概要
「モンスター事典_奈落の底から(以下、『モンスター事典』)」とは、ゲームブックシリーズ「ファイティング・ファンタジー」シリーズのゲーム内世界「タイタン」に登場する、各モンスターのデータ集である。
原題は「OUT OF THE PIT」。
後に続編「BEYOND OF THE PIT(超・モンスター事典_奈落の彼方に)」も発刊された。
元々は、イギリスにて。
ペンギン・ブックスとイギリスのゲーム制作会社ゲームズ・ワークショップにより、1983年から1986年にかけて発行された雑誌「ウォーロック」誌上にて掲載されていた連載記事だった。
ファイティング・ファンタジー(以下、FF)各巻に登場するモンスターについて解説しており、1985年に、編集長のマーク・ガスコインによって単行本化された。
日本では、1986年に、「火吹山の魔法使い」を出版していた社会思想社・教養文庫より、邦訳が発売された。
のちに、ゲームブック事体が衰退し、ブームも終了。邦訳版はもちろん、原書版も絶版となった。
しかし、2011年に「アドバンスド・ファイティング・ファンタジー(AFF)」第二版の展開とともに新版として再販。日本でも書苑新社より判型・邦訳を変えて再販された。
同書内では、モンスターのデータを羅列するのみならず、のちに「タイタン」としてまとめられる世界観そのものの紹介も行われていた。
「タイタン」内で、それまでに登場した作品の舞台である「アランシア」の地図が掲載されたのは、この「モンスター事典」が本邦初である。
アランシアのみならず、「ソーサリー」の舞台となった「カーカバード(この邦訳も、本書が初。それまではカクハバード)」の地図も同じく掲載されており、火吹山から始まる世界観とソーサリーのそれとが同じ事も示唆していた。
当時の作者および編集者たちの狙いは、
1:ゲームブック作中に登場する各モンスターの解説。
2:TPRGとして遊ぶとき、モンスターのデータブックとして活用してもらう(あとついでに世界観のデータも付随)。
というものがあった。
1に関しては、ゲームブック劇中には、様々なモンスターが登場するが、劇中だけではあまり詳細が描かれず、その生態も説明されないままという事も多かった。そのため、「『モンスターとしての特徴』を魅力的に描き紹介する書籍」という一面があった。
2に関しては、もとよりD&Dから始まるテーブルトークRPGにおいては、サプリメントとして「モンスターマニュアル」のようなデータ集は必須かつ人気のあるものだった。FFシリーズにおいてもそれは同じであり、各モンスターのデータを決めておくことで、AFFに登場させ遊ぶようにするため、本書を活用してほしいという意図もあった。
加えて、本書はゲームブックそのものを知っていればもちろん、知らなくとも「未知の怪物たちを掲載した書籍」として読んでいても面白い一冊になっている。
同じく、簡単に掲載されたアランシア及びカーカバードの地図も併用する事で「ファンタジー世界のガイドブック」といった一面も有している。単なる数値的なデータ集に留まらない、読者の想像力そのものを刺激し、かき立てるような造りになっているのだ。
ここから、FFおよびAFFに触れるというのもまた一興である。
内容
各モンスターは、以下の記述が決められている。
- 技術点・体力点
攻撃力を決める数値と、体力の数値。平均値であり、全く同じというわけではない。だいたい1~2点程度の個体差が存在する。
- 攻撃体数
一度に、何体の敵と同時に戦えるかという数値。
プレイヤーがソロの時は関係ない。その際にも記述はない。複数プレイヤーがいる場合、この数値が記述される事もある。そのため、基本的には1。(ちなみに、プレイヤー側は常に1。複数と同時に戦えるが、体力を減らせるのは一体のみ)。
- 生息地
そのモンスターとよく出会う場所を表す。複数が挙げられている場合、最初に挙げられているものが、最もよく見つかる場所。
各生息地に関しては、下記を参照。
- 遭遇数
モンスターが出会う時、大体どのくらいの数かを示す数値。しかし種類によっては、常に一体だけというモンスターも存在する。
- 分類
おおまかに分けられた種別。詳細は以下を参照。所持している宝物を決める際に、この分類により変化する(ただし、そのモンスターの性格や性質から、宝物やアイテムを所持する・しないと決められているものも多い)。
- 反応
冒険者と初遭遇した際、モンスターが示す反応。次のどれかになる。
なお、反応が複数併記されるモンスターも存在するが、これは個体差や状況、もしくは冒険者の言動などで変化する事があるためである。
友好的:温厚で、敵意を見せる事はない。食べ物を分けてくれたり、情報をもたらしてくれたりもする。ただし、あえて友好的になり、逆に冒険者を罠に仕掛けたり、油断を誘い襲おうとするモンスターもいるため注意。
中立:当初は用心するが、あからさまに敵意を示す事は少ない。攻撃をしかけたら自衛のために反撃するだろうが、こちらが注意深く接すれば結構友好的になる。
