概要
トライクース(Traîcousse)またはトレクシュとはベルギーのアルデンヌ地方からフランス南西部のマース川へ流れるスモワ川や、周辺にある池などの水域に棲むと伝承される魔物。
直径1mの巨大な蟹のような姿をしており、平らで丸みを帯びた体は手のひらほどの大きさの茶色がかった鱗で覆われている。
さらに人間の拳ほどもある目は血走り、大きな口には鮫のように鋭利な歯が隙間なく並んでいるとされる。
川の最も深く流れが速いところに潜んでおり、無数に生えた鋏状の脚で獲物を掴んで食べてしまう。
漁師や家畜、子供がそのような場所で行方不明になってしばらくすると、水面に血と泡が混じり合った犠牲者の皮や骨が浮かんでくるので、地元の人々は恐怖に打ち震えたのだという。
また地域によっては醜い姿の川の魔女として伝承されており、子供たちに水難事故の危険性を教えるために、この名が言及されるのである。