概要
十一世紀に活動したスペインのユダヤ教徒の詩人・新プラトン主義哲学者。
ベン・ガビーロール、アヴィケブロン、とも。
新プラトン主義の哲学者として、プロティノスと同じく流出説をとり、「最高の原理である神の意志から、知性、世界精神、自然の順に流出する」とした。彼は、神を除いてあらゆる存在者は質料と形相によって合成されていると考えた。
この命題を初めて唱えた人として西方では有名になる。
彼が作った抒情詩はユダヤ教の典礼の中に残り、「罪の告白」で終わる聖歌「Keter malkut(王冠)」はヨーム・キップールの日の礼拝において唱えられている。
幼少期の頃から虚弱体質であり、病で変貌した自分の姿を他者に見られたくないため常に幾重もの布で顔中を覆い隠し、重度の人嫌いだったと伝えられている。世にも珍しい女性型のゴーレムを、召使いとして作成したという逸話があり、この話を聞いた王がガビーロールを罰しようと喚問した時、彼は王の目の前でこれを分解し、再び組み立てたという。