以下、原作6巻のネタバレ注意
開催の経緯
先日62回目のゲーム・ロワイヤルパレスをクリアした幽鬼。しかしゲーム終盤、敵のチームに所属していた元弟子の玉藻を、自分の勝利のために殺害。今までの人生で他者と深く関わることのなかった幽鬼にとってそれは大きなショックを与えるものだった。
結果、元々持っていた気配を読む能力と、ロワイヤルパレスで身につけたばかりの反響定位の能力が合わさっておかしな方向に作用し、幽鬼は殺人ゲームを始めたばかりの頃の自分を模した幻影を見ることになった。
他人に対して鈍感で、余計なことを考えないかつての幽鬼に戻るために幻影は幽鬼の体を乗っ取ろうとし、幽鬼はそんな幻影に一方的に追い詰められる。しかし、幻影は理不尽な不思議パワーを持った存在ではなく、幽鬼の無意識のロジックにもとづいた行動をとっていた(例えば幽鬼が幻影から逃げ出した場合、幻影は実際に先回りできる近道をたどって幽鬼に追いついてくるため、瞬間移動して幽鬼を捕捉できるわけではない。ただし幻影だけに体力切れは起こさないが)。
そこで幽鬼はエージェントを通じて、反響定位を伝授してくれた師である鈴々に模擬ゲームの開催を依頼。ルールによって幻影の行動を制限し、ゲームの中で幻影を葬ることにしたのだった。
データ
タイプ | 脱出型 |
---|---|
プレイヤーの数 | 2人 |
プレイヤー
関係者
ゲーム内容
白い部屋ばかりの建物が舞台で、どこかに隠された幽鬼の洋服一式(いつものジャージ、ヘアピン、スニーカー)を見つけて脱出することでゲームクリアとなる。
2つの会場
このゲームの最大の特徴として、会場が2つ存在する。
幽鬼がプレイするゲームの建物とは別の建物に、鈴々たちがゲームを管理するための部屋がある。そちらの建物では、幽鬼以外に見ることができない幻影の代理となる協力者が、幽鬼と同じゲームをプレイする。2つの会場の進行状況をリンクさせており、足音に音響を使ったり、ドアを遠隔操作で開閉したりすることで幻影が実在するかのように幽鬼にみせかけることができる。
ただし、幽鬼側のゲームは幽鬼が実際に死ぬ可能性もあるが、協力者側は脱出型の練習ゲームのテストプレイとして鈴々たちが協力者に依頼しており、死ぬ心配はなく、目当てのものも洋服ではなく王冠となっている。協力者は別の会場で行われているのが本物の殺人ゲームだということも、そのプレイヤーが幽鬼であることも教えられていない。
……しかし協力者はそういった事情にすぐに気づき、幽鬼が抱えた問題についてもほとんど正解に辿り着いていた。
地上
部屋は正方形で5×5の合計25部屋となっている。
スタート位置となる部屋の壁には、ルール説明としてピクトグラムが用意されている。中には暴力禁止のルールもあるため、幻影から攻撃される心配はない。また、外へつながる両開きの扉の傍には銃器が設えられており、ジャージがないまま外へ出ようとすると射殺される。ジャージを破損させるのも禁止。
全部ではないが、部屋のどこかにあるスイッチを押すと金庫が出現する。金庫には番号の振られた問題が書かれており、正解すると攻略に役立つであろうアイテムが手に入るが、間違えるとペナルティがある(幽鬼側は死亡するリスクもあるが、協力者側はペナルティの規模に合わせて一定時間その場で待機させられる)。一方のプレイヤーが先にアイテムを手に入れると、もう一方のプレイヤー側では、対応している金庫の底の蓋が開いてアイテムはなくなる。
一部屋だけ、壁ではなく床に大きめの扉が設置されている。問題は「この問題は何番の問題であるか?」。で、誤答のペナルティは「この部屋の天井が落下する」。実は問題の番号は会場が魔方陣になるよう振られているため、他の部屋の番号を調べれば解くことができる。
扉を開けると、地下に続く縦穴が出現する。
地下
梯子を降りた先の地下は、ダンジョンのようになっている。攻略の役に立つアイテムが手に入る宝箱を見つけることができるが、トラップも設置されている。
地下にも問題は用意されている。真実の口を模したもので、正解すれば扉は開くが、間違えれば腕を切断される。
最後まで進むと、ジャージの入った金色の宝箱を開けるための最終問題に挑むことになる。問題は「地下の入り口からここまでの最短経路を全て足し合わせて入力せよ」で、誤答ペナルティは「宝箱の周囲が崩落する」。地下空間は5×5の25区画で分けることができ、地上の魔方陣と対応している。そのため、最短経路は対応する魔方陣の数字を足し合わせることで求めることができる。
しかしこの問題、誤答ペナルティとは別でトラップも用意されており、正解してもガラス張りの床に仕掛けられた落とし穴に落とされてしまう(幽鬼に先んじて問題を解いていた協力者はこれで脱落した)。宝箱は壁に固定されているため落ちる心配がない。
そして、どちらかのプレイヤーがジャージを発見した時点で暴力は解禁される。
これは、何があっても死ぬまでゲームを続けると思っていた幽鬼が、弟子を殺した程度で消沈していることに失望した鈴々による意地悪らしく(その後の幽鬼の行動で機嫌は治ったが)、エージェントは知らされていなかった。
結局、幽鬼は力で敵わない幻影から逃げて建物からの脱出を図るのだが……。
余談
スノウルームが収録された原作6巻の帯では、『ようこそ実力至上主義の教室へ』の主人公・綾小路清隆がコメントを寄せているが、彼も「白い部屋」に縁がある。