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タイタン_ファイティング・ファンタジーの世界

たいたん

「タイタン_ファイティング・ファンタジーの世界」とは、ゲームブックシリーズ「ファイティングファンタジー」の劇中に登場する世界「タイタン」に関するデータ集である。原題は「TITAN」
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概要

「タイタン_ファイティング・ファンタジーの世界」とはゲームブックシリーズ「ファイティングファンタジー」シリーズのゲーム内世界「タイタン」の解説書である。原題は「TITAN」。

著者は、マーク・ガスコイン。

90年代に社会思想社・教養文庫から出版。

後に書苑新社より、2018~2019年に新版および新訳で復刻・発売された。


モンスター事典_奈落の底から」同様に、ゲーム内架空世界の解説書という体裁で記述されている。それゆえに、数値やレベルといったゲーム用語はほぼ用いられておらず、普通の読み物としての楽しさや魅力を押し出している。

過去の作品、及び「モンスター事典」内で、アランシア、旧世界(含むカーカバード)といった世界観は多少なりとも描かれてはいたが、それらがまとまった資料は出ていなかった。

本書では、ゲーム内の世界観をまとめている。そうする事で、ゲームブックの世界観の補完と、データの整理、読者による新たな展開のイメージソースとして用いられるようにしている。

いわば、ゲームの設定資料集であり、ここから新たな冒険譚(読者が執筆したオリジナルのTRPGシナリオやゲームブック)を作る事も可能である。


「モンスター事典」同様に、本書は「架空世界のガイドブック」といった体裁を取っているため、数値的なデータより、雰囲気や背景世界の物語を重視している。読者の想像力を刺激し、ゲームブックに限らない、新たな冒険物語を夢想・想像させる一冊になっている。


それぞれの世界の神話と伝説から始まって、善の勢力、中立の勢力、悪の勢力と住人たちの解説、暦、祝日・祝祭、通貨や経済・流通、ポート・ブラックサンドを例に取っての冒険者の町での生活風景などが、事細かに解説されている。


また、これからファイティングファンタジーのゲームブックに親しむ者にとっても、ネタバレにはなってない程度の説明が為されており、さらに興味をそそる構成にもなっている。


ただ世界観を眺めるだけでも楽しめる、そして創作のヒントにもなる、魅力ある一冊である。


世界観

世界そのものの詳細は「タイタン(ファイティングファンタジー)」を参照。

なお、タイタン世界に存在する三つの大陸「アランシア」「旧世界」に続く「クール」は、「サムライの剣」での説明が初出で、本書籍でその詳細が明らかになった。


英雄の伝説

かつて巨大な土塊により、神々の手によって世界とあらゆる存在、そして人間を始めとする全ての生物が作り出された創生の神話。

そして、善き神々と混沌の神々との「最初の戦い」が終わり、世界に「時」がばらまかれた後。

神々はタイタンを去り、人間、エルフ、ドワーフなどの各種族もまた、それぞれの故郷へと戻っていった。

この時期に「文字」が発明され、記録が残されるように。


この時代は、大陸「イリタリア」が一つ存在し、海も一つ、森も巨大なものが一つあるのみ。

ドワーフは地下に戻り、最初のドワーフ王「ハンガール・ゴールドシーカー」が治めるように。

エルフもまた、「一つの森」に戻り、偉大なるエルフ「白い君」が、エルフの創造神ガラナと接触し、魔法の儀式と研究に勤しんでいた。


そして、人類。このタイタン世界において最古の英雄は、西方の地の騎馬民族の族長、レルックとマイザールの「ハーフハンド兄弟」であり、現在に至るまで民謡に残されている。

現代の吟遊詩人は、彼らの事を知らない者もいる。

彼らは部族を引き連れ、豊かな土地に辿り着くと、そこに我が物顔でうろつくオークの群れに遭遇。戦っては、土地を我が物にしてきた。

時にはオークの群れを洞窟内に閉じ込め、三か月後に餓死させるといった事も行っている。


やがて、大陸各地では、放浪していた部族が定住し始め、村を作り、町に、国に発展していった。

そして、国家間の外交も行われるようになったが、同時にそれは戦争の火種にもなった。

アトランティスで蜂起した王・ファラモス13世(実は魔王子マイユール)が大規模な戦争を起こしたのもこの頃らしい。


この頃の出来事は、意図的に消されたかのようで、ほとんど記録が残されていない。

そして神々は怒り、アトランティスの起こした行動の償いに、イリタリア大陸を三つに分断。天変地異は多くの命を奪っていった。

一つの森も分断され、世界中に散らばり、現在に至っている。

詳細は、後述する「水の王国」を参照。


文明のあけぼの

かくして、発生した文明は崩壊したが、再び世界は進み、新たな文明を築き上げていく。

アトランティスが水没後、350~400年後に、新大陸の湾岸部で新たな定住地が発生。

クール大陸西海岸は、旧暦1510年に小都市が集まり小国家クララシュが発生。

旧世界大陸オニクス海沿岸(現在のガランタリア)でも町が発生。

アランシア沿岸部も、少数の国家が発生。ヴィンハイムの町には、北方の英雄「巨人殺しのビヨルングリム」を祖とする小漁村が1510年に存在している。

ビヨルングリム、本名ビヨルングリム・ビヨルングリムッソンは、かつて「魔女海」と呼ばれる海域に住む、海巨人を殺した赤毛の北方人の戦士である。巨人を殺した後、その栄誉を称えられ、魔女海は「ビヨルングリム海」と改められた。


旧暦1650年頃、アランシアと現在呼ばれている地域には、アランシア国が存在。

その首都カーセポリスは当時、コロス3世が統治していた。

そして北のフラットランドには小国ゴールドランやサラモニス、南方にはケインレッシュ・マ市が存在していた。

ケインレッシュ・マは、現在はアランティスの名ばかりの首都だが、当時は貿易都市ハラックなどと交易し地位を向上。更に、魔法使いたちが多く住むようになっていった。

元は魔法はエルフの領分だったが、彼らが森に引きこもったため、高等魔法はほぼ失われていた。

だが、アランティスの地にて。古い寺院が学者らに発見された。そこには古代の3人の魔術師の霊が取り付いており、魔法を地上に知らしめる時と決意し舞い戻って来たとの事。

この運動は徐々に発展していき、高名な魔術師エリダンシスが、サラモリスのヨーレの森(当時は、柳谷からダークウッドの森の外縁部まで広がっていた)に、魔法学校を設立。

魔術師や魔法使いは尊敬される職業になり、魔法は発展していった。

また、この頃にはオークやゴブリンなどを、魔法を用い退ける事も多く行われていた。


旧世界

同じ頃、旧世界では大きな変化はなく、独自の文化を発展させていった。

中心部には、山頂に到達がほぼ不可能なモーリステシア山脈があり、沿岸部に文明地が作られた。

旧暦1430年、南下し平原を渡った者たちが、建設者オージャンの元でレンドル村を作り、これは後にガランタリア国となる。ガランタリアはオージャンの息子・レギュラスにより率いられ、より大きくなっていく。

ガランタリアは国土を広げていくが、西部北方のごつ岩連峰は越せず、同時に「冥府魔術師団」……神秘的な呪文使い達の存在を知る。

ガランタリアは別の方角に向かい、プライス国に従う部落や村を発見。更に北方の国々は、プライス国の他、小国家ラドルストーンやフェンフリィなどが存在する事を知る。


やがてこの大陸は、小国家によって支配され、交易路が互いの都市を結び、それらは都市国家となっていった。ガランタリアの首都・ロイヤル・レンドルは、南の国アナランドの首都アークレトンを繋ぎ、大陸中を繋げるように。

が、交易は紛争や戦争の火種にもなっていった。

ガランタリアもまた、西方の農地を手に入れんとするプライス国と交戦するように。


のちに休戦協定が結ばれるも、プライス国は戦闘志向が強い国家のため、今度は東方のラドルストーン国に目を付ける。

ラドルストーンの民は信心深く、神官王が治めていた。彼らはプライス国の侵攻に対し、要塞「魔守城(デーモンキープ)」を建造。プライス国を四六時中監視するように。

このように、2国間では1735年と1805年に、第一次、第二次ラドルストーン戦役が勃発している。


アナランドは、この間に徐々に国家が大きく豊かになっていくものの、南方の魔法使いや山賊の類が襲ってくるように。

国中が襲撃を受け、40年近くもこれは続いた。

かくして時のアナランドの王・アークル19世は預言者の提案を受け、「アナランド大塁壁」を設置するようになった。これは、アナランドの国境に巨大な塁壁を建造し、侵入者を阻むというものである。

