人物像
ディスティ・ノヴァは、木城ゆきとの漫画『銃夢』シリーズに登場する科学者。
『銃夢』の独特な世界観やザレムの存在を代表する人物で、物語でも重要な役割を成す。
ザレム出身者(ザレム人)で、好物は焼きプリン。
「キャハハハハハハ」という甲高い笑い声と、好物のプリンを食べた時の「おいちい!」という台詞、道化のような挙動で、自らの知的好奇心のためなら一切の罪悪感を抱くこと無く非人道的な人体実験を繰り返し、自身の体すら躊躇なく切り刻むことも厭わず、その結果として自身が死んだとしても一向に気にしない性格の持ち主。
正にマッドサイエンティストと言える人物であるが、根本的には科学者なので、非常に理知的で合理的な人物でもあり、年長者としてたびたび含蓄ある言葉で敵対するガリィ達を導いたり諭したりもするなど、単なる狂人というわけではない。
ザレム人もとい自身の出生には残酷な秘密が隠されており、それを知った狂気と精神的葛藤から「人間の業(カルマ/宿命)の克服」の研究に没頭し、多くの人生を狂わせたり残虐な実験を繰り返している。
なお同じくザレムの秘密を知ったザレム人のイド・ダイスケは発狂する前に自身で記憶を消し、ジム・ロスコーは絶望から「世界」を終わらせようとした。
敬称もとい愛称はノヴァ教授。pixivにおいても登録タグはこちらの方が多い。
姿は基本的にオールバックの白髪に、特徴的な金属製の眼鏡(ゴーグル)をかけ、白衣をまとっている。眼鏡は取り外すことができ(そういう目のサイボーグではない)、作中でも1度だけ外した際に下の素顔を見ることができた。
能力
上記のとおり「人間の業」の研究を生涯課題としているが、科学者としての専門は分子を組み立て極小のナノマシンを作り出す分子機械工学(ナノテクノロジー)と称している。ただしナノテクはあくまで目的達成の手段とのこと。
その技術は人体を細胞レベルから自在に修復・構築・改造し、果てには記憶(および服や装飾品)を含めた完全な人間のコピーを作るに至る。作中どんどん技術がエスカレートし、自身の全自動複製システム"ステレオトミー"を完成させた際は「全人類でもっとも不滅に近い存在になった」と自称するほど。(ガリィはそれを「人類最大の不幸」と酷評した)
漫画のストーリーとして言えば、ここまで技術がインフレすると生死の緊張感が薄れると思いきや、その能力と持ち前の斜め思考からコッソリとんでもない事を『Last Order』の開幕にしでかしており、逆にストーリーに生死の重さを突きつけた。
人間とは何か、自分とは何かを問われる物語の中核を成すネタバレなので、是非とも本書で確認していただきたい。
語録
作品中屈指の天災的頭脳を持ち、ある意味一番の被害者であり探求者である彼のセリフは長尺の演説の宝庫であり、コラージュや改変の素材としても用いられている。
「この世に『正気と狂気』など無い。あるのは一千の貌の狂気だけです。」
「現在は一瞬のうちに過去となり!誰もがいつかは死に!運命は人智をこえて荒れ狂う!それが当然だといわんばかりに!!私はそんなこの世の全てを憎む!熱力学第二法則を憎む!!」
「世界が残酷なのは、当たり前のことです
生の始まりは化学反応にすぎず
人間存在はただの記憶情報の影にすぎず
魂は存在せず 精神は神経細胞の火花にすぎず
神のいない無慈悲な世界でたった一人で生きねばならぬとしても…なお…
なお 我は意志の名の元に命じる
『生きよ』と!!」
「悪を目指すも良し!善を目指すも良し!道を探るのもいいでしょう…
しかし生きていなければ、生きていなければどんな才能も実を結ぶことは決してないのですよ!!」
「その者が自由意思を持っているか自動機械かは…生まれや体のつくりではなく…どう生きたかにかかっているのです!」
乗機
- 火星大王
- ノヴァ教授が左腕に着けた腕時計型の操縦機で操る巨大ロボット。全長:320m、重量8万8千トン、大王ハンドや大王砲などの強力な武装を持つ。元ネタのブリキ板の合わせ目による造形や、胸部装甲が観音開きに開いて速射砲がせり出すギミックも緻密に描かれた。元ネタは堀川玩具製のブリキのロボット。