非友好的:あからさまに不快感をしめし、警戒する。即座に攻撃する事はないが、状況をどうすべきか思考する事で判断する。襲って来る事もあるだろうが、あるいは警戒したまま退散する事もある。
攻撃的:即座に攻撃を仕掛けてくる。これは凶暴だったり、空腹だったり、あるいは知能が低いために自分以外は全て敵とみなしていたりする事が多い。
- 知能
モンスターの知性を表す。以下参照。
高い:大抵の人型種族はこれに分類。人間はこの「高い」の中くらいに位置する。また、太古から生きるドラゴンの類や、上位デーモン、魔法や知恵を心得ている存在なども、これに分類される。
普通:ほとんどのモンスターや野生動物などは、これに分類される。オークやゴブリンなども、これに位置する。
低い:モンスターの一部がこれに分類。単に命令された事をそのまま行う、あるいは本能的にしか動かないようなものが当てはまる。
なし:通常、植物のみがこれに分類される。機械的かつ本能的に動くのみで、意志疎通事体不可能。
知性が髙ければ、戦闘時にも知恵を活かして振る舞ったり、呪文や特殊な武器を用いる事も可能。また、戦闘以外でもこちらからの説得を聞き入れる、話合いで解決する事もあり得る。
逆に知性が低ければ、単に戦いでは飛び掛かるのみ、力任せに向かって来るのみで、冒険者側が(罠に追い込むなど)知恵を用いて倒す、という事も可能性が高くなる。
生息地
街、市街地:村や町、その他居住区。人間に飼われていたり、あるいは人間とともに生活していたりする者が多い。知的種族で人と生活しているものも含む(地下下水道も市街地に含むが、その際には注釈が入る)。
廃墟・遺跡:地上の建築物全般。塔、城、屋敷なども含む。
地下迷宮:人工的に作られた、地下に広がり罠なども仕掛けられた迷宮。特殊な環境のため、モンスター自体も特殊かつ強力なもの、人工的に作られたり強化されたりした種も多い。ただし自然の洞窟は含まれない。
洞窟:自然にできた洞窟の類。上記地下迷宮とは異なり、自然に棲みついた生物などが出現する事が多い。
平原(草原):広く、普通に草が茂っている場所。
河川:内陸を走る川。
沼地:湿地帯。柔らかい地面が広がる地域。完全な湖とは異なる。
沼湖:内陸部における水源地。湖や池や沼なども含む。海洋とは異なる水棲モンスターが潜む事が多い。
森林:木々が生い茂っている地域。
海洋:海。海上のみならず海中も含まれる。広大であるため、陸上の河川や湖とは根本的に異なる水棲モンスターが存在する。
山岳:山。険しい山岳地帯であり、空気が薄いため独特の生態系を有する。
丘陵:丘。山岳地ほど険しくもないが、平原ほど平坦ではなく、木々もそれなりに茂っているような地域。森林や山岳とは違う生態系を有する。
荒野:広く荒れており、岩がちで草木もほとんどない、不毛な土地。しかし砂漠とは異なる。
砂漠:ほぼ砂の過酷な環境。砂の中に身体を埋めて隠れていたり、砂中に潜り進んだりするモンスターもいる。
氷原:寒冷地全般。雪と氷に覆われた地域で、これに上記の地域(山岳・平原など)の特徴も加わる事もある。
魔界(デモニックプレーン):いわゆる、デーモンが生息する別次元。
精霊界(マジカルプレーン:同じく、精霊種の棲息する別次元。
分類
人型:人間、エルフ、ドワーフ、オーク、ゴブリンなど、ヒューマノイド全般。知性を有し、社会生活を営むなどの特徴を有するものも多いが、単に人間同様に四肢を持ち二足歩行するだけのモンスターもこのカテゴリになる。なお、ケンタウロスのような半人半獣の類は「人型/動物」といった分類になる。
動物:哺乳類を中心とした全般。タイタンにおいては「ファイアフォックス(火狐)」「スカンク熊」といった、ただの動物であっても特殊能力を有する種も多く存在する。
爬虫類:トカゲ、ヘビなど、爬虫類全般。巨大トカゲや大蛇なども含まれ、恐竜もこのカテゴリになるが、ドラゴンなどは含まれない。
両生類:カエルなど、両生類全般。
鳥:鳥類全般。
昆虫:昆虫類全般。クモやサソリなども、このカテゴリになる。
魚類:サメなど、魚類全般。タコやイカ、イルカやクジラなどもこれに分類。
甲殻類:エビやカニなど、甲殻類全般。
植物:植物全般。肉食・吸血性の植物の他、アイテムを盗んだり、眠らせたり、ただの植物でも自力で動いたりと、特徴的な種の多く存在する(これには薬草や果物・野菜、毒草の類は含まれない)。
魔法生物:ゴーレムなど、魔法を媒介にして誕生したり、魔法そのものが変化したりして存在するようなモンスターの類。精霊(エレメンタル)などもこのカテゴリになる。
アンデッド:ゾンビやヴァンパイアなど、アンデッドモンスターのカテゴリ。タイタンにおいてはアンデッドは魔界と関係が深いため、上位アンデッドは銀や魔法の武器でないと通用しない。炎や聖水なども効果がある。