旧暦1845年から構築は始まったが、当初は略奪者の軍隊に崩されて、中々進まなかった。

国は資源をこの計画に全てをつぎ込んでおり、それゆえに国家の破産と革命の危機に陥った。

結局、1970年に大塁壁の工事は中止。3か所が未完成のままで終わった。しかし未完成とはいえ、塁壁はアナランドの防衛に現在も役立っている。


アナランドは塁壁計画が終わった後、再び経済活動に集中。経済的に持ち直した。

以後、旧世界は小競り合いを繰り返すも、一応の落ち着きを見せるように。


混沌の落し子

この頃、クールは豊かな土地だった。

旧暦1510年頃、西海岸をクララシュ王が小さな村や町を統一し、クララシュ国を設立。

クララシュは大きくなり、内陸のカスブレット川中洲の、シェイキスタに移設。

各所にある居留地は、町へ、そして都市国家へと発展していった。


内陸部では、旧暦1611年にザゴウラが建立。学者や魔法使い達が集まり、研究する地に。

大陸東側には、港町アリオンが繁栄するようになった。


しかし、ザゴウラの魔術師や賢者は、好奇心が旺盛ゆえに、クール大陸のあちこちに冒険に赴くように。

そして、ある一つの冒険者パーティが、「死せる都」を発見。その内部にある遺跡、ないしはその安置されていた棺からの声に従わされ、石棺を開けてしまった。

冒険者たちはなんとか正気に戻り、その場から逃走。数か月後に冒険者パーティ内の一人だけが隊商に発見され、事の次第を伝え絶命(他のメンバーは旅の最中に全滅した)。

そして、ゴブリンやオークが戦争の準備を行っている事もまた、明らかになった。


魔法大戦

クールの大戦

この事件後、世界各地の混沌の種族たちは徐々に活動を活発化。

オークやゴブリン、トロールはもちろん、アランシアのどくろ砂漠に棲む蛇人カアスも動き出す。

旧世界のカーカバードもまた、呪術師など混沌の軍勢が動き出しつつあった。


旧暦1998年春。南クールのザゴウラでは砂嵐が起こり、イナゴや蛇の群れが町を襲った。

そして、ザゴウラに「死せる都」から蘇った「混沌の落し子」が、トロールやオーク、不定形の混沌の生き物の群れを率い襲来。ザゴウラの市民は襲われ、町は破壊された。


混沌の軍勢は北上。二手に分かれ、北東のアリオン市と、北西のクララシュ国首都シェイキスタへとそれぞれ向かった。


アリオンへ向かった混沌軍は、英雄ブレンダン・ブラッドアックスの率いる兵士たちの待ち伏せを受け、これと交戦。

平原で互いに一進一退の戦いを繰り広げ、最後にはようやくブラッドアックス率いる人間だけが生き残った。

休む間もなく、彼らはクールの西、ケイベシュへ救援に向かって行った。

だが、その到着はあまりにも遅すぎた。混沌軍はシェイキスタの主戦力へと合流するため、各地の村々を襲撃し滅ぼした後だった。

ブラッドアックスは疲労しつつも自軍を駆り立て、シェイキスタに到着。混沌軍の背後を取った。

アリオン軍とシェイキスタ軍に両側から挟まれ、混沌軍は敗北。最後の一兵も残さず殲滅された。

クールにおける大戦はこうして終わったが、両陣営とも大きなダメージを負う結果となった。

オークやゴブリンなどの混沌の軍勢は、後の数百年にかけて勢力を失い、人間側は多くの都市や人の命、文明や文化が失われる羽目になった。

何よりこの大戦で、混沌の力そのものがクール大陸の中心部を汚染。土地は荒廃し、元に戻ることなく現在に至っている。

アランシアの大戦

同じ頃、アランシアではゴールドラン国首都、ガル・ゴールドランへ混沌の軍勢が襲撃していた。

他国に救援の要請をするも、ゴールドランはあっけなく陥落。混沌の軍勢はドワーフの聖都ファンセインに侵攻する。

が、ドワーフ側はこの事を500年前より予測しており、待ち構えていた。

やがて軍勢はやって来たが、それはオークやトロールばかりで、混沌の怪物はほとんどいなかった。ファンセインのドワーフたちはこれらを倒すと、混沌の本隊が西に居ると予測し、僅かな護衛を残してアランシア西部へ向かって行った。


混沌軍の本体は、トロール牙峠からアランシアに向かっていた。

しかし、サラモニスの軍と、ヨーレの森の大魔術師たちが迎え撃っていた。

大規模な魔術により、巨大な炎の壁を作り出して敵軍を二分し、これを倒す。

が、生き残りの混沌軍は後退し、カーセポリスへと向かって行った。


カーセポリスでは、迫る混沌軍を迎え撃たんと20,000近くの人員が守りに付いていた。女子供も含めた、全ての市民が防衛のために武器を取っていたのだ。

アランシアの魔法大戦、その最後の戦いにて。

二重の城壁に囲まれたカーセポリスに対し、混沌軍は城壁を囲み籠城戦を挑む。

4日後に外壁を崩され、内部に入られたカーセポリス軍は、内壁へと後退。

11日後には内壁も壊され、それも放棄し後退。

15日目にエルフ、ドワーフの救援が駆けつけ、混沌軍はその前に滅んだが、人間軍もほとんどが戦死していた。


こうして、多くの犠牲を出しながらも、カーセポリスの混沌軍は全滅。ここに魔法大戦は終焉を迎えた。

これが、旧暦1998年の出来事である。この出来事を契機に、新たな暦が導入。

翌1999年から、新暦1年と定められた。現在使われている年号は、この新暦(AC=混沌後)である。

(現在は、新暦(AC)248年)。


大戦終了後・アランシア

だが、戦いが終わった後、また様々な問題が発生している。

アランシアのカーセポリスは廃墟と化し、混沌に汚染され亡霊が現れるように。

人々はここを捨て、新たな土地へ。

そしてカーセポリスの波止場は、戦争時から手つかずだった。そこに追いはぎやこそ泥といった連中が居を構え、次第に悪党が集まるように。

後に50年ほど経過し、悪名高い盗賊都市「ポート・ブラックサンド」が出来上がる。

最初、この都市の支配者はオラフ・ツーホース王子。彼は孤島の流刑地として使われていた「火山島」出身である。

その跡目を、品性下劣な貴族、ヴァレンティス男爵が継承。そしてヴァレンティスから奪い取ったのが、現支配者であるヴァレック・アズール卿である。


大戦終了後、ドワーフ軍はファングセインに、エルフ軍も各地の森へと帰っていった。

そして、混沌軍に壊されたかつての文明地は、現在も廃墟として残り、危険な地域として残されている。


大戦終了後・クール

そして、クールでは。

シェイキスタは放棄され、ジモーランに新たな首都が建立。王家は復興したが、後継ぎがいなかったため、現在は各所の町の代表者7人により統治している。

ザゴウラは没落、廃墟と化してしまった。

ケイベシュもまた同様。現在はその場所すらも不明。

クール中心部では、混沌により今も汚染されたまま。

北東部のアリオンは比較的ましで、ブレンダン・ブラッドアックスの子孫の統治で発展。現在はクール北東部最大の都市になっている。


大戦終了後・旧世界

旧世界では、魔法大戦の影響はほとんどなかった。しかしそれでも平和では無かった。

プライスはAC175年、ガランタリアへ大侵略戦争を開始する。同時に、北の国もガランタリアへと侵攻を開始した。


ガランタリアのコンステイン王は、これに対処。自分が先方に立ち戦いを挑んでいった。

だが、ある日。コンステイン王とその后、そして従者たちは、護衛のターグ男爵により不意打ちをうけて暗殺されてしまった。ターグはプライスの執務官と結託しており、コンステイン王を亡き者にしたら、自身がガランタリアの王座に就くという確約を結んでいたのだ。


後にターグのこの所業は明らかになり、彼は偽王と呼ばれガランタリアから追われる。

ガランタリアは、宮廷魔術師タンタロンが戦争終結までの2年間、政治を預かる事に。彼は後に、数々の難題を解決した一人の英雄をガランタリアの王に任命する。


近年では、フェンフリィ国のチャランナ王が注目されている。

賢明なるチャランナ王は、強力なアーティファクト「王たちの冠」を手に入れていた。これは、かぶった者に恐るべき統率力と正義の力を与えるアイテムで、王はこれを用いて自国に平和と繁栄をもたらした。

そしてチャランナ王は、周辺各国にこの冠を、順番に貸し与える事を提案。

この考えは実行され、各国はフェンフリィ国同盟に加わり、4年ごとにこの冠の恩恵にあずかっていた。ラドルストーン、レンドルランド、ガランタリア、あのプライス国にすら、冠の順番は回っていった。


が、近年。

アナランド王に冠は渡ったが、ある晩に盗まれてしまった。

盗んだのは、カーカバード北部の、「マンパンの大魔王」の手先。かの大魔王は、冠の力を用い、自身の混沌の軍勢をまとめ上げようと目論んでいるのだ。

それは、魔法大戦の危機が再来する事にも通じる。故にアナランドは、「冠」を取り戻すための勇敢な冒険者を、心から望んでいる。


善の勢力

タイタンは、神々と、混沌の勢力とで二分されている。そして、この二大勢力は、遊戯盤のごとく互いに戦いあっている。

基本的に、人間には悪漢も多いが、英雄と呼ばれる存在はこの善側の勢力に位置する。これはそう決められた集団というわけではなく、そういった傾向を有するといった程度の分類で、「善、またはこの世界の為に動く」事が普通である。

ドワーフやエルフは、善の神の信徒であり、それらに従っている。また、ドワーフもエルフも、それぞれの種族をあまり好いていないが、これは憎悪し合っているほどではない。根底の部分では、善なる大義のもとに、緩やかに同盟を結んでいる。

ただし、普通の人間、普通の冒険者は必ずしも善人で英雄というわけではない。容易に悪の誘惑に乗り、ごろつきや盗賊、悪漢となったり、混沌側の勢力に身を置く事も珍しくは無い。

ではあるが、形はどうであれ、この世界で混沌に立ち向かわんと己の信念を貫く者は、運が良ければ善なる神々の気に入りの存在となり、英雄としてこの世界の命運を握る者となる。


善なる神々に関しては、「タイタン(ファイティングファンタジー)」を参照。種族に関する詳細は「タイタンの種族」を参照。


善側の種族としては、ドワーフとエルフが挙げられる。

ドワーフ

地底の探索者であり、大地の女神スロッフにより創造された。

スロッフは、ドワーフの間では「大地の母『ケリリム』」と呼ばれている。ケリリムの他、火の神で金属細工師の守護神ヴァ―ラング(ドワーフはデューレンヴェンディルと呼称)、火の神フィラッシュ(アッカラデューン)などの下位神も信仰している。

