CV:山川敦也/興津和幸(DiesiraePANTHEON)
概要
隔離街の外、ツォアルと呼ばれる世界に君臨する巨大組織――「イルミナティ」の幹部。
アスタロス、コールドブラット、ストライフにマスターと呼ばれる謎の男。
年齢的には若輩のはずなのだが、超然とした雰囲気や、侵しがたい美貌から象られる微笑は、怖気だつほどに美しく、常人が直視すれば発狂するか、または自ら命を絶つだろうと言わしめるほどの圧倒的な“格”が窺える。
感情の篭らぬその声音は幽冥の如く無機質ではあるが、誰しもに無意識下で“違っている”と感じさせる、奈落のような異質さを兼ね備え、誰も彼に逆らうことができない闇のカリスマ性を持つ。
組織に属しながらもイルミナティとは違う理念、"預言"の許に、配下の魔人たちを使ってリルを手に入れようと策謀を廻らす。
正体
PARADISE LOSTのラスボス。
のちに神座世界における第三神座・明星悲想天(ツォアル)の覇道神となる存在。神としての名は明星。
自身という魔の究極を孕んだ存在を産み落とした神・王冠の独裁者を愚昧なりと嘲笑う傍ら、旧文明の破壊を自らの意志のもと行った傲慢なる者でもある。
サタナイルの目的は罪(シン)から解放された新たなヒト、アダム・カドモン(完全なる生命)を創造し、神の領域に達する事である。
作中の天使とはその目的を達する為に彼によって創られた生命体である。
しかし、天使に心が生まれなかった為、この世にアビスの魔王を召喚し、ソドムを滅ぼす事でハルマゲドンを演出し、王冠にいる存在が干渉してくる事を目論むが、結果として預言という天啓を授かるに至る。
他作品での活躍
Diesirae
同じ神座万象シリーズに属する本作では、その存在が地の文にて示唆される。
メルクリウスが使用した素粒子間時間跳躍・因果律崩壊(エレメンタリーパーティクル・タイムパラドックス)は、本作に登場する式アスタロスのアレンジとの事。
神咒神威神楽
本作では、過去の神格の一柱として語られる。
神座世界における三番目の理「天道悲想天」を作り出した三代目の神。第三天・明けの明星。
第一天、第二天より続いてきた善悪の闘争に終止符を打った彼は、悪を完全に駆逐した高潔な世界を創り出し、作中では万象電子で出来た機械の理と評されている。
ただし、PARADISE LOSTの世界ののちに神座に達したサタナイルだったが、その治世の末期において自身が流出する際に行った歴史改変が災いして発生してしまった異世界から怪物が襲来し、超新星爆発で滅却されてしまった。
0か1しか認めないサタナイルは、自身の世界に塵が現れてしまった事に 「そうか。私は間違っていた。ならば消えよう。後は任せた」と潔く諦め、あっさりと退陣してしまったとされている。(アストがもし付いていたらそんな彼を絶対に止めているであろうから、ノウの元へと降りていったアストルートのトゥルーエンドが正史と思われる)
神咒神威神楽の作中では、やたらと持ち上げられているメルクリウスとは対照的に、神としての責任感が欠如している等とやや否定的に評されている。
しかし、 エンディングでライルやリル、ノウやソフィアといった堕天奈落の世界では弱肉強食の理のせいで過酷な人生を歩まざるを得なかった者達が念願の幸せを掴めていたようにそれでも彼の作り上げた世界は原作者公認で歴代屈指の幸福な世界と太鼓判を押す平和な理想郷そのもの。
住人が世界に対する不満や渇望を抱くような理不尽を防ぎ、この治世の下で流出者を出さなかったのは後にも先にもサタナイルだけであり、その偉業は自身を滅ぼした座の歴史における中興の祖と言われるメルクリウスや人の成長を促して異なる神々の共存を成せる黄昏の女神、多様な価値観を尊重する天照坐皇大御神にも決して劣らぬ大きな功績と言えよう。
Dies irae PANTHEON
神座の一角としてPARADISE LOST以来の本格登場となる。
前日譚である『神なる座に列し伝わる救世主(サオシュヤント・デサーティール)』にて、メルクリウスに座を譲った理由が明確に描写された。
上述の通りメルクリウスの出現時点ですぐに座を譲ってしまったことは真実であるものの、これは自身の管理する世界がその成り立ち・システムからして改善不可能な欠陥を抱えており、メルクリウスのような「バグ」が発生することを完全には防ぎえない、という事実を知ってしまったからである。
まったく衝動的なものではなく、論理的に「克服できない」と悟ったがゆえに座を去ったということであった。
また、他の歴代神と言葉を交え神座システムというものの幾ばくかの情報を得た彼は、このシステムのあまりにも規則性のある「流転」ぶりに「作為的なものがある」「裏で糸を引くものがいる」と推察するのだった。