『安息日を覚えて、これを聖なるものとせよ。
六日間働いて、あなたのすべての仕事をせよ。
七日目は、あなたの神、主の安息である。あなたはいかなる仕事もしてはならない。あなたも、あなたの息子や娘も、それにあなたの男奴隷や女奴隷、家畜、またあなたの町囲みの中にいる寄留者も。
それは主が六日間で、天と地と海、またそれらの中のすべてのものを造り、七日目に休んだからである。それゆえ、主は安息日を祝福し、これを聖なるものとした。
- 出エジプト記20章8〜11節』
概要
アブラハムの宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)において、1週間の7日目は休日になる。英語で「Shabbat(シャバット)」と言う。
旧約聖書の1日は、基本的に日没で区切るので、「土曜日」というのは深夜を一日の始まりとする、現代の暦でいえば金曜日の日没から土曜日の日没までの間となる。
各宗教での扱い
ユダヤ教
『出エジプト記』20章8〜11節と『申命記>律法』5章12〜14節において十戒に記されている通り、安息日は神がモーセを用いてイスラエルの民をエジプトから連れ出して休みを与えられたのを忘れないために、この日が作られた。
現在イスラエルでも安息日は守られ、バスや鉄道など公共交通機関はすべて運休するうえ、国営航空会社もすべての航空便の運航を停止する。
キリスト教
旧約聖書によると安息日は土曜日であったが、キリスト教における重要な事項である「イエス・キリストの復活」「復活したキリストが弟子たちに現れた日」「聖霊降臨(ペンテコステ)」が起こった日は、すべて「週の初めの日」。すなわち日曜日である。このためヨハネの黙示録1章10節の「主の日」に基づき、キリストの復活を記念し、復活の日である日曜日を「主日」(「主の日」「聖日」)と呼び、礼拝を行うようになった。また、主日を特に記念して聖餐式を行ったのはキリスト教のごく初期からのことである。
正教会など東方教会では土曜日が安息日である。
イスラム教
アル・ムジュアと呼ばれる。イスラム教ではムハンマドがメッカを脱出した金曜日を安息日としている。厳密には安息日とはユダヤ教のものであり、この場合の安息日とは、休日という意味である。イスラム教は、毎日が礼拝であり、特に金曜日には合同礼拝(集団礼拝、金曜礼拝)が行われる。
ヨム・キプル
ユダヤ教で「安息日中の安息日」とされている重要な日。贖罪の日を意味する。昨年1年間の罪を悔い改め、神に赦しを乞う日。グレゴリオ暦では9月から10月半ばの1日に行われる。この日は一切の労働が禁じられ、断食をしなければならない。コル・ニドレイ(アラム語ですべての誓いは)をヨム・キプル前夜から日没まで読み続ける。
第四次中東戦争ではヨム・キプルの時期を見計らい、エジプトのサダトがイスラエルに侵攻を開始。初戦は「ミサイルの傘作戦」でイスラエルの機甲師団に大打撃を与える。がこんな事もあろうと、安息日は予備役を自宅待機させており招集は早かった。迅速の反撃。アメリカからの大量支援でイスラエルは盛り返した。両者痛み分けの結果で終戦した。俗に第四次中東戦争は「ヨム・キプル戦争」と呼ばれる。