デーモン:魔界に住まう、悪魔や魔物といった存在。上位の存在は強力そのものだが、下位の存在は冒険者でも何とか倒せる(それでも十分強力だが)。やはり魔法や魔法の武器しか通用しない。
モンスター:上記に分類されない、モンスター一般がこちらになる。ドラゴンのような強力かつ長命で賢い存在から、単に暴れまわるだけのもの、普通の動物とは言えない存在など、その種類は多岐にわたる。
代表的なモンスター
膨大な数になるため、代表的な物に留める。
エルフ、ドワーフ、オーク、ゴブリンといった人型種族に関しては「タイタンの種族」を参照。
ドラゴン(竜)
代表的なファンタジージャンルにおけるモンスター。本作でも多く登場。外観も他作品とほぼ同じく、コウモリ状の翼を持ち、火炎や氷や酸などのブレスを吐き、長命かつ強力で賢い。皮の色により種族的な違いを有している。
若竜は生まれてから100歳未満の個体で、身長12m程度。保護と日々の糧を与えてくれる有力者の人間(妖術師や邪悪な指導者)と協力関係を結ぶ事も。若竜は、魔法や学問には疎い(魔術師に教わったり、賢者と知識を交換するより、宝物集めに精を出しているため)。
100歳~500歳の成竜は、身長25m。ごくまれにしか目撃されず、時間のほとんどをねぐら(山や地下深くの洞窟)に、莫大な宝を抱え眠っている。しかし若竜とは比較にならないほど強力。
古代のドラゴンは目撃例がなく、タイタンでも数百年の間誰も見ていない。
その皮は強力な鎧の素材となるため、大きな交易都市では1mにつき金貨50枚の値が付く。
- ゴールドドラゴン(金竜)
金色のドラゴン。砂漠や山頂の塔や城に住む。ドラゴンの中で最も高貴かつ、人間には寛容。魔法や魔術に関する議論を好み、そのために訪問した魔術師や賢者には特に友好的。しかし野蛮な者は嫌い、そういう相手には帯状の火炎ブレスと巨体、牙と爪で対抗する。皮膚は頑丈でほぼ傷もつけられない。
- シルバードラゴン(銀竜)
銀色のドラゴン。金色の同族を妬んでいるところがあるが、実力行使になることはまれ。やや気難しく、若干攻撃的。隔絶された土地に住む。冷気のブレスを吐くが、炎が苦手。相手が大勢かつ炎で攻撃して来たら、立ち向かうより所有している宝物から何かくれてやる事を選ぶ。
- レッドドラゴン(赤竜)
赤色のドラゴン。洞窟に潜み、財宝集めに喜びを感じている。疑い深く好戦的で、出会った者全てを自分のお宝を狙う盗賊と決め込み、即座に攻撃する。ブレスは強力な火球。
- ブラックドラゴン(黒竜)
黒色のドラゴン。山岳地帯の洞窟に巣を作り、近隣の村々を襲い、そこの住民や家畜を餌食にする。ブレスは悪臭を伴った有毒ガス。若竜は小さな洞窟しか使えないが、成竜は巨大で複雑な洞窟を用いる。そこには時折、ゴブリンやオークなど様々な種族を住まわせており、危機の時に用いるための秘密の出入口も存在する。
- ホワイトドラゴン(白竜)
白色のドラゴン。寒冷地にしか住めず、氷を切り出した洞窟や城に住む。ドラゴン中最も気紛れで、出会った者全てを食料とする。ブレスは氷の息で、これで死んだ犠牲者をすぐに喰わず、大きな氷の中に残しておく(必要になったら氷から掻きだし食う)。
- グリーンドラゴン(緑竜)
緑色のドラゴン。森林の奥深く、遺跡や山腹の洞窟に住む。成竜は定住地から離れた、熱帯密林の奥深くに居るようになる。細い炎のブレスを吐く。
- ウォーム(ワーム、地竜、土竜)
ドラゴンではないが、血縁関係があると思しき種族。長命かつ高い知能を有し、トカゲのような頭部とコウモリのような皮の翼を持つ。しかし飛行能力は無く、手足も欠いている。胴体は細長く、見た目は翼のある大蛇に近い。体色は白で、保護色になる豪雪の寒冷地、ないしはその洞窟に住む。
牙で噛みつく事は出来るが、重たげな身体は戦いには向いてない。戦闘時には翼を広げてバランスを取りつつ、氷のブレスで攻撃する。食料を巡って、ホワイトドラゴンとはしばしば争っている。
- ワイバーン
飛竜。最大で翼長10m。ドラゴンによく似ているが、足は二本。そのため、鱗のある鳥に近い。火炎のブレスを持つが、放射ではなく、一瞬爆発するタイプ。中には長く伸びる尻尾の先に、小剣程度の長さの毒針を持つ種もいる。
- ドラコン(竜獅子)
ライオンの神ロガールと、その妻の金竜クリソラの間にできた子孫たち。体長6mの巨大な獅子の身体に、ドラゴンの鉤爪と牙を持つ。その眼差しもドラゴンのそれで、鬣は金色。肩からは小さめのドラゴンの翼を持ち、短い距離を飛行できる。
古い遺跡や打ち捨てられた洞窟に住み、傲慢と言えるほどの高いプライドを有する。来訪者に対しては、自身の先祖や血縁を延々説明したがり、礼儀にも厳しい。
客が無礼で野蛮な場合、怒って攻撃するが、その際にも相手を嘲り続ける。不利になったら、自身の隠された宝物庫から財宝を差し出し、命乞いをする。
このため、礼儀正しい冒険者なら貴重なアイテムを授けられるが、強欲で不誠実な者には呪いのアイテムを手渡されたりする。
アンデッド
他作品には見られないと思しき、特徴的なもののみを記載。
