概要
2022年10月29日夜、韓国の首都ソウルにある「梨泰院」という繁華街の路地において、群衆がまるでドミノ倒し(将棋倒し)のように倒れるという衝撃的な大事故が発生。これまでに158人が死亡し、133人が負傷した。10月31日のハロウィーンを前に多くの若者が集まっていたために「群衆雪崩」が発生したとみられる。この事故には日本人女性2人も巻き込まれたことがわかっており(いずれも死亡)、群衆事故の恐ろしさをまざまざと見せつけた。
現場
梨泰院はナイトクラブやバーなどが立ち並ぶソウルの一角の繁華街で、ドラマの舞台になったこともあり日本人を含む多くの観光客が訪れる場所であった。
しかし坂の多い韓国の地形もあり、わずか幅3mの細い坂道ともあって人の滞留が発生しやすい状況であり頻繁に渋滞が起こっていた。
日本の渋谷などでも、ハロウィーンの時期などにはこのような群衆雪崩が発生する可能性があり、決して他人事だと思ってはいけない。このような悲惨な事故が起こらないよう、ひとりひとりが注意していくことが重要である。
経緯
当日はハロウィンともあり多くの若者が周辺に来ており、当日の最寄駅である地下鉄梨泰院駅の乗降客は13万人に及び、日が落ちた頃には現場付近は10万人前後の人出があったと見られている。
事故の起こる2時間以上前からすでに現場の通路は身動きの取りづらい状況が続いていた。
直接のきっかけは現在地元警察が監視カメラの解析により調査中であることもあり不明だが、22時すぎ頃に坂の上から折り重なるように人が倒れ始めた。
22時15分に地元消防に通報があり付近の警察や消防が救助に駆けつけた。
しかし折り重なった人を引っ張り出すのも困難な状況にあった。現場付近にいた医療職やCPR資格保持者たちが駆けつけて心臓マッサージを手伝ったものの、助からなかった人が大勢出た。
このような惨状にもかかわらず、周辺では音楽が止まらずスマホで遺体を撮影する者やパリピ系音楽を流しながら踊り歌う者なども少なからずおり、それらの動画が拡散されて非難を浴びた。
一方で、事件直前に道の上から引っ張り上げるなどして救助に参加した一般人も多くおり、これにより危うく難を逃れた日本人の証言も多くSNSに報告された。
被害者はほとんどが10〜20代の若者であり、特に筋力や体格の差もあり女性の死亡者が多かった。
中にはコスプレ姿のままやっとの事で脱出しインタビューに答えていた者もいた。
公人では俳優のイ・ジハンが24歳の若さで命を落とした。
外国人の被害者も多く、留学で現地に滞在していた日本人女性2人の死亡が確認された。
うち一人が鈴木宗男の有力支援者である 根室市議の娘だったこともあり、鈴木が外務省と遺族との連絡をおこなったことを明かしている。
韓国内での反響、措置
日本の明石大橋花火大会事故を遥かに上回る死者数に国内外の衝撃は大きく、尹錫悦大統領が早々に声明を発表して現地視察。
11月5日までが国家哀悼期間と定められ、同時期に予定されていたK-POPアイドルのハロウィンイベントも多くが急遽中止され、予定されていた配信番組や音源発売を自粛した芸能人も多数あった。
韓国警察庁は現地警察の責任追及に乗り出し、龍山警察署とソウル警察庁を捜査することになった。
凄惨な現場を目の当たりにしたり、救命できなかったことによるトラウマを抱えた人が大量に出たことを鑑み心理ケア体制も急遽組まれると発表された。
追悼施設の設置に関しても、遺族側とソウル市側で主張の食い違いが発生しており、未だに解決に至っていない。
原因
現場の近くのホテルが違法増築により幅が狭くなったのが一因とされている。
当時4000人の警察官がいたはずだが、政治デモの警備に人員が割かれ実際に警備についていた警察官は135人しかおらず、翌日開催された日本の渋谷のハロウィンイベントの半分以下だった。
3年前同じイベントでは一方通行だったのだが、それも一切なかった。
本事件は韓国政府を始め警察や自治体による警備不備が招いた人災という見立てが強い。
外国の反響
外国での反響も大きく、日本の岸田首相や中国の習近平氏をはじめとした各国首脳が追悼の意を表明した。
日本では渋谷のハロウィン警備が強化された。
また韓国のオーディション番組出身であるJO1やINI、OCTPATHといった韓国と関わりのある日本の男性アイドルグループもお悔やみコメントを発した上で配信のハロウィン企画を自粛。