ドワーフはタイタン中に生活しているが、アランシアのファングセインが聖都とされている。


ドワーフの最初の王は、ハンガール・ゴールドシーカー。

かつてはドワーフの小さな部落の長だったが、大地の臭いを嗅いで金脈を見つける特技を有していた。

ハンガール率いるドワーフの一族は、ファングセインと後に呼ばれる場所に辿り着いた時、天啓と思った。そこは純金を被った山だった。


が、そこは以前から住んでいたオークたちの信仰の対象でもあった。ハンガールたちはオークと戦い、これを追い出し、山の周囲に移住。山中に都市を作った。

後にここは、ファングセインと呼ばれるようになる。


今日、AC248年頃には、ドワーフは人間とも交流を深め、アランシア中で見られるように。

特に、アランシア中央部では、ドワーフの町ストーンブリッジが建立されており、人間を含む冒険者たちの休息地としても良く利用されている。


ストーンブリッジは、その周辺地域のオークや、丘トロールと長年戦っており、それらと戦う冒険者の味方をしてくれる。

統治している王・ジリブランは、魔法のウォーハンマーを有している。これは町のシンボルにもなっており、投げつけると目標に打撃を与え、その手に必ず戻る。

トロール側、そしてトロールに協力する混沌側は、このハンマーを奪う事でドワーフの士気を落とそうと試みており、それを実行する事で混沌側を有利にしようと狙っているのだ。


また、ストーンブリッジに隣接した赤水川の下流には、同じくドワーフが住む町、マイルウォーターが存在する。

しかしこの町のドワーフは、非常に排他的かつ好戦的で、ドワーフ以外の種族はもちろん、他の町のドワーフであっても敵対的で、町に近づいただけで攻撃されるのが普通である。

ストーンブリッジとも敵対しており、ジリブランからウォーハンマーを奪い、自分たちが支配者になろうと目論んでいる。


ドワーフの楽しみ

ドワーフは、基本は単純であり、それらを追い求めている。

ドワーフは種族的に、暗視の能力を有し、斧に関するスキルを有し、更には何らかの職人でもある。

特に職人の作る武器や防具は、人間のそれよりも精密かつ性能が良い。最高の鋼鉄で作られ、ドワーフのルーン文字が刻まれている。


また、彼らは宝石や貴金属を愛し(正確には渇望)しており、嗅ぎつけると掘り出し、手に入れようと試みる。

入手後には、それらを奪われないように金庫に入れ、仕舞い込む。


これを別にすれば、ドワーフは極めて優秀な戦士であり、むやみに命を奪う事は望まないが、戦場こそ自身の力を証明する場所だと考えている。この点は、歌や物語の題材になる。

エール酒や、パイプに詰めたタバコがあれば、それらを嗜みつつ勇壮な歌や伝説を聞く事を好んでいる。


飲み食いも当然好み、特に嗜んでいるエール酒は非常に強い。しかし、オークの酷い酒グアーシュとは異なり、程よく飲めば人間でも楽しめる。

ドワーフはスカルバスターを始めとして、特別に強い酒を蒸留しており、それらは人間の町では非常に高価。

また、パイプやタバコも好む。有名なタバコの銘柄は「ガーニィ葉」「ピュア・アックスヘッド(純斧頭)」「ドラゴン・スモーク(龍煙)」など。


しかし、どんな最中でもドワーフは近くに武器を置いており、いつ何時オークやトロールの襲撃があっても対応できるようにしている。

ドワーフは戦い、飲み食いし、鉱石を掘っては貯め込む事の繰り返しだが、ドワーフ自身はその事に不平は口にしない。

エルフ

ドワーフに並ぶもう一つの善の勢力として、エルフが挙げられる。

邪悪に染まった闇エルフ、世俗に染まった黒エルフを除き、大抵のエルフは善側の勢力としては、最も純粋な奉仕者と言える。


主神は、創造神である植物の女神ガラナ。エルフはエリリアと呼称。

エリリアの他に、ドワーフの主神スロッフ(エルフはエルヴィールと呼称)の他、自然や植物に関する下位神なども信仰している。

一日を自然の住居で過ごし、儀式を行い祈りを捧げている。

その寿命は200~250年(これは人間が50年生きるのが難しい時代・状況の中での話である)。非常に長命ゆえ、あらゆることを現在ではなく将来や未来を見据えて見ようとする。この「とりあえず静観」という姿勢は、同盟を結んだドワーフや人間から苛立ちの原因にもなった。


エルフには名前が三つ存在する。

一つは「普通の名」。他種族に対して用いられるもので、植物の名(アッシュ=とねりこ、ヘイゼル=はしばみ、ウィロウ=やなぎの樹)や、仇名(レッドスウィフト=赤つばめ、ホークアイ=鷹の眼)などが多い。

二つ目は「エルフの名」。エルフ間で用いられる正式な名前で、姓と名から構成されている。上記レッドスウィフトは「ラーレウ・アノーリエン」としてエルフ間では知られている。

三つ目は「真の名」。女神のみが知っている名前で、それを通じエルフの魔法は呼び出される。真の名は、知っている事でその存在を操作できる信仰を有し、エルフ間はもちろん、他種族にも明かそうとしない。


また、使用する言葉も、上位エルフ語と下位エルフ語の二種類がある。

上位は荘厳活複雑な言葉で、祈りはこちらが用いられる。エルフの魔法(エルフは人間の魔法を「派手な爆発じみた手品」と称している)を知り理解したくば、上位エルフ語は必須。

下位は、日常会話で用いられている。これは妖精、小人、森人など、森の住民も使っている。また、戦いの時の罵りの言葉もこちらが使われている。


長命である事から、エルフは様々な時間潰しの方法を多く見つけている。歌を歌う、森の生物に話しかける、植物など自然の産物を観察するなど。

また、生命とあらゆる生き物を愛する一面も有する。オークのような混沌勢の種族に対しても、憎悪より中立で見ている。それ以前に、エルフはそれらが完全な大人になる前に死んでしまうという思想を有している


オーク戦争

しかし、例外もある。

旧暦600年頃、後に闇エルフとなるエルフの一派が地下に逃れ12年。

北の山エルフの王国が、自身の森に「闇の双子」を名乗る二人の人間の魔術師と、彼らが率いるオークの軍勢に襲撃されたのだ。

オークは軍勢になってもろくに動けないが、指揮官が優秀な知性ある存在ならその限りではない。今回は「闇の双子」がそれで、エルフの魔法の手がかりを得ようとしていた。

エルフ評議会長・グロリアン・テレマスは即座に行動に移り、他のエルフに伝達。

エルフは「一つの大陸」北部でオークを襲撃する事から戦争が始まる。

それからオーク軍は木々を燃やすなどしてそれに対抗。しかしエルフ軍は一年半をかけ、極北の地に「闇の双子」とオーク軍を追い詰める。

氷の高山で、オークたちはその大多数が凍え死ぬが、エルフ軍はそれをしのぎ待機。

やがてかけつけた、9人の強力なエルフの魔術師は、魔術師の掟を持ち出して「闇の双子」と直接対決をする事に。

決闘はエルフ側が勝利、闇の双子は魔法の炎で焼き尽くされ、エルフたちは故郷へと戻っていった。


エルフが憎悪するのは、闇エルフしかない。もしも両者が出会った場合、必ずどちらかが死ぬまで戦う。

もしも森エルフや山エルフが、闇エルフに捕らわれた場合(このような状況はほぼ起こらないが)、長い拷問と虐待の末、生贄にされるのが普通。しかしエルフ側はそのような状況になったら、女神の力を以て催眠状態になり、会話や意思の疎通は不可能になる。拷問を受けたとしても、何一つ情報を漏らす事は出来なくなるのだ。

逆に、闇エルフも生きたまま森エルフや山エルフには捕えられない。闇エルフが降伏したとしても、エルフはすぐに殺してしまうのだ。


エルフの冒険者、および武器

オーク戦争の後、魔法大戦の際にエルフは一致団結した。しかしそれ以外では、エルフは組織的に軍隊を結成せず、活動も行っていない。

しかし、個人ではエルフも冒険に出たいと思う者も出てくる。

エルフの冒険への姿勢は、名声や富、名誉といった人間およびドワーフの理由とは異なり、単に冒険そのものが楽しく好ましいからである。

そのため、エルフは冒険を終えた後には、分け前をあまり受け取らない。


エルフは優れた戦士で、弓の扱いに秀でている。

これは伝説にもなっているほどの腕前で、全てのエルフは種族的な特性として弓のスキルを有している。弓を構えるだけで、どう撃てば当たるのかなどが実感として理解できるのだ。

接近戦では、剣を用いる。レイピアの様な細い剣、またはショートソードを用いるが、これらも軽くて強く、さらには魔力がこもっているものも多い。

刀身にはエルフのルーンが刻まれ、刃の鋭さを保っている。他には、悪の生物の存在を光って知らせる効力も有する。


有名なエルフの剣に「ジェーレンの剣」がある。

これはエルフの民が、人間の王子ゲセル・アナラングに送った魔法の剣で、様々な魔力が込められていた。ゲセルは闇エルフと戦っていたため、エルフと友情を結び、その友情の印としてこの剣は贈られた。

旧暦1600年頃。ゲセル王子はこの剣を用い、闇エルフの魔女王(ウィッチクィーン)を討ち取った。しかし魔女王は倒される時に呪いをかけ、この剣を見た者に「どんな犠牲を払っても手に入れたい」という欲望を生じるようにしたのだ。