- スピリット・ストーカー(死鬼)
青白く腐敗した身体を持つアンデッド。ゾンビ同様に魔術師により作られるが、ゾンビと異なり生前の知能を有しているため、非常に手ごわい。触っただけで相手の肉体を焼くことが出来、しかも通常の武器は通じない。しかし銀の武器で攻撃されると、肉体は塵となり消滅する。
- クリプト・ストーカー(墓歩き)
貴人や高位の人間の墓に、財宝の守り人として置かれるアンデッド。元は主の気に入りの従者。見た目はゾンビに近く、ただ主人の墓を護るのみの存在。聖水および魔法、魔法の武器でないとダメージは負わない。
- ワイト(墓鬼)
上記クリプト・ストーカーに似ているが、こちらは自主的に変化した。愛された領主が死に、忠実な従者が墓守を続けた後。その行き過ぎた忠誠心が妄執になり、その結果アンデッド化した存在。やはり主人の墓を守っており、銀の武器のみ通用する。冷気を帯びており、攻撃の際には相手に追加ダメージを与える。そうして殺した相手の死体に儀礼用の服を着せ、自身が奪った生命力を死んだ主人に捧げ、蘇ってほしいと祈る。
- ファントム(幽鬼)
外套を着てランタンを掲げ、暗闇を歩くアンデッド。骨に肌をぴっちり張り付けた外観で、落ちくぼんだ眼窩の眼差しを見たら、麻痺してしまう。戦っても通常の武器は効かない。しかし銀製品に触れると塵になってしまう。
- ディケイヤー(腐れ)
スケルトン(骸骨)の一種。ゾンビなどと同じく、魔術師が死霊術を用い、何らかの命令を下すために白骨死体から作り出した存在。
カビたぼろぼろの服に身を包み、骨も黄色く薄汚れ、周囲の空気を澱ませている。ほとんど視認不可能な疫病の胞子を周囲にまき散らしているため、戦いを含め接近した場合。運が悪ければ下記「腐れ病」に感染してしまう。
胞子が接近した者の体内に入ると、一週間の潜伏期間を経て(この間、犠牲者は感染に気付かない)、いきなり立ち上がれないほどの高熱を出す。
ここから次第に悪化し、やがて激痛とともに肌を破りカビが弾け出して体力を徐々に奪い、死ぬまでそれが続く。
これで死亡した場合、犠牲者の死体を焼却せねば、24時間後に新たなディケイヤーとして復活、元のディケイヤーに下された命令に従う。
感染者を救うには、潜伏期間までに癒し手を探し出し、その技量を用いて体内のカビを殺す必要がある。しかし貴重な薬草が必要であり、それを探している間に手遅れになる事も少なくない。
動物
哺乳類
- ボルケット
猿に似ているが、熊の近隣種。茶緑色の長い体毛に覆われ、森林に棲む。草食性で花やベリー、植物の根などを食べる。その肉は柔らかく汁気が多いため、ライオンやジャッカルと言った猛獣によく狙われる。そのため、強靭な四肢と機敏さを有しており、ひと飛びで10mも跳躍できる。
猿、類人猿
- ハルン
小柄な猿。脇腹に薄い膜状の翼があり、これで山岳地帯を滑空する。
- クレル
6本の細長い腕を持つ猿。利口な動物で、貴人や魔術師などのペットや使い魔として飼われる事も多い。使い魔として優秀で、隠密活動やスパイ、スリのような盗みを行ったりする。また、芸人に芸を教えられたり、特別あつらえの服を着させられ礼儀作法を教えられたりも。独特の言語を持ち、人間の中にはそれを覚えた者も居る。
- チャムパック
緑色の体色を持つ、人間大の猿。老いた魔術師を思わせる人間に酷似した顔を持ち、見た者は「人と猿の混血」と誤解するほど。知能も高く、人間を含む、これまで知った動物全ての声を真似る事が可能。
遭遇したら友好的に振舞い、会話しつつ相手の警戒を解く。が、隙を見ていきなり攻撃し、殺した後にその脳を貪る。消化しつつ、喰らった脳の知識・知能を一部取り込む能力を有しているため、満腹になったら非常に強力なモンスターとなる。故に、遭遇したら即座に殺すべき。
- 死霊猿
縄張り意識の強い猿で、縄張りに入った全てのものを攻撃する。ハルンと同様に、脇腹にムササビのような膜を有し、それで滑空。侵入した者に襲い掛かる。真っ黒な皮膚を持つため、夜間での攻撃は中々気付かれにくい。死霊の名前は、滑空するその姿が死霊を連想させるほどに恐ろしいため。また、鋭く硬い『剣の木』の葉を、ナイフ代わりに用いる事もある。
- マンギー
死霊猿に似た外観を持つ、群れて行動する小柄な猿。黄金にどうしようもなく引き付けられており、住処を通りかかっただけで襲いかかられ、金貨を盗まれる。これ以外は無害だが、素早すぎるために、戦ったり捕まえる事はほぼ不可能。
- ハウルキャット(鳴き山猫)
猿の一種だが、大型犬ほどの大きさで、ライオンに似た顔とタテガミを持つため、発見当初は山猫の一種と思われていた。牙と、手足の一本の爪で攻撃する他、名前の由来となった雄叫びを発し、敵を怯ませることが出来る。
犬・狼
- 犬類
ごく普通の犬。現実世界におけるイヌ同様に、野生の種や飼われているものなど多くが存在。
特筆すべきは以下の種。
