だと認識した。
絵の商談でサラは吹っ掛けるが、更に上の金額を提示、それに相応しい絵を持って来いと言い放つ。
親しいフェイツイに根回ししてサラを炊き付け、偶然を装いサラを自分の植物園に案内。
現代の品種改良され見た目が美しいが香りが弱い薔薇ではなく、原種のオールド・ローズの魅力に見立ててサラを口説くが、
一見だらしないフジタが、傷んだレプリカのヴィーナスに生命を与えたのを目の当たりにしたサラは、香本のプロポーズを断るのだった。