かくしてゲセルの弟は剣を盗もうとして兄に殺され、家臣や王宮の衛兵も同じ運命に。

近隣国家の統治者たちも、同じ欲望に襲われ、殺された。

剣の刀身は黒くなり、込められた魔法は悪を助長するものに変化。ゲセルは剣をエルフに返そうとしたが、エルフ側も拒否。

結局、ゲセルは真珠海に漕ぎ出し、この剣を可能な限り遠くへと投げ捨てた。

現在は海の底に沈んでいるが、この剣はいつの日か戻ってくる可能性がある。


エルフの居住地

大半のエルフは、古い森の中に小さな村を作り生活している。

多くは木々の上に板の基盤による通路を渡し、樹上の小屋を繋げて村を構成している。


しかし、通常は魔法を用い、これらの村は外部から隠されている。更に村の端には、エルフの見張りが立ち、森に入り込んできた部外者に目を光らせている。エルフにとって脅威でないと認められなくば、見つける事はもちろん、入り込む事は出来ない。

しかし入れた場合、そこに美しい光景を見る事が出来る。


山エルフは、山岳地帯に同様の村を作り、そこで生活している。

山岳ゆえに森エルフとは住まいの作りも異なるが、基本的には森エルフ同様に魔法で守られ、必要最低限の動物を狩り、自然とともに生活している。


自身が善なる勢力に立ち、信用されたならば、エルフは協力を惜しまない。それは日常嫌っているドワーフに対しても同じで、味方にできればこれ以上に頼もしい存在である。


小さな善の種族

規模は小さいが、それでも善に与する種族は存在する。

ノーム

かつてはドワーフの一部族だが、徐々に変化した種族。少数が森などにひっそりと生活している。同族含め、他者との付き合いをせず、孤独を愛する。

かつてドワーフの聖都・ファングセイン500周年の記念祝賀会にて。招待されたエルフ司祭の高等魔術を目にして、強く魅せられたドワーフの一部族がいた。彼らはより魔法を知りたくなり、ファングセインから出て魔法の知識を求める旅に出た。

が、僅かな知識を得ただけで、エルフからも遠ざけられ、彼らは森の離れた場所に居を構えた。そこでドワーフたちはゆっくりとノームへと変化し、現在に至る。

彼らはほんのわずかだが、魔法を心得ており、近づくよそ者を追い返す程度の呪文を使う事が出来る。そしてエルフには及ばないが、森を守ってもいる。

しかし彼らは、ドワーフや人間と同様に、エルフもあまり快く思っていない。エルフの方も、自分たちがノームの保護者と思っており、見下した態度を取っている。

ミニマイト(豆人)

妖精(スプライト)に酷似したミニマイトは、かつて旧世界では魔法や学問、タイタンの知識やその研究の一端を担う存在だった。

高等魔法をかける時も、人間やエルフ以上で、同時に善の為以外には用いなかった。

過去に「魔法大戦」が起こるまでの数世紀、彼らは魔法を司る偉大なる種族として研究に勤しんでいた。が、混沌の勢力が、旧世界の大陸北東部・カーカバードに出現すると、ミニマイトは恐れを抱いた。


アランシアやクールに続き、この旧世界も混沌の戦乱に巻き込まれると考えたミニマイトたちは、古代の魔法を調べ始める。

やがて「光を追う者・オーグム」という、名前だけが知られた狂気の神秘学者の論文の中に「善そのものの力を呼び出し、破壊の力とする」魔法を発見。

モーリステシア山脈の山頂に集まったミニマイトたちは、同じく集めた人間の偉大なる魔術師たちとともに儀式を実行。カーカバードの混沌の軍勢に向け、無数の金色の光の矢を放った。

混沌の軍勢はこの魔法を受けて消滅し、僅かな生き残りはカーカバードに逃げ帰った。


だが、ミニマイトはこの勝利に夢中になる。そして、この魔法を研究し始めたミニマイトの一部の者たちは、この力とミニマイトの知恵とで、世界の支配者になろうと夢想した。

が、他のミニマイトはそれを夢だと断じ、同時に善悪のバランスを崩す事だと気づく。


かくして、ミニマイトは一つの決断を下した。

ミニマイトは、単体では強力な魔法を使えない。ならば、集まって団結できなくすればいい。

かくしてミニマイトたちは、自らの種族の生体組織に複雑な魔法を織り込み、団結できないように己を運命づけたのだ。

この魔法により、現在彼らは単身で各地を旅し、同族とは決して会えず集まれない。

なおミニマイトは、アンチマジックの霊気により大抵の魔法は無効化してしまうが、それはこの種族へかけた魔法の副作用である。


悪と混沌の勢力

悪と混沌の神々は、かつて善なる神々と戦い、敗れ、虚空に飛ばされた。

現在、「死」の神の最初のしもべたる魔王子、そしてその部下たるデーモンにアンデッドたちは、「最初の戦い」の後に「魔界」……タイタンではない別の時空に逃れ、そこで蠢いている。

魔界の住民たちは、単にそこを「奈落(ピット)」、または「深淵(アビス)」と呼んでいる。

混沌側の神々と、魔王子他アンデッドに関しては、「タイタン(ファイティングファンタジー)」および「タイタンの種族」を参照。

オーク

タイタンで、必ずどこかで目の当たりにする悪側・混沌側の種族にして、邪悪の戦士。

彼らは祈祷師から口伝で歴史を伝えるのみで、記録は残さない。

多数のデータは、魔術師にして研究家、エンスタフィリス・アナレンが得たもの。彼はフラットランドの一人のオークの心の中に(魔術を用いて)精神を憑依させ、オークの情報を得た。

二年間憑依していたが、かのオークの集団は恐竜に襲われ、食い殺され全滅している(ちなみにエンスタフィリスは、精神を憑依していたオークが食われた際。ティラノサウルスの消化システムのデータも集めている)。


伝説では、オークは創造主ハシャクに作られた(詳細は「タイタン(ファイティングファンタジー)」を参照)。

暗き神々により、邪悪の心、混沌の精神を吹きこまれ、現在に至っている。

祈祷師

オークの集団の権力者は祈祷師で、部族の呪術医にして魔術師。

部族はそれぞれ王を頂いているが、彼らは日常の采配を決めるのみ(エール酒をこぼした従弟を食って良いか否か、捕らえたドワーフを今食うか太らせ後で食うか、など)。


祈祷師は、祈りの儀式や生贄を捧げる事で、魔界の亡霊などのオークの守護者を呼び出し、占い、これからの行動を決める立場にいる。

占いは、

「オークの14のアルファベットを描いた檻の中に、鼠を走らせつづりを読み取る」

「捕まえたエルフの切り刻み、その内蔵の並びから占う」

「ルーン文字を描いたゴキブリ14匹を空中に放り、地面に落ちた時の綴りを読む」など。


しかし、普通のオークは宗教には無関心。一日が終わった後のことは全く気にせず、明日に何が起こるかを考えもしない。

オークは、自分たちがいつか世界を征服すると夢見ているが、それに対して備える事はまったく考えない。

これは、一日を生き延びる事自体が難しいため、明日の事を考えるなど無意味という思想から(あるいは単に莫迦だから)。

また、オークたちにとって祈祷師は、呪文で元気づけてくれる、その後のお祭り騒ぎを生贄などで楽しませてくれる、面白い話をする、それら以外に価値を見出していない。


オークの楽しみ

オークの楽しみは、飲み食いと、戦い。それ以外にはない。


オークは手で掴め、かじれるものなら全て食べてしまう。そのため、動物や虫以外にも、他種族の肉を食う。人間やドワーフ、エルフの死体からひどい味の料理を作る事は、他種族にもよく知られている。

他種族の肉が手に入らない場合、野菜や木片、金属や岩、泥や土も食べる。有している第二の胃は、固く鋭いものも消化できるのだ。

共食いはしない。しかし死んだ仲間は、礼儀として死体を齧る風習があり、葬式の時には遺体を一口齧る。

また、口に合わず、中身がないと考えているため、熱を加えてもアンデッドは食べない。


有名な料理は、「エルフのはらわた、ノームの血のソースがけ」。

これは旧世界、北カーカバードのザメンやザンズヌ連峰のオーク「切断腕族」の特別料理。エルフ及びノームに対し、大規模な襲撃が成功した時などに豪華かつすごいご馳走として振る舞われているらしい。

しかし普段は、ネズミの臓物スープや、コウモリの香辛料煮込みといった(オークにとって)普通の料理を口にしている。


飲み物に関し、オークは「グアーシュ」という強い酒を造っている(「ヒューグ」とも。これはゲップからとられているらしい)。

緑がかったピンク色をしており、鉛で縁取りされた樽で寝かせているらしい(木だけだと齧られるため)。また、中に何か塊が浮かんでいるらしいが、それが何かは不明。

この酒を人間他オーク以外の種族が飲む事は、内臓に大ダメージを与える事を意味する。


これら強い酒を飲んだオークが酔っ払い、愚かなふるまいをする事は珍しくない。

祈祷師は、酔ったオークの色々な愚行を語っている。

:通りすがりのゴブリンから、水たまりを購入したオークの王、モーガグ・ナックルブレーカー(月が反射した地面の水たまりを、銀の皿と思い込んだため)。

:酔っぱらってラクダ一頭を食えると賭け、腹が破裂し死んだウグラー・ゴブリンフェイス。

など。

オークは仲間の不運な話を好むが、自分がそうなるとは夢にも思っていない。


三つ目の楽しみは戦いだが、軍隊に入る事で何時でも楽しめる。

ここ十年では、フィールドスポーツが盛ん(詳細は「タイタン(ファイティングファンタジー)」を参照)。しかしスポーツは戦争の人気には及ばない。


オークの軍隊

のろまで愚図なため、オークは肉体作業を嫌う。

が、戦い自体は好み、敵が弱ければ何でもいい。敵が居なければ、同族ですらも敵の代用にする。

戦う事で他者から略奪し、値打ちものを手にする事も好んでいる。要は、弱い者いじめをする者と大して変わらないのだ。


基本的に臆病故、少しでも不利になると戦場での士気はすぐに落ち、逃げようとする。そのため、恫喝に近い指揮を取る司令官が必要になる。

混沌側の軍隊はそういった司令官を有しているため、オークはそういった人物に指揮されている事が多い。しかしオークは、自分より弱いオーク、またはゴブリンやトロールなどを先に戦わせようとしている。

