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セルビア・クロアチア語

せるびあくろあちあご

セルビア・クロアチア語(srpskohrvatski / српскохрватски又はhrvatskosrpski / хрватскосрпски )とは、セルビア人、クロアチア人 、ボシュニャク人、モンテネグロ人 によって話されている言語である。
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概要編集

インド・ヨーロッパ語族スラブ語派南スラブ語群に属する。

言語人口は約1500万人。

ユーゴスラビアでは憲法上の公用語と定められていた。セルビア共和国クロアチア共和国ボスニア・ヘルツェゴビナモンテネグロ共和国などで話されている。

標準語はいずれもセルビア・クロアチア語新シュト方言東ヘルツェゴビナ方言に基づいており、セルビア・クロアチア語は複数中心地言語のひとつに数えられる。一部の書籍では「ユーゴスラビア語」とも呼ばれることもある。

文法編集

形態論

文法現象

名詞

セルビア・クロアチア語の名詞類(名詞、形容詞、代名詞、数詞)は性、数、格のカテゴリーをもち、それぞれに応じて語形変化する。性は女性、男性、中性に、数は単数と複数に、格は主格、生格(属格)、与格、対格、造格(具格)、呼格の7格に分類される。


動詞

動詞は、アスペクト(完了体、不完了体)、態(能動態、受動態)、法(直説法、接続法、命令法)、時制(過去時称、現在時称、未来時称)、人称(1人称、2人称、3人称、無人称)、数(単数、複数)、性のカテゴリーを持つ。


統語論

語順

語順はきわめて自由である。単音節の語で、アクセントを持たない語は、前の語と一緒に読まれたり、うしろの語と一緒に読まれるため、たいてい文頭から2つ目に置かれる。例として疑問詞のliやコピュラ動詞のsam, si, je などがある。


発音編集

母音

i, e, a, o ,u の5つの母音があり、それぞれが長母音にも短母音にもなる。長母音は短母音の約2倍の長さで、音質は変わらない。文字と発音は以下のように対応する(ラテン文字/キリル文字 )。

・A a / А а [a]

・E e / Е е [ɛ]

・I i / И и [i]

・O o / О о [o]

・U u / У у [u]

子音

25個の子音がある。文字と発音は以下のように対応する(ラテン文字/キリル文字 )。

・B b / Б б [b]

・C c / Ц ц [ts]

・Č č / Ч ч [tʃ]

・Ć ć / Ћ ћ [tɕ]

・D d / Д д [d]

・Dž dž / Џ џ [dʒ]

・Đ đ / Ђ ђ [dʑ]

・F f / Ф ф [f]

・G g / Г г [g]

・H h / Х х [h]

・J j / J j [j]

・K k / К к [k]

・L l / Л л [l]

・Lj lj / Љ љ [ʎ]

・M m / М м [m]

・N n / Н н [n]

・Nj nj / Њ њ [ɲ]

・P p / П п [p]

・R r / Р р [r]

・S s / С с [s]

・Š š / Ш ш [ʃ]

・T t / Т т [t]

・V v / В в [v]

・Z z / З з [z]

・Ž ž / Ж ж [ʒ]

このうち、j, lj, nj, ć, đ は軟音(口蓋化音)、その他は硬音(非口蓋化音)である。


歴史・現状編集

ユーゴスラビアが分裂してからはセルビア語クロアチア語ボスニア語の3言語に政治的・社会的に分けられ、近年ではモンテネグロ共和国が独立したため、さらにモンテネグロ語を分離しようとする運動まで存在する。

元来クロアチア語とボスニア語ではラテン文字、セルビア語ではキリル文字およびラテン文字が使われる。しかし、各言語の標準語における文法発音正書法の差は極めて小さく、各言語の標準語の差よりも各言語内での方言差のほうが大きい。そのため、旧ユーゴスラヴィアでは政治的事情もあって同一言語として扱われていたほか、学術上もしばしば便宜的にひとつの言語として扱われる。


方言編集

セルビア・クロアチア語の方言は、伝統的にはカイ方言、チャ方言、シュト方言の三大方言区分に分けられ、シュト方言はさらに、古シュト方言と新シュト方言、エ方言とイ方言とイェ方言といった区別に基づく諸方言区分に分けられる。また、これらの方言区分の下には、それぞれにさらに細かい方言が存在している。近年は、従来はシュト方言(古シュト方言)の一部とされてきたトルラク方言を独立の方言区分とし、カイ方言、チャ方言、シュト方言、トルラク方言の四大方言区分とする場合が多い。最も有力な方言は、新シュト方言の東ヘルツェゴビナ方言である。

セルビア語、クロアチア語、ボスニア語、モンテネグロ語の標準語はいずれもシュト方言(新シュト方言の東ヘルツェゴビナ方言)に基づいているが、セルボ・クロアチア語の方言のどこまでを各々の言語に含めるかは、各々の言語により異なる。各言語と四大方言区分の関係は

・カイ方言 - クロアチア語

・チャ方言 - クロアチア語

・シュト方言 - セルビア語、クロアチア語、ボスニア語、モンテネグロ語

・トルラク方言 - セルビア語

のようになっており、またシュト方言の下位方言と各言語の関係は入り組んでいる。


なお、セルビア・クロアチア語以外にユーゴスラビア公用語となっていたスロベニア語スロベニア公用語)とマケドニア語(マケドニア、現北マケドニア公用語)は、それぞれカイ方言、トルラク方言との共通点を持つ。


挨拶表現(ラテン文字)編集

・こんにちは - Dobar dan.

・おはようございます - Dobro jutro.

・こんばんは - Dobro veče.

・おやすみなさい - Laku noč.

・さようなら(またね) - Doviđenja. (Prijatno)

・ありがとう - Hvala.

・お元気ですか? - Kako ste?

・はい、元気です - Dobro sam.

・初めまして - Drago mi je.

・お名前は何ですか? - Kako se zovete?

・私の名前は…です。 - Zovem se...

・はい - Da.

・いいえ - Ne.

・ごめんなさい - Izvinite.

・おめでとうございます - Čestitam.


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言語 ユーゴスラビア


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