死の犬(デスドッグ):月に遠吠えするため、月の犬(ムーンドッグ)の別名を持つ。普通の犬の四倍近い体格で、凶暴かつ残忍。敵を追跡し殺す猟犬の他、戦場で敵兵を騎馬ごと殺す殺人犬としても用いられている。
狼犬(ウルフドッグ):最もありふれた、ごく普通の犬。猟犬や番犬として、人間をはじめとした飼い主に付き従っている。強い忠誠心を有し、その世話や訓練も死の犬以上に扱いやすい。
野犬:集団で行動し、痩せこけて、常に飢えている。群れはリーダーに従っているが、このリーダーを殺せば群れの他の個体は逃げていく。
- 狼類
同じく、ごく普通の狼。北方のいたるところに存在し、小さな群れを為し徘徊。
通常の狼の他、下記の特殊な狼がタイタンには存在する。
雪狼(スノーウルフ):表現や荒野に棲息する、通常の狼より大型の種。分厚い白色の毛皮を持ち、両目は赤い。氷原に住むホブゴブリンの亜種「トア・スオ」は、雪狼を訓練し、イエティやフロスト・ジャイアントの襲撃に用いている。
犬狼(ウルフハウンド):犬と狼の混血種。通常の狼と大きさは変わらないが、細身で足も短め。狼犬と同様に子犬から訓練すれば、忠誠心に溢れた良き番犬になる。
- 大アールド狼
南方の平原に住む、大柄な狼に似た獣。ハイエナに近く、主食は昆虫。身体の縞模様は、草むらに隠れる際の擬態となる。その腿肉は食用にされる事もある。
- アーコル
狼の一種だが、肩から翼を生やし、空を飛ぶことができる。空中から獲物を見つけ襲い掛かる事が多い。
爬虫類
- グレッチ
トカゲ兵に似た二足歩行の爬虫類。砂漠に棲み、昼間は砂中に身を潜めている。常に食料を求めており、隊商などの獲物が近づいたらいきなり砂中から襲撃する。両手の先は一本だけの鉤爪が生えており、短剣以上に鋭い。
両生類
- マッド・クロウ(泥爪)
小型の二足歩行の両生類。腕に短剣ほどの鋭い爪を持ち、沼地に集団で棲息。群れで獲物を囲み、全方位から襲い掛かり引き裂いて食べる。
鳥類
- 鷲
猛禽類の一種。タイタンでも存在し、野生の種の他、鷹狩りに用いるため飼われていたりもする。
金冠鷲:カーカバード南部、アナランド北部丘陵地のみで見られる。頭部は名前の由来となった、金冠を思わせる黄金色になっている。数世紀前からアナランド人に飼われ飼育されており、現在は全ての個体が飼育されたもの。
狩猟や戦闘の他、伝令の使者として用いられている。集中する事で自身を透明化する『不可視の衣』という能力を有しており、これを用いて、見つかることなく伝令の使命を果たす。
大鷲:巨大な鷲。人間やエルフに飼いならされ、乗用になっているものもある。
- 鷹
同じく猛禽類。やや小型の「死鷹」、大型の「夜鷹」が存在する。
魚類
- スナッパーフィッシュ(噛みつき魚)
人の腕程度の大きさを持つ肉食魚。その大きな口には鋭い歯が並んでおり、ピラニア同様に集団で水に入って来た獲物に噛みつき喰らう。顎の力が異常に強く、噛まれたら神経にも衝撃を与え、ピラニア以上の被害を受ける(体力点三点、技術点一点を引く)。なお、ピラニアもタイタンには存在している。
- ウナギ
流血ウナギ:河川に住み、踏み込んだ獲物に噛みつく。大きさは約1m。
電気ウナギ:流血ウナギの約半分程度の大きさ。強力な電撃を放つ事が出来る。
大ウナギ:最大役8m、太さ30cm。やはり流血ウナギの様に噛みつくが、大蛇の様に獲物に巻きつき絞め殺す事が可能。ワニなども絞殺できる。
昆虫
- 大バエ
いわゆる、昆虫のハエだが、タイタンには1・5mほどの巨大なハエがモンスターとして存在する。通常のハエ以外に、下記の亜種が居る。
大蛍バエ:大きさ50cmほどで、夜行性。闇の中で発光する。攻撃を受けたら、敵に電撃を放つ。
大針バエ:大きさ1mほどで、ハチのように尻から針が伸びており、それを用いて攻撃する。
銛(もり)バエ:大きさは15cmほど。針バエと異なり口に太い針を有し、それを飛ばす(名前の由来は、この針が銛のようだから)。針には強力な麻痺毒があり、これで動物を麻痺させ、卵を産み付け生きたまま幼虫の餌にする。運よく治療薬の持ち合わせがあれば、場合によっては麻痺から逃れられる(ただし、体力は回復しない)。
- 肉ウジ
小型のウジ虫。無数の群れとなって蠢いており、人間を含めた生きた動物の肉を食らう。
植物
いわゆる、人喰い植物的なモンスターも、タイタンには多く存在する。
- 大うつぼ蔓
ウツボカズラの巨大版。人間やそれより大きな動物も捕え、養分とする。壺状で雨水を溜め込んだ花瓶部と、その口から生える7mの触手で構成。花瓶の中に落ちるように誘う事もあれば、触手を巻きつかせ花瓶に入れる事もある。
花瓶内は針で覆われ、這い出ようとするとダメージを食らう。更に溜めた雨水内に消化液を分泌し、獲物を溶かしてしまう。花瓶の内壁は頑丈で、攻撃してもダメージは与えられないが、仲間が外側から攻撃する事は可能。ただし触手とも戦わねばならない。花瓶を破壊できれば、内部の虜は助かる。
分泌する消化液は、金属を溶かすほどではないので、何かしらのお宝が残っている可能性が有る。