スタミナがあるため、オークは徒歩で、驚くほど速く進軍が可能。しかしこれは、乗用の獣がオークの側に居たがらないためでもある。

狼に跨る事も可能だが、その狼も餌が不足していたらオークに牙をむく。


有名なオーク部族

  • 骸骨絞め(骸骨砕き)族

旧世界、南レンドルランド山中の洞窟に、2500ほどの数が生活。三体の洞窟巨人とレスリングをして勝利したオーク「頭骨砕きのヤーガース」王が率いる。部族のシンボルは、骸骨を締め上げる形をしている。

  • 爪目族

北アランシア、月岩山地中央部に、1700ほどが住む。年老いた族長「剥きっ歯のウルガリ」、および23名の息子が率いている。片目の同族の英雄から命名された。

  • 鉄拳族

クール北東部、パイクスタッフ平原に、数百名ほどが小さな村に住む。手首に鉄を巻きつけることで、手が鉄になるというまじないをしている。「酸っぱい叫びのウズグレッグ」が族長。

  • ヴァンシャンキの呪い族

アランシア、フラットランドの遊牧部族。42名の一族の生き残り、「同族殺しのアーガー」王が率いる。数は約3000、多くの家族に別れ彷徨っている。


その他

タイタンには、オークの異種交配の結果と思しき種族が多く存在する。実際オークは、善悪両方の種族と交配し、その結果様々な種族が定着している。人間とオークの人(マン)オーク、ゴブリンとオークのホブゴブリン、トロールとオークのドラガー、など。

オークは同族同士においても、強い繁殖力を有しているため、タイタンから絶滅するという事はまずありえない。この強すぎる繁殖力が、オークの異種交配を産み出していると思われるが、その詳細は不明。

また、これらの異種交配種は、太古の魔導士の類が、魔法的な実験としてオークを素材に合成生物を作り出した結果という説もある(実際、現在でもカアスは、蛇と人間の合成実験を行っている)。

ただし、オークはこういった異種交配の存在に対しては、排斥する傾向にある。特にマンオークに関しては、人間はもちろん、オークですら仲間とは認めず、受け入れようとしないのが普通である。

そのため、マンオークは人気のない場所で、孤独に細々と生活している事が普通。


ではあるが、ホブゴブリンやドラガーなどは、一種族として定着するほどの多くの個体が存在している。彼らは独自のコミュニティを形成し、都市部などに他種族と混じっていたり、同族同士の集団を作るなどして生活している。

彼らもまた、大規模な、種族混成の軍隊に参加する事はよくあるが、その際にもほぼ全てが混沌軍・悪側の勢力に属する軍に参加している。


ゴブリン

同じく、邪悪の子供とも言われる種族。

オークに比べましだが、オークと異なり軍隊を組織せず、田舎では農業やガラクタ漁りなどを行っている者が大半。だが、機会があれば強盗をする事も珍しくない。

オークよりも多少は頭が回り、最近ではオークに前列に立たされることは少なくなっている。

オーク軍に奉仕する場合、独立部隊を構成する事も多い。「スカラグリムの魂喰らい十字軍」「極楽の血まみれ執行部隊」などが有名(ゴブリンは大げさな部隊名を付ける事が多い)。


ゴブリンの出自は不明。神話でも記されておらず、専門家もそれぞれ異なる説を述べるにとどまる。

以下の説が有力。

1:ハシャクの子説

神話で、オークの創造主ハシャクが、改めて創った説。

2:森人の兄弟説

森人(ウッドリング)や小人(ピクシー)などの先祖が、邪悪な傾向を有して進化したのがゴブリンという説。

3:異種交配説

オークが善悪問わず様々な他種族と交配し、その結果生まれた説。しかしオークには無い特徴がゴブリンには存在する(小さな仕掛けや罠、拷問道具などをゴブリンは作るのが得意で、生活の中で用いる傾向がある。これはうぬぼれの強いオークには無い性質)。


出自はともかく、現在はゴブリンはタイタン中どこにでも存在している。

また、沼ゴブリン「ウグラック・ジェイ」族は、普通のゴブリン以上に残酷でずるがしこい。

ゴブリンの生活

ゴブリンは自分たちを「ゴブリン国家」「ハラジャン・ジェイ」などと呼ぶが、そんな国家は存在しない。

小さな部族を作って生活しており、他の部族とは互いに認め合っている。が、大半は自分たちの生活が保障されればそれでよく、他部族はどうでもいい。


部族はテリトリー内、洞窟や村に住む。支配者は族長と祈祷師。

部族の集会所がテリトリーの中心部で、トーテムポールや環状列石などがある。そこで集まり、騒がしい祭りを行うのが普通。

族長は一族最強の者が選ばれる。ゴブリンは信心深く、祈祷師は信仰する神や下位神、半神とつながりのある存在と思われている。

ハシャクを信仰している他、ゴブリンの英雄(片目のウルム、「ドワーフ蒸し」のジョルーン、三本指のクラーン・ウグバーなど)も崇拝の対象。

祈祷師は腰布だけを身に付け、飾り立てて喚き散らす事が多いが、時には魔法を使ったり、過去の亡霊を呼び出せる者もいる。

また、トーテムの管理も祈祷師が行っている。


ゴブリンは、大抵が農業や狩猟を行い生活している。都市部に住む者は、ガラクタ漁りなどをして、小さな商店を商っている者も。しかし気晴らしに他の居住区に襲撃したり、旅人に強盗したりする事は珍しくない。

また、あらゆる罠や仕掛けを好み、自身の生活する洞窟などにはそういった仕掛けを施し、侵入者に対処している。この仕掛けは、ベテランの冒険者も二の足を踏ませるほど。


ゴブリンは混沌軍に参加する場合、独自の部隊を編成している。その際には軽歩兵が多く、罠を仕掛けたり、橋や道に破壊工作を仕掛けるなどが多い。また、オークと異なり士気も高い。


沼ゴブリン

沼に住むゴブリンは水かきを持ち、沼地に住む。通常のゴブリンと同じく汚らしくいやらしい生き物で、地上の親戚同様に罠や仕掛けを施すのが得意。

住処は沼の表面に、いかだの様な土台の上に泥と葦の小屋を作っている。

冒険者を捕まえたら、そいつを杭に縛り付け、沼の大型モンスターを誘き出す事に用いている。同様に、生餌を用い沼の大型の生き物を狩る事も行う。

指導者は持たないが、祈祷師を有している。信仰はハシャクの他、沼の怪物や半神といったものも崇拝する(巨大な不死のナメクジ・スルールム、沼霊の王ヴルグなど)。


沼ゴブリンは同族の別部族に対しても、しばしば紛争を起こしている。また、陸上のゴブリンも嫌い、平気で襲う。加えて、ココモコアといった沼に住む他種族とも仲が悪く常に戦っている。


ゴブリンの亜種

他にゴブリンの亜種として、ホブゴブリン、ガーク、近隣種としてトログロダイト(穴小人)といった種族が存在する。

それぞれの詳細は「タイタンの種族」を参照。これらの出自は、オークなどの異種族交配という説と、古代の魔導士の生体実験の結果という説がある。

また、トログロダイトは「ゴブリンが地底で独自に進化した種族」という説が主流。


トロール

混沌勢の重量級種族。

やはり出自は不明。オークと巨人の交配説、または伝説にあるようにハシャクがオークの前に作った説がある。


トロールは現在、タイタン各地に存在する。

棲息地は多いものの、個数は多くは無い(雌トロールの醜さが原因とも)。


全てのトロールは、人間を含む善側の種族に嫌われている。

特に丘トロールはドワーフと、種族的に因縁が深い。

700年前、ドワーフの英雄ハーラク・ヴァナグリムッソンは、丘トロールの種族に殺される事件があった。このヴァナグリムッソンの死体は、丘トロールの祈祷師によりゾンビと化して蘇り、支配下に置かれた。

ファングセインのドワーフたちは、この同胞の英雄と戦い、丘トロールの祈祷師を殺す事でヴァナグリムッソンを葬った。

以後、ドワーフは丘トロールに対し、バーサークするほど必死に戦うようになる。そうすれば負けた時も、身体が傷つき過ぎてアンデッド化されないだろうと考えているためだ。


丘トロール以外は、トロールは国家を作らず部族も構成しない。

トロールが属する場合、それは混沌や悪の軍勢のみ。これは、種族的な気質も関係している。

酒と暴力を好み、力強いために臆病さも無い。しかし極端に愚かで、オークを含むずるがしこい者に矢面に立たされることが多い。そしてトロール自身は、その事に全く気付いていない。


オーガ―(鬼)

