概要
1938年に、ユダヤ系アメリカ人のショローム・セクンダによって作られたイディッシュ語の楽曲。牧場から市場へ売られていくかわいそうな子牛を歌っている。人間の子供を子牛に見立てた反戦歌という説もある。これに関して、特にユダヤ人がナチスによって強制収容所に連行されていくときの様子を歌った歌という説もある(実際、この曲が発表された1938年以降ユダヤ人は「反社会分子」として強制収容所送りの対象とされるようになっている。尚、1940年代より始まったホロコーストとは直接的には無関係である)。反ユダヤ主義を批判した歌として歌われている。
歌詞の内容から転じて、何かを手放したり、売り飛ばしたりする事も指す。
原題は「ドナ」が「ダナ」で、ドナドナとなったのは英訳された時と言われている。イディッシュ語で、「アドナイ」(我が主よ)を略したもの。
日本語訳について
安井かずみの訳で歌われている。掲載されている音楽の教科書ありかつてはみんな知っている曲だったが、平成以降の世代はそうでもない。
なお原詩は最後の方で「ツバメは高く飛べるのに、可愛そうな牛は屠畜場へ売られていく」と歌うのだが、邦訳はまだない。なおアニメ『少女革命ウテナ』の回で、この歌が登場したためサウンドトラックへ何回かこの歌が収録された。一回男性コーラスで「フルコーラス(最後は原詩のまま)」と言うナイスなもの(歌詞カードに表記なし)が収録された。
インターネットスラングにおける「ドナドナ」
故郷を恋慕している子牛が無理やり市場へ売られていく様から「尾を引く心情があるのに無理やり引き離される」や「何か辛い場所へと無理やり連れて行く」といったニュアンスで使われる。
対象を売られていく子牛に見立て、使用者は対象を見送る立場になるので「ドナドナされる」と受動態で使われる場合が多い。
手放したくないものを手放すこと
長年愛用したものや手放したくないものを、様々な理由でどうしても手放さなければはならないとき、その愛着や惜しい心情をその物に重ねて、それが連れ去られていくというニュアンスで使われる。
使用例:長年愛用したバイクがドナドナされていった。
人を嫌な場所へ強制連行すること
未練や執着などでその場に留まっていたい人が警察など辛い場所へと無理やり連れて行かれるときにも使われる。
また、近年は転売チケットでイベントやコンサートに入場しようとした人が違反行為として係員にバックヤードなどに連行されていく様にも使われる。
使用例:トラブルで相手が自宅に怒鳴り込んできたので警察を呼んだらドナドナされていった。