- 大ハエ地獄
ハエ地獄の巨大版。幹の本体から長く蔦が数本伸び、その蔦の先に顎状のハエジゴクが付いている。
罠のように顎は開き、下生えの中に潜み、それに踏み込むと顎に咥え込まれ、ゆっくり消化されてしまう。こじ開ける事は不可能で、内部を爪または短剣で攻撃するしかない。外側からの攻撃も出来るが、虜も傷つく。顎をよけて本体の幹を攻撃すれば、全ての顎から解放される。
金属は消化出来ないため、周囲の地面からは過去の犠牲者の持ち物が見つかる可能性が高い。
- 絡み草
背の低い草だが、細長い葉は獲物に巻きつき吸血する。下生えの中に潜んでいるため、人間でも気付かない事が多い。
- くびり草
背の高い幹から、無数の蔦が伸びて垂れ下がっている草。蔦に近づき触れると、残りの蔦が全て動き出し、近づいた者を縛り上げる。そしてそのまま幹の上部に持ち上げ、じっくり搾り上げて血液や体液を吸いつくす。
助かりたくば戦わねばならないが、負けたらそのまま死体は搾り尽くされ、浮かんだままの骸骨だけが残される。
- くびり藪(締まり木)
触手のような木の枝を持つ灌木。くびり草同様、踏み込んだ獲物に絡みつき、藪の奥に引きずり込む。そのままじっくりと締め続け、獲物が息絶えたらそのまま体液を絞り出す。五回戦って逃れられなければ虜は死ぬが、魔力を秘めた斧を用いたり、「木の皮のエッセンス」のような誤魔化す香料のようなものがあれば、逃れる事は可能。
- ドリッパー・プラント(雫の木)
別名「死の雫」。3m程度の低木で、太い幹の上には星形の黄色い花が一年中咲いている。
花は基部に広がる細長い根の上に張り出しており、何らかの動物が根に触れると、ねばつく蜜に似た毒液を垂らす。
これは即効性の接触毒で、触れた者は苦痛とともに死に、死体は根により分解され養分となる。
その根元には、過去の犠牲者たちの所有していた金属製品が多く残されており、価値のある宝物も含まれているかもしれない。
- 眠り草
炎のような鮮やかな赤色の葉の間に、小さな花を咲かせる植物。ごく普通の植物で、肉食系ではなく、直接的な危険性は無い。
花は潰れると甘い香りを放ち、嗅いだ者を深い眠りに誘う。「火吹山」の山頂に群生しており、この赤色の葉のために、火吹山の名前が付いた。
ライオンなどの肉食の猛獣は、楽をして獲物を手に入れんと、この植物の近くに潜んでいる事がある。しかし眠った獲物を遠くに引きずっていかないと、自身も眠ってしまう。そのため、冒険者がこの草の為に眠りに落ち、目を覚ますと「ぐっすり眠った肉食の獣に、周囲を囲まれている」という状況に出くわす事もある。
魔法生物
いわゆる、魔法により産み出されたり、魔力を生来有していたり、魔法そのものといったたぐいのモンスター。
人型の魔法生物。魔術師が、自らに仕えさせるため作り出した存在。その創造には強力な魔法と一日がかりの儀式が必要だが、一部の魔術師は適切な材料に呪文を唱えて、瞬時にゴーレムを生じる方法を考案し実行している。主なものは、以下の三種。
:フレッシュゴーレム(肉ゴーレム)
人間の死体が素材。多くの死体を歪に縫い合わせ、ゴーレムとしたもの。思考や会話はできない。戦いに際しては、握りこぶしで敵を叩き潰す。身長は約3m。
:石ゴーレム(ストーンゴーレム)
石像に命を吹き込んだゴーレム。実際、ただの石像に見間違われる事が多く、それを見越して不意を突くために作られ置かれる事もある。三種の中では最強。
石の素手で戦う他、石の武器も有している可能性もある。剣や斧など、刃のついた武器は効果はないが、メイスやウォーハンマーなどの打撃系武器なら通常のダメージを与えられる。
:ウッドゴーレム(木のゴーレム)
木製のゴーレム。一本の丸太から作る必要はないものの、同じ木から採れた木材を用いねばならない。動き出せばあらゆる魔術に対する耐性を有する。これは魔法の武器でも同様で、効果は通常の武器と同じになる。
武器は通用するが、材質の問題で火炎には弱く、松明や火球の呪文などを用いられれば燃えてしまう。
- センチネル(番人、変身番兵)
一種のゴーレム。金貨や小さな宝石などに魔術師が魔法薬で仕掛けを施したもの。これらを財宝の一番上に置いておき、泥棒や盗賊が手を出して触れる事で、大柄な番兵に変身し襲い掛かる。
- クリスタル・ウォリアー(結晶戦士)
一種のゴーレム。石英の塊から削り出された人型に、かりそめの命を入れた存在。主に魔術師の本拠地や寝所に至る通路などに、警護の目的で置かれる事が多い。人間なら二名、印なら一つを記憶する事が可能で、それらの人物、または印を持つ者のみを通し、そ例外を敵とみなす。
敵に対しては、握りこぶし、または携えた武器を用い殴打する。そして逆に攻撃されても、刃のついた武器は通用しない。
打撃系武器ならダメージを与えられるも、その持ち合わせがない場合はクリスタル・ウォリアーに叩き潰される羽目となる。
- チェンジリング(取り換え児)