以下は、オークの祈祷師が語ったオーガーの起源である。どこでこの説が生まれたのか、あるいは伝わったのかは不明だが、現在はこの説が定着している。


「最初の戦い」が終わった直後。

混沌の神々が虚空に追放された後、タイタンの各所には混沌の力が多く残った場所が多々あった。

オークの創造主ハシャクは、新たに自分が作ったオークのいくつかを、その場所に置いた。急いでいたため、確認はしていなかったのだ。

やがて、そのオークたちは混沌の力を受け変異し、全く新たな種族となった。それがオーガーである。

これゆえに、オーガーは最初から混沌を有している。オークには、姿も思想が似ている個体は存在するが、オーガーにはそれが無く、全ての個体が他と同じものは無い。

以後、オーガーは魔法大戦の時にも、混沌の軍勢の中心部隊を務め、タイタンを進軍した。

大戦終了後、オーガーは多くが討ち取られ、生き残りは世界中に散らばり現在に至る。


オーガーは文明社会から離れた地で、惨めな生活を送っている。部落など作らず、つがいになる以外はあまり集まらない。


文明社会ではオーガーを排斥しているが、大半のオーガーは外観は普通の大柄な種族に見えるため、生活している者も少なくは無い。


しかし、死人使いラザックのような悪の勢力のしもべとして働き始めており、同時に信頼できる存在としても認められつつある。

近年では、混沌の証はあまり出てこない(鱗の肌、おできや角、第三の眼と言った程度)。それどころか、訓練すれば、弓やスリングといった複雑な武器や道具を使いこなせるまでになっている。

有名なオーガーに、カーカバードはマンパン砦の拷問官ナッガマンテが居る。彼は仕事には有能で、タイタン中の拷問官にとっては伝説と化しており、彼自身の書籍も拷問官の聖典となっている。

天与の才能を活かせば、オーガーがいかに成功するか。それを現した一例とも言える。


また、旧世界レンドルランド、「神々の金床」と呼ばれる地の南部には、「3オーガー」という、魔術を用いる3体のオーガーが存在する。

彼らは、魔術や呪術をマスターしており、自在に操る事が可能という。これがいかなる存在なのか、その正体は正確には不明である。


蛇人(カアス)

オークやゴブリン、トロールといった存在と異なり、洗練され知性も高い悪の種族も、タイタンには当然存在する。

その一つがカアス。蛇の頭部を有する人型種族である。どくろ砂漠やシセラ砂漠など、熱い地域にのみ生息する冷血生物であり、自分たち以外の他種族は抹殺か隷属のどちらかとしか考えていない。


30年前、人間の商人ヴォロイドン・カルサックは、隊商を襲撃され、自分一人が生き残った。

彼はカアスの首都に連れて行かれ、そこで高位のカアスの奴隷として仕えた。

12年が過ぎ、カルサックは奴隷としてもそれなりの地位になり、一日の大半を自由に使える地位になる。以後、食料と水を少しずつ貯え、脱出を夢見ていた。

そして、好機を見出し脱出。砂漠の中を死にかけつつも、人間の隊商に拾われサラモニス市に辿り着き、一命をとりとめた。

カアスに関しては、このカルサックの証言が大きく、現在も役に立っている。


元より、カアスは魔王子シスが己の先兵として作り出した種族だった。シスは、蛇をこよなく愛し、蛇と人間を掛け合わせる事を試みていた。

何度もおぞましい失敗を重ね、やがてシスは「シュグクル(全ての聖なる父)」という名のカアスを作り出す。

コブラの頭部と四本腕を持つ人間だが、シュグクルは知性が劣っていた。しかしすぐに、シスは配偶者のカアス「フシュグクル(全ての聖なる母)」を作り出す。こちらは蛇の頭部に人間の女性の胴体を持つ。腕は二本だが、人間の知性と理性、そして蛇の狡猾さを持っていた。

シュグクルとフシュグクルはすぐに交わり、子供を多く産み、やがてはカアスは種族としてタイタンに定着した。


カアスの都市

カアスは、どくろ砂漠内。失われた都市ヴァトスのさらに南に、石造りの都市「シュクティス」、同じく要塞「クルスタル」「ストゥルラク」を建立しており、そこを拠点にしている。

その周辺の砂漠地帯に、都市を中心に円を描くように見張りの塔を立て、そこで蛇の尾を持つ警備兵「ジャストラーリ」に見張らせている。ここを横切る者は、誰であろうと生きて戻れない。


クルスタルは「輝く石の心臓」、ストゥルラクは「影の冷たい領域」、シュクティスは「崇拝者の憧れである、宝石をちりばめたオアシス」を意味する。

カルサックはストゥルラクで生活していたが、これらの都市および要塞は巨大な岩塊を削り作られている。そして、陽光を反射させ、これを通信手段に用いている。

内部は異様な作りになっているが、その技術はドワーフなどに匹敵。場所が砂漠である事もあいまって、未だにこの要塞や都市を攻めた者はいない。


ストゥルラクには高位の司祭が住み、ここの塔には魔術師の観測所と神秘学の図書室が存在する。

また、囚人の尋問も完璧で、催眠術や薬物、精神操作の呪文などで、どんな情報の断片も引き出す事が可能。

調べ上げたすべての知識や情報は、銅板や石板に解読不能の文字で刻まれ、図書室に保存される。


塔では望遠鏡を用い、天体観測を行い、詳細なデータも有している。

また、毒蛇のそれを始めとした、砂漠のサソリや毒虫などの毒に関する研究も行っており、武器に塗ったり尋問に用いたりなどしている。


また、シス同様に人間と蛇を掛け合わせ、新たな種を作る研究も欠かさない。ジャストラーリもその研究の成果だが、多くは(ポート・ブラックサンドの)蛇女王のような失敗作を生み出す結果になっている。


シスの代理人

カアスは高位の司祭が率い、軍司令官とシスのタイタンにおける代理人を兼任している。

ちなみにカルサックが仕えていた司祭の名は「フククレタス(刃から蜜の様に滴る毒液)」。シスに生贄を捧げ、シスの眷属を召喚する事を目的にしている。


しかしカアスは寒冷地には行けず、北上もできない。また、シスは兄弟たちの内乱にかまけ、カアスの事をないがしろにしている。

そのため、アランシアではイシュトラのトカゲ兵の方が、カアスよりも発展している。

トカゲ兵は現在ヴィモーナ市と戦っているが、その戦いの後には北上。そうなったらカアスと戦う事になり、どくろ砂漠、そして周辺地域は戦乱に巻き込まれる事になる。


トカゲ兵(リザードマン)

爬虫類という点は共通しているが、トカゲ兵とカアスは敵対している。

トカゲ兵は現在、カアス以上にアランシアに繁栄しており、脅威となっている。

出会った人間全てを殺そうとするため、トカゲ兵に関しては近年になるまでほとんど知られていなかった。が、ある時にトカゲ兵を生け捕りにして、催眠呪文によりいくつかの情報が明らかになった。


神話の『最初の戦い』に参加せず、トカゲの神スチス・チャはトカゲ兵を作り、沼地に置いていた。

その後、鼠の神カリーブの件があった後、タイタンに残されたトカゲ兵は沼地で繁栄。しかし原始的なままだった。

やがて、最初の戦いの後、魔王子イシュトラがこの沼地の探索を行った際。彼はトカゲ兵の存在を知り、その姿を現した。「火炎剣を手にした、巨大なトカゲ兵」の姿となったイシュトラを、トカゲ兵たちは自身の神ととらえ、信仰するように。

かくしてトカゲ兵は、イシュトラの奉仕種族となり、タイタンにおける彼の尖兵となった。


イシュトラの混沌の力は、時にエリートとしてトカゲ兵たちに双頭の個体を産み出させるように。

しかし同時に、奇形の変異トカゲ兵を産み出す遠因ともなった。


リアシュ・チャ

双頭トカゲ兵は全てが司祭ではない。しかし司祭は全てが双頭トカゲ兵で、エリートである「リアシュ・チャ」と呼ばれる。

あらゆることを行える権利と、聖なる赤い衣の着用、そして読み書きが行える。

信仰に関する事も全て司り、儀式や生贄などもまた司祭の役割である。首都シルアー・チャから離れた僧院には、天体観測所や研究所が存在し、長年溜め込んだ研究資料が溜め込まれている。


トカゲ兵は自分たちが最高の存在で、他の種族は隷属、または抹殺すべきと考えている。

とりわけ司祭は同族であっても、自分たち種族の神性・純粋性を重視。奇形の変異トカゲ兵を異端視し、生贄として捧げている。

こうして、トカゲ兵の宗教的な側面を双頭の司祭は担っているのだ。


トカゲ王

政治を司っているのは、トカゲ王である。部族はそれぞれのトカゲ王に治められ、それらの王は首都シルアー・チャの13人評議会に忠誠を誓っている。

トカゲ王はトカゲ兵の優性種族であり、今は別種族と化している。通常のトカゲ兵より優れているが、精神面に関しては司祭には敵わない。


13人評議会は、覇王・または「ルク・テン・チャ」と呼ばれる存在に率いられている。

これは神々に遣わされた監視者であると信じられ、130年の寿命を全うする前に、新たなトカゲ王の卵に転生。死した瞬間に新たな卵の個体に生まれ変わり、孵化した新トカゲ王が受け継ぐと信仰されている。

13歳になるまで、評議会が王の代行を順番で務め、ルク・テン・チャは13年かけて前の記憶や知識を思い出し、新たな支配者として君臨する……という仕掛けになっている。


首都シルアー・チャ

南アランシアの広大な沼地に存在する。沼地の上に木の板を渡している場所がほとんどだが、中心部は魔法で土台を固め、巨大な宮殿を建設。そこに覇王ルク・テン・チャは座している。


