概要
白亜紀後期のイタリアに棲息したハドロサウルス科の鳥脚類で、属名は当時のヨーロッパ周辺に存在した内海・テチス海に由来して「テチス海のハドロサウルス」を意味する。命名されたのは2009年で、それ以前は「トリダクティロサウルス」と呼ばれてきた。
頭骨は比較的長く、首と尾は短い。このようなプロポーションは、指の本数の減少と共に、二足による走行への適応の結果であると言われている。
模式標本は全長4メートルほどとハドロサウルス科としては小型で、かつては近縁種テルマトサウルスと同じく島嶼性矮小化(島など狭い地域で動物が小型化すること)によるものと考えられていた。ところが2021年になって、模式標本より大型の個体の化石が新たに報告されたことで、当時のイタリアは島嶼性矮小化が起きるような小島ではなかった可能性が浮上している。