変身能力を持つ怪物。人間の赤子の姿で泣きつつ待ち構え、助けようと抱き上げあやしてくれた者に襲い掛かる。変身するモンスターは大柄で強力なものが多いが、姿を模しているだけなので特殊能力までは模倣していない(グールの麻痺の爪、デーモンの通常の武器無効化など)。ある程度戦い傷を負うと、何度か別のモンスターに変身し襲い掛かるが、最後には赤子の姿に戻り絶命する。
- リーフ・ビースト(木の葉の獣、木の葉獣)
ポート・ブラックサンド内の植物園、そこに植えられた黒蓮の周囲には、刈りこまれた繁みがある。ライオン、虎、ヒョウに狩り込まれているそれらは、黒蓮を盗もうとする不届き者がいたら、命を得て、台座から躍り出て盗人に襲い掛かる。植物なので火炎に弱い。
- エレメンタル(精霊)
いわゆる四大元素そのものを司る存在。火、風、大地、水の四種が記載されている。非常に強力な存在で、それぞれの元素で身体が構成されており、大まかに人型をしている。魔法や魔法の武器しか通用しない。しかしそれらを用いて戦いを挑んでも、非常に強いために冒険者が勝つことはほぼ不可能。仮に倒せたとしても、ある程度の日数が経過すれば復活する。善悪の概念は無く、純粋な力そのものといった存在。
- スーマ
善側・秩序側の神々の使いである精霊。神々の気に入りである冒険者に助力する事が任務だが、その存在を可能な限り知られる事無く任務を実行するのが普通(矢の狙いを外したり、モンスターの足を滑らすなど)。
ただし、絶体絶命の時やその存在を表す必要がある時は、言葉で直接語り掛けたり、美しい人間の男の姿を取ったりして現れ、助言したり導いたりする。
世界の善悪のバランスをとるため、あくまでも直接の手出しは出来ず、行えるのは冒険者を導く事のみである。
デーモン
魔界に住まう邪悪と混沌の悪魔たち。魔王子など上位のデーモンがタイタンに降り立つ事はまれだが、下位のデーモンは魔術師に召喚されたり、上位のデーモンに派遣されたりなどして、タイタンに現れる事も多い。また、魔界に無関係な存在でも、「デーモンを模したもの」「デーモンのように恐ろしく手ごわい」という事から、デーモンの名を冠するモンスターも存在する。
- アース・デーモン(土魔人)
魔界とは無関係。土の塊がいきなり土中から立ち上がり、大まかな人型をとり攻撃する。土に触れていると強いが、抱え上げられるなどして地面から離されると致命傷を負う。元は、妖術師が地面にこぼした魔法薬から、最初の一体が生まれたらしい。
- ロック・デーモン(岩魔人)
魔界とは無関係。岩の巨人の姿だが、普通に動きしなり、刃で切り裂ける。強力だが通常の武器が通じる。元は魔王子たちが、アース・エレメンタルを茶化すために作ったものらしい。
- 死のクモ
巨大なクモの胴体に、悪意で歪んだ人間の頭部を持つデーモン。周囲には細い銀色のクモの糸が張られており、不用心な冒険者を誘い込む。攻撃が一度でも成功したり、糸に触れさせたりしたら、相手を魂ごと魔界に引きずり込むことが出来る。
- デーモン・スポーン(魑魅魍魎)
地獄の軍勢の一兵卒。力あるデーモンが、奪った魂から作り出した雑兵で、その姿は形を与えたデーモンの気紛れによる。おおまかに人型はしているが、不格好かつ混沌としており、一つとして同じ存在は無い。目を持たず、眼窩には暗い空洞があるのみ。知性も低く、数年で寿命が尽き、悪臭の粘液と化す。通常の武器は通用せず、戦う際には魔法の武器が必要。
- デーモン・サーバント(魔奴隷、魔奴)
魔界の低級な奴隷。その見た目はローブを着た骸骨。生前にデーモンに仕えていた者の魂から作られた存在で、その行動理念は主人に従う事のみ。賢くも無く、感情も欲望も意思もない。主や同輩とは、「兵士、必要。俺たち、なる」と片言のテレパシーで会話する。戦いの際に二回続けて攻撃を受けると、そのまま倒されてしまう。デーモン・スポーンよりかは階級は上。
- ヘル・デーモン(地獄魔人)
魔王子から、任務のため人間界によく派遣されるデーモン種。出会った人間を模倣し、模倣元は喰らって入れ替わる事で、文明圏に悪の種を蒔く。本来の姿は、角のある頭部と、鉤爪を持つ手、蹄を持つ足と、悪魔そのもの。地獄の業火で鍛えられたクリス・ナイフでないと傷つかない。タイタンではないが、「地獄の館」にも登場。
- ナンカ
人型の黒い煙の中に、双眸が浮かび上がっているデーモン。ガラスの小瓶の中に潜み、見逃しっこない場所にそれを置いて待つ事を好む。誰かがその小瓶を見つけ栓を開けると、中から出て開けた者を包み込み魂を奪う。同じく、タイタンではないが「地獄の館」にも登場。
- ホーンド・デーモン(角魔人)
別名ヤカー。見た目は虚ろかつ凶暴な人間。ぼろぼろの衣服を身に付け、両肩から大きな角を供えた、腐りかけた山羊の頭部を生やしている。初見では嫌悪と恐怖で、自動的に体力を奪われる。翼は無いが飛行可能で、手の鉤爪は短剣ほど鋭い。夜に出歩く者の魂を集めるために現れており、獲物を殺した後に心臓を抉り、魂は魔界の主人に持ち帰る。
- ファイア・デーモン(火炎魔人)