一般のトカゲ兵は近寄れず、寝殿、住居、立体交差している通路、塔、小屋、広場、プール、そして川の流れからも、シルアー・チャは切り離されている。


トカゲ兵の社会

一般トカゲ兵は、大半が部族に属し、それぞれの領域で生活している。

部族はそれぞれのトカゲ王が治めている。そして部族の違いを示すため、紋章を体に描くなどして区別している。


一家族は10~30名。全員が沼地の決められた場所、沼地の上に作られた小屋に住む。

多くは沼地で罠や槍、素手などで狩りを行う。また、一部は道具や武器を作る職人の仕事をしている。


トカゲ兵の多くは、帝国の軍属を志願する。その際には出来の良い鎧と武器を配給され、トカゲ兵という種族の栄光の為に戦い、トカゲ王に奉仕する。

変異トカゲ兵は、生まれた時から権利が与えられていない。異常な体力のみが推奨されており、軍に入る事以外に生きる道は存在しない。


その軍は整っており、6名から30名の戦闘部隊で構成。1000人までの戦士からなる集団に所属し、部隊長などを経て、トカゲ王に率いられている。

また、リアシュ・チャが直接率いる部隊も多く存在する。


変異トカゲ兵がまずは突撃し、騎兵部隊がそれに続く。騎兵は巨大トカゲに乗るが、飼育した恐竜(スティラコサウルスなど)に乗ったり、プテラノドンに乗って飛行する者もいる。


彼らトカゲ兵は、冷血生物ゆえに温暖地でしか生活できない。また、アランシアのみならず、クールなどにも小さな集団がいるらしいが、帝国は重視していない。


闇エルフ(ダークエルフ)

タイタンにおける、善なるエルフと異なる、夜の下僕たちにして悪の種族。

此方もまた、近年になるまで詳細は不明だったが、彼等に捕えられ奴隷として使われてきた人間やドワーフの脱走者から、少しずつ情報が明らかになっていった。


「最初の戦い」を終えた直後は、エルフは善なる種族のみだった。

だが、戦いを終えた後、エルフの大多数は再び森に引きこもり、助けを請われる以外は森から出なかった。

だが、エルフの一部は中立の立場に居る事に疑問を抱き始めた。最も賢く長命で、戦いも強いのなら、他の種族、ひいては世界の支配者になるべきではないかと。

オークやゴブリンなどの悪の種族との終わりなき戦いも、その考えを後押ししていた。


エルフ評議会は、この考えを否決。今まで通りの非干渉を続ける事になった。

人間など定命の者たちの戦いに、エルフが直接参加すべきではない。助言と形だけの援助で充分。むしろ関わったら、エルフは種族として疲弊しかねない。多くのエルフは、そう考えていた。


が、エルフの王族の一人、善なる英雄にして戦士、ヴィライデル・ケリスリオン王子……エルフは支配者になるべきという革新派のエルフは、これに不満を抱いていた。

加えて、ヴィライデル王子は、ある神……アル・アンワール・ゲリサン(影の灰色の囁き)、人間の間では「悪意の神スラング」と呼ばれる神の侍祭だった。

人間を理解するため、一部のエルフはこっそりと信仰していた。そしてそれは、他のエルフに知られる事無く続いていたのだ。


やがてヴィライデルは我慢できなくなり、自分の勢力のエルフをかき集め、フラットランドの評議会があるエルフの砦を襲撃。評議会のエルフの王族やリーダーたちを虐殺し、自分が権力を握った。


しかし、評議会のエルフ、グロリアン・テレマス王や、その子供たち、他の僅かなリーダーたちは、テレマスの后アリエル・アウルリンドルの持つ力……神の啓示による予知能力により、襲撃を避ける事に成功していた。

三日後にテレマス王率いるエルフ軍が砦を囲い、反撃が始まった。

戦いは20日が過ぎ、ヴィライデル側の使者が休戦協定のために進み出てきた。


しかし彼らは、単なる時間稼ぎだった。既にヴィライデル側はトンネルを掘り、地下に脱出する計画を立てており、使者たちが降伏勧告を伝えるために戻り、その後にテレマス王が砦に攻め込んだが、中はもぬけの殻だった。


ヴィライデルはケリスリオン家の故郷に逃れ、独立国を作ろうとした。

しかしテレマス王の軍勢はそこにも攻め込み、ヴィライデル軍は山へ、現在の月岩山地へと後退。残党は最後の逃げ場所として用意していた、見捨てられたドワーフの地下都市へと逃げた。

地下への道は塞がれ、テレマス王は追撃を断念。新たな評議会の砦が別の場所に立てられ、この反乱の記録は抹消。そして「オーク戦争」が勃発し、エルフはそちらに注力した。


逃げ込んだヴィライデルは、その地下都市で繁栄し始めた。

そして、食用キノコやコケの発見と栽培、大トカゲや大甲虫の飼育と乗用、岩の掘りかた、地下での生活など、それらを学んでいったのだ。

やがて西に掘り進んだ彼らは、北西アランシア、ダークウッドの森の地下の巨大洞窟に辿り着き、そこで更に繁栄していった。

スラングのみならず、魔王子マイユールなども信仰。ここに闇に生きる、邪悪な種族……闇エルフが誕生した。


森エルフおよび地上に住む善きエルフ全般は、今は闇エルフの事を倒すべき悪だと認識。憎み合う両者は出会ったら、容赦なく殺し合うようになっている。

アランシアのみならず、現在はクールの方にも闇エルフはいるようだが、詳細は不明。


地下都市

ダークサイド、住民にはデュランデュイル・ケルサスと呼ばれる地下都市に、闇エルフは生活している。

蛍光植物や蛍光キノコ、ランタンなどが光をもたらし、狂気の意匠がほどこされた通路や建物が、迷路のような構造を作っている。

中心部には、ケリスリオンの宮殿(エンユー・リンデール・ケリスリオン)が鎮座している。


闇エルフの社会は、魔術王(ソーサラーキング)、および魔女王(ウィッチクイーン)が統治。

全ての闇エルフは何らかの一族に所属しており、拡大家族の様相を呈している。

一族は都市の区域をそれぞれ有しており、彼らこそが法律であり絶対である。そのため、別の一族が入るためには許可が必要になる。

また、一族にはシンボルが存在。それを有している事で一族の者と判明される。


各部族は互いに激しく競い合い、陰謀や権力争いの抗争が普通に行われており、全面戦争という名の皆殺し行為も珍しくない。


主要貴族は、以下の四つ。

  • テサラス家

シンボルは『銀ダイヤと黒甲虫』

昆虫飼育、食料準備(キノコなど)、農耕地整備、食料輸送を担当。

  • キャムカーネイヤー家

シンボルは『八角形の白髑髏』

奴隷確保(地上襲撃)、保安、暗殺、王家警備を担当。

※この一族は闇エルフという種族自体、および都市に忠誠を誓っているため、誰の味方もせず、同族の闇エルフは誰もが恐れている。王族すらも彼らには逆らえない。

  • ミリスグロス家

シンボルは『黒の細い棒と緑宝石』

採掘、金属細工、精錬を担当。

  • ケリスリオン家

シンボルは『銀の短剣と王冠』

政治、統治、種族支配を担当。


闇エルフの生活

貧民は存在するが、ほぼ全ての闇エルフは豊かな生活を送っている。

奴隷を酷使し、鉱山から貴金属を採掘させているため、金銭的には豊かなのだ。

また、ダークサイドの全ての闇エルフは、貴族、または貴族に関わっており、その容姿も非常に美しい。特に女性の闇エルフは、ビロードのような黒い肌、銀白色の神、深い緑の瞳を有し、この世のものとは思えない美しさを有している。


しかし、貴族社会ゆえに競争も激しい。キノコ料理やコケ酒を揃えた宴会の際には、参加者は侮蔑と嘲笑、時には暴力を以て、他者を出し抜こうとしている。そうする事で自分がより優位に、ひいては権力を得ようと争っているのだ。


