人物
マキャヴェリが著書『君主論』の中で、「君主の理想」として紹介したルネサンス期のイタリアに登場した人物。
乱世のイタリア半島において彗星のように現れ、そして消えていった男。
性格は冷酷で極めて野心家。機略に富んだ戦略家であると同時に武芸にも秀でており、大変な美男子だったと言われている。
生涯
ローマ教皇アレクサンデル六世(ロドリゴ・ボルジア)の息子として生まれ、成長後は教皇軍総司令官に就任。父親の地位と財産を足がかりに、知略謀略を張り巡らしながら戦国乱世のイタリア半島統一に乗り出す。
権謀術数と豪胆な戦略によって大暴れし、破竹の勢いで次々と領土を広げ地位と権力を高めていくが、同時にスペイン王をはじめ多くの政敵を作ってしまう。
1503年、父アレクサンデル六世と共に原因不明の重病にかかりダウン。(一説には政敵によってワインに毒を盛られたとも)
この間に父が死亡、後ろ盾を失うもチェーザレは未だ床に臥せったままで各所へ細かい対応をすることができなかった。
後に回復するもこの隙を突かれ、領土をいくつか失ってしまう。
さらに自らの地位の保障と引き換えにかつて父の政敵であったユリウス二世の教皇就任の後押しをするもまんまとハメられ、捕縛されたことで地位も財産もほぼ全てを失う。
その後、義兄の治めていたナバラ王国に落ち延びるが、ナバラ軍とスペイン軍との戦闘に一部隊を率いて参戦して戦死。31歳という若さだった。
彼の頑張り次第によってはイタリアも「へたりあ」と言われてしまう事は無かったかもしれない。
戦国乱世に生まれ統一を夢見るも夢半ばに散っていった壮絶な生きざまや容赦の無い苛烈な性格、強烈なカリスマ性という共通点からか、日本の織田信長と比較されることがある。
逸話
チェーザレは暗殺や謀殺、人質など非人道的な手段を多用していたがその目的や経緯に関しては非常に合理的かつ現実的であり、同時代の思想家マキャヴェリはその手腕を評価し著作『君主論』ではチェーザレを理想の君主として例示している。
ちなみにかの天才レオナルド・ダ・ヴィンチは一時期、彼のもとで建築技術総監督として働いていたことがある。
妹ルクレツィア・ボルジアのことを父と共に溺愛しており、政敵も多かったことから近親相姦のスキャンダルを立てられたこともある。
当然、根拠も根も葉もないゴシップではあるが、後世のチェーザレやルクレツィアを題材にした創作物では近親相姦を行なっている描写を盛り込まれていたりする。
チェーザレを題材にした主な日本の作品
アサシンクリード ブラザーフッド
日本語吹替え:諏訪部順一
アサシンに勝るとも劣らぬ高い戦闘能力と恐るべきカリスマ性を持つ宿敵として登場。
『エデンの秘宝』を利用してイタリア支配を目論み、主人公エツィオ率いるアサシン教団と死闘を繰り広げる。
チェーザレ 破壊の創造者
惣領冬実の歴史漫画作品の主人公(中央の人物)。
史実に則りつつ、非実在人物・アンジェロ(画像右)を読者目線のキャラクターとして導入部分で活用し、作者独自の解釈でチェーザレや従者ミゲル(画像左)といった周囲の人々を描いている。
作品はチェーザレのピサでの学生時代から始まり、時折時間軸を前後しつつ彼の生涯を追う。
その他
- 『バビロンまで何マイル?』:川原泉による漫画作品。日本人の高校生男女がルネサンス期のイタリアにトリップし、チェーザレとルクレツィア兄妹に出会う。
- 『カンタレラ』:黒うさPによるVOCALOID楽曲。もしくは氷栗優による漫画作品。どちらもチェーザレを題材としている。カンタレラはボルジア家が暗殺のために用いたとされる有名な毒薬のこと。