魔界で最もありふれたデーモン。概ね人型で、背中に翼、頭部に角、足に蹄を持つ。魔界の突撃隊長として地上に送られるのが普通で、携えた炎の剣と鞭で攻撃。鼻からは火炎を吹き付ける。押し出しが上手く、オークのような雑魚兵を従える事が得意。
モンスター(怪物)
上記に類しないモンスターも(当然ながら)多く存在する。
- カミソリ牙
火山地帯に住む、恐竜に似たモンスター。孵化して即座に攻撃を仕掛けるほど凶暴。目を欠いているが、鋭い嗅覚と他の生物への憎悪で感知し、出会った存在に全て攻撃を仕掛ける。その名の通り、口には鋭い牙が並び、それで噛みついて攻撃する。
- 触手怪物
河川や、洞窟または地下迷宮の、深い汚水溜まりなどに潜んでいる怪物。水に足を踏み入れた存在に、いきなり触手を巻き付けて水中に引きずり込み、そのまま締め付け攻撃しつつ溺死させようとする。襲われた側は、技術点以内の攻撃ラウンドで戦い勝たなければ、溺死してしまう。
- アイアン・イーター(鉄食い)
洞窟や地下迷宮などの天井に潜むスライムで、冒険者の頭上からいきなり落下し包み込む。しかしその狙いは獲物の肉体ではなく、鎧や武器に用いる鉄や金属。襲われた冒険者は無傷ですむが、兜や鉄鎧などを食べてしまうので、装備が失われてしまう(他作品ではこれが近いか)。
- ラッパー(翼包み)
同じく、洞窟や地下迷宮などの天井に潜むモンスター。大きな布状の身体を持ち、冒険者の頭上からいきなり襲い掛かり、その身体で包み込み、噛みついて攻撃する。
- タラトール
洞窟や地下迷宮に棲息するモンスター。二足歩行する人型で、身長2m。猿とカエルを合わせたような醜い顔で、全ての存在を憎悪し、攻撃しては食べてしまう。ぶよぶよした太った身体は、攻撃を受けても致命傷を受けず(ダメージを受けても一点少ない)、自身の鉤爪の付いた長い腕は強力な攻撃を放てる(体力点を三点引かれる)。
人型
- チェスト・トラップ(箱罠お化け)
宝箱や櫃などの内部に住む、グレムリンのような小柄なモンスター。冒険者などが箱を開けたとたんに不意打ちを食らわせる。
- ナイト・ストーカー(夜歩き)
恐ろしい面相と外観で、夜の闇の中をランタンの光を頼りにうろつきまわる人型モンスター。太い牙と爪を持ち、出会った者を端から襲い命を奪う。
- マーシュ・レイス(沼霊)
沼地に棲息するモンスター。アース・エレメンタルの親戚にあたる種らしく、泥状の身体を持つ。
沼地で怠惰に過ごしているが、人間など侵入者が迷い込んで来たら、集団で囲み、人型めいた姿を取って一気に立ち上がる(名前の由来は、この時の様子が、沼地に棲むアンデッドモンスターのようだと思われたため)。
立ち上がった後、唸り声で警告するが、それでも相手が下がらない場合、全員で一気に襲い掛かる。攻撃はのしかかり、相手を窒息させるというやり方で行う。また、身体が不定形なため、敵からの攻撃が当たってもダメージは僅か(一度に体力点を1点しか減らせない)。ただし、酷く傷つくと泥の中に崩れ落ち退却する。
- グレムリン
地下洞窟に住む小型の種族。無翼と有翼の二種存在する。
無翼型は50cm程度の身長で、頭でっかち。ボロに身を包み、大抵はダガーを武器にしている(小柄故それ以上は重すぎて使えない)。森林などの地下洞窟に隠れ住み、冒険者などの大きな獲物を襲って生活している。自分の住処のトンネルを掘り進み、地下迷宮に小さなトンネルを掘って繋げ、荒らしまわる事も多い。
有翼型は約15cm。その背中から大き目の翼が生えており、自在に空を飛べる。魔術師などにとっては使い魔として最適で、偵察や素材集めなどに用いている者も多い。しかし小柄過ぎて戦いには向かず、自前の牙で噛みつく程度しかできない。
- フィーンド(悪鬼)
宝物庫に潜む人型のモンスター。かつて古代の魔術で呼び出され、既に死して久しい主の宝物を護り続けている。赤い皮膚と頭部に角を有し、人間と同程度の逞しさを有する。戦闘時には爪のある腕で殴りつけるが、時折火炎を口から吐いて攻撃する。敵を倒したら、もっと炎を用いて死体を焼き、汁気たっぷりの焼肉として喰らった後に警護に戻る。
人型/動物
- クモ男
タランチュラ程度の大きさのクモだが、その頭部は人間。強力な毒の牙を持ち、一度でも噛みつかれたら相手は死ぬ。元は魔王の信徒たちが、魔王へより魂を捧げるために上記「死のクモ」に変身を願った事から生まれた存在。
その他
本書におけるモンスターたちの名称の翻訳は、社会思想社の頃は直訳ではなく、日本語訳が多かった(例:リザードマン→トカゲ男→トカゲ兵)。書苑新社版では、AFFに合わせる事もあり、横文字の直訳で掲載されている。
しかし、登場したゲームブック中の翻訳した名称とも異なっているものも多く、本書では翻訳の対比表も付いている。
例:「死のワナの地下迷宮」に登場した「Flying Guardian」。
ゲームブック劇中=空飛ぶ番人
モンスター事典旧版=聖護鳥
モンスター事典新版=フライング・ガーディアン