闇エルフの商人は、地上とも交易を結んでいる。

ただしそれは、地上から奴隷を駆り立てるため。オークや丘トロールの部族が手に入れた人間やドワーフを、銀や宝石と引き換えに入手。奴隷としているのだ。

むろん、キャムカーネイヤー家が先頭に立って地上を直接襲撃し、自前で奴隷を捕まえてもいる。

彼らは洞窟や鉱山を拡張し続けているため、奴隷はいくらいても足りないのだ。人間以外には、体力があり採掘が得意ゆえ、ドワーフも奴隷として人気がある。

オーク、ゴブリン、トロールも奴隷に用いられる事はあるが、弱く、機転が利かないため、殺される事が多い。


なお、森エルフ他善きエルフは奴隷に使われない。殺してしまうか、捕まえても四肢切断や意志剥奪などの拷問を行い、最後には恐るべき儀式の生贄にしてしまうため。

エルフも、一言もしゃべらずうめきすらあげない。なので森エルフから情報を得る事はできていない。


地上襲撃は、大抵はキャムカーネイヤー家の者が行っている。

8人以上の集団で、隠された出入口から地上に出た後、人間を襲い拉致するのだ。

通常は孤立した農場や小村を襲撃対象とする。その際には、家畜が騒がないように呪文をかけてから行う。

そして火矢を射かけ、匕首を用い犠牲者を黙らせると、捕虜とした者を奴隷として連れ帰る。

この襲撃の範囲は、このところ拡大しているという。


魔術王と魔女王

ケリスリオン宮殿に、統治者たる闇エルフは座している。

ケリスリオン家は五名の評議会「シェルン・ケリスリオン」が動かしているが、話合いの他、互いに互いを蹴落とすための陰謀を企みあうことで進められている。

  • アイルドン・ケリスリオン王

名目上の支配者にして現在の王。

年老いた弱々しい老人で、周囲は自分を蹴落とさんとしていると、偏執狂に陥っている。

誰も信じず、会議にもめったに顔を出さない。魔王子マイユールの侍祭で、自分の母親を生贄にする事で援助と助言を受けている。

その時の助言で「狂気の持ち主により、ケリスリオン王座は脅かされる」と聞いており、他の四人を警戒している……その狂気の持ち主が、自分だとは全く思わず。

  • ヴェリコーマ・エンデュール・ケリスリオン皇女

アイルドンの妹で、衰弱した兄を殺そうと思えばいつでも殺せる。兄を含め、他の四人に恐れや侮りは有しておらず、自信に満ち溢れている。

ダークサイドの高司祭で、過去には兄に、マイユールの助言を受けるようにそそのかしている。

冷淡かつ、愚か者には厳しい。だが、有能な者にはその力を認め、取り立てる事も多い。多くの闇エルフからは恐れられている。

  • アストリア、ガラスリム皇子、リア・ガラスリム皇女

アイルドンとヴェリコーマの従兄妹。二人で宮廷の権力バランスを保っている。知的かつ冷静で、アイルドンの偏執狂、ヴェリコーマの陰謀性といったものは有していない。

二人はスラングの崇拝者であり、この神への信仰を用いる事で陰謀と抗争を押さえつけ、闇エルフの社会をかろうじて成立させている。

二人の兄妹が権力争いを始めた場合、この二人が実権を握ると目されている。リアは、キャムカーネイヤー家の長、タラグル・キャムカーネイヤーの妻だからである。

  • メネル・イシルギール皇子

評議会の五人の中で、もっとも激しやすい。人生の大半をキャムカーネイヤー家が行う地上襲撃に費やしており、政治には関わっていなかった。かつては軍事行動や、余興の森エルフへの拷問および生贄の儀式などにしか、評議会に出席していなかった。

しかし、自分より権力を有していた彼の母親が、無名の囚人の手により殺されたため、イシルギール家の長となった。このために彼が参加せざるを得ず、評議会は正当に機能できるようになっている。

なお、母親が殺された事は、ヴェリコーマの陰謀と思われているが、実はガラスリム兄妹の仕業である。


黒エルフ(ブラックエルフ)

なお、タイタンにおける黒エルフは、かつてはこの闇エルフの一派であった。

しかし、徐々に邪悪と混沌に染まっていく仲間に恐れをなし、離反。

再び地上に舞い戻るも、森エルフおよび善きエルフからは、闇エルフについていった裏切り者扱いされ、かつてのエルフの故郷からは拒絶されてしまった。

かくして彼らは、自分たちで小さな集団を形成。放浪生活をしたり、人間の都市部の隅に居を構え、独自に生活するようになった。

こうして、かつてのエルフの洗練さは失われ、世俗にまみれた存在に変貌。エルフの半端者としてタイタン中に散らばり、現在に至っている。

現在黒エルフは、組織立っておらず、都市部などで散発的に見られるのみである。故に闇エルフのような、完全な邪悪な存在とは言えない。彼らは隊商を組んだり、都市部で刹那的かつ退廃的に過ごしたりしている事が多い。

一応、エルフゆえに弓の扱いはうまく、時には冒険者や傭兵になったり、どこかの軍に志願したりもしている。ただし、やはりその出自と周囲の評判から、混沌に近い軍や集団に属してしまう事が多い。盗賊に身をやつしている者も少なくない。

また、闇エルフはもちろん、善きエルフに対しても快くは思っておらず、他のエルフを見ると攻撃するか排斥するのが普通である。


水の王国

タイタンには陸上のみならず、海底にも国や知的種族、そしてモンスターが多く存在している。

海洋を行く船団、そして海賊などがこれらと遭遇、時には交戦する事もある。


「時」が、「死」の神に解き放たれる前。海の神ハイダナはタイタンの海底に生活していた。

魚など海洋生物とともに過ごしていたハイダナは、ロガーンを始めとする神々が、人間を始めとする知的種族を創造した事を知り、人間が海に繰り出した時に彼らを海中に引きずり込んで調べてみようと試みた。


当初、ハイダナに引きずり込まれた人間たちはすぐに溺死。しかし何度かそれを繰り返し、ハイダナは彼らが空気を吸っている事を知る。

やがてハイダナは、今度は肺とともにえらを付ける事で、引きずり込んだ者たちを海中で生きられるようにした。

彼らは当初、怯えていたが、すぐに数も増えて行き、定着するように。

やがて地上と同じく、村や町を作り、文明を築き出した。

ハイダナは人間だけでなく、エルフ、トロール、巨人なども同じくえらを付け、海中にも多くの種族が定住するようになっていった。


そして、ハイダナもまた、善と混沌の「最初の戦い」に参加。終わった後にハイダナは傷つき、海底の奥底に引きこもった。

彼は今も、タイタンの深海に存在しているという。


そして海中の種族は、その姿を次第に変化させ、人間は下半身が魚の「人魚」となった。彼らはイルカやアザラシなどと仲良くなり、ともに生きるように。

海エルフや海巨人などもまた、うろこの肌やえらなどが、その身体に生じるようになっていった。

海中の世界もまた、当初は平和だった。


海底種族の分裂

しかし、地上と同様に海底にもまた戦乱の嵐が吹き始めた。

海トロールは人魚らと共存していたところを、締めだして自分たちが資源を独占するように。

しかも、過去に人魚や海エルフが海トロールを北の住みにくい海域に追いやった事も持ち出し、対立し始めた。

やがてこれは、大規模な戦争になった。

北の海トロールの族長、クルリアフ・ストームトゥースの海域に、人魚たちは話合いのための使節団を送り込んだが、彼らは海トロールやサメなどの不意打ちをうけ全滅してしまった。

そして死体は、都市プワルラに流れ、それを追ったサメの群れにプワルラは襲われ全滅してしまった。


かくして人魚族は海トロールと全面戦争になり、現在も対立している。

人魚は海トロールを、今ではシャラドリン(「深き者」の意)と呼び、今も警戒を怠っていない。


なお、人魚は陸の人々とは接触を避けている。海底の出来事の方に注力すべきと考えており、関心が無いのだ。

彼らは武器として、サンゴの枝の槍や貝殻を削り出した短剣、網を用いる事が多い。

女性の人魚は戯れに陸の男を誘うが、彼らが海底に誘われ人魚と化したら、その男を捨て、また別の男を狙う。

冒険者などが魔法のえらなどで一時的に海底にもぐり、人魚と接触した際には丁重に迎えられることもあるが、あまり打ち解けず、短い滞在になるのが普通である。


海エルフ、他の水中種族

海エルフは、陸のエルフ同様に善側で長命、しかし他の種族とあまり関わらない。海トロールも手出しさせないほどの実力を持ち、人魚以上に水中生活に対応している。

カメレオンの様に皮膚の色を変えて、岩や海底に紛れる事も可能。武器は人魚のそれと同じものを用いるが、水中銃(石弓)の使用法も長けている。

また、サソリ魚から取った麻痺毒の使用法にも長けている。


海草の森に隠された村に住み、クモガニやタコに守らせている。統治しているのは司祭。魔術をよくし、海の伝承にもなっている。

人魚と異なり、陸のエルフとも交流があり、100年に一度のエルフの会議にも参加。その際には用意された大水槽で過ごす。


海巨人は巨体で、単体で洞窟などで生活している。機転が利かず、おっとりした性格で、自分の力が周りにどう影響を与えるのかを理解できていない。

海トロールとの戦いには協力してくれるが、人魚族は巨人に作物を踏まれ台無しにされる事もあるため、迷惑がっている一面も有する。


水没都市アトランティス

タイタンには、アトランティスの伝説が存在する。そしてこれに関連し、かつては一つしか無かった大陸が、神々の怒りにより三つに分断され、現在の形に収まったという大災厄も起こっている。


かつてイリタリア大陸一つしか存在しなかった時代。

その西の海上には、大きめの島が一つ存在していた。

神の使節アトランにちなみ、アトランティスと命名されたその島は、当時のタイタンの知識の中心部として栄え、賢者や魔術師たちのメッカとなっていた。


そして、金脈があることから裕福でもあり、そこから狙われもした。が、侵略者はアトランティスの雇った傭兵たちの前にことごとく敗れるのみ。

そうしてますます栄え、アトランティスの王国は交易と学問の中心地になった。

が、当時の王・ファラモス12世が世継ぎを残さずに亡くなった後、後継者問題が浮上。

後継者探しの結果、大陸南西部の小国・ケリオスに、王のまた従兄弟を発見。その16歳の少年が、ファラモス王の後任者となった。

彼、ファラモス13世は若く未熟だったが、やがてアトランティスの強大な権力を振るい、次第に大陸内の王国へ侵略戦争を仕掛けるように。

アトランティス軍はその強大な軍事力と資金力、権力、知識により、大陸の国家は蹂躙され、大陸内には戦乱の嵐が。

アトランティス人たちは、自分たちこそがタイタンで最も優秀であると思い始め、アトランティスの軍門に下った者たちも、それに飲まれるように。

やがては、彼らはタイタンを乗っ取ろうと目論み始める。


善き神々は、それを黙って見ていられなくなった。

そして、若き少年王・ファラモス13世が、魔王子マイユールの変装した姿だという疑いが濃くなり、後にそれが明らかに。

神々は、アトランティス軍へと嵐を放ち、海中のハイダナが放った大津波はアトランティス島を飲み込んだ。

大地の女神スロッフは「アトランのかがり火」、つまり火山を噴火させ、アトランティス島は沈没した。


マイユールは追い詰められたものの、魔界に逃げおおせてしまった。

大陸は神々の大災害により三つに分断され、そして現在の形……アランシア、旧世界、クールへと別れ、現在に至る。


アトランティスは現在、海底に完全に水没。人魚と海トロールとの故郷となっている。

そして金貨や財宝、マジックアイテムなどは、時折漁師の網に引っかかり、かつての栄華を偲ばせている。

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