しばしその命私に預けろ。それだけで時間は稼げる。このジョン=フォン=ノイマン、才能の一片、体感させてやるぞ
概要
現代コンピュータ生みの親となった数学者ジョン=フォン=ノイマンの廻り者。
偉人の杜のまとめ役を担っている人物であり、偉人の杜の初期メンバーの一人。仲間たちへの指示系統を一手に担っている事実上のリーダー格であり、そのため、メンバー達には指示を送るために携帯端末を持たせている。
年齢は19歳とされているが、後述の人物像や容姿からとてもそうは見えない
人物
その容姿は常に車椅子に腰掛けた少女。腰まで伸びた灰色の髪と、頭に付いた悪魔のような角とモニター、そして左右の瞳孔が『0』と『1』となっているが特徴的。これらの元ネタは、ニ進法、コンピューターの父という逸話、そして生前のあまりの計算能力から悪魔と呼ばれた逸話からである。
ただし、その可憐で小柄な見た目とは裏腹に、『可愛い』、『小さい』という言葉を本人は嫌っており、仲間内からも禁句とされている。
その人物像は数学者らしく合理的な思考を好み、不確かな占いや予知といったものを嫌っている。喋り方も抑揚がなく、どこか冷血な印象を与えるが、自身の演算を予知と揶揄されると3日は根に持つなど可愛らしい一面も持つ。
才能
『予測演算』
全ての情報を数値に変換し、あらゆる要素から未来を予測する能力。物質の変動だけではなく、人間の行動すら容易に予知することが出来るため、彼女の存在だけで圧倒的なアドバンテージを得ることが可能。
その効果の程は凄まじく、一般人であった東耶が、灰都でも敵わなかったアルバート・フィッシュを相手に数分間粘ることが出来ていた。
『電脳の主』
彼女の第二の才能。コンピュータの父という生前の偉業から得た能力で、世界中のコンピュータを支配下に置く才能。
どのようなコンピューターでも、ハッカーでも、プログラマーでも彼女が才能を行使した瞬間に全てハッキング、ジャックされてしまい、全てが筒抜けになってしまうという現代社会に於いては無敵に近い能力である。
しかし、万能の才能というわけではなく2つの大きな欠点を持つ。一つ目は、電波の届かない圏外であれば、この才能の影響を回避できること。そしてもう一つは彼女が支配できるのはあくまでも既存のノイマン型コンピュータだけであり、これらと構造が大きく異なる量子コンピューターであればこの才能は通用しない。
余談
彼女は灰都、東耶を除く廻り者の中で唯一ハッキリと年齢が設定されている人物である。これが何かしらの意味があるのか、それとも初期故の設定なのかは不明。
また、彼女が常に車椅子に乗っている理由は作中では明言されておらず、ただ歩くのが面倒なのか、それとも足が不自由なのかは不明である。
関連イラスト
関連タグ
リィンカーネーションの花弁 リィンカーネーションの花弁の登場人物一覧 ノイマン
悪魔と呼ばれた数学者の最期
偉人の杜との最終決戦時、東耶たちの最優先の目標は敵の全ての支柱となっているノイマンだった。彼女を無力化することによって、偉人の杜を崩す大きなきっかけになるという作戦が決行され、世界中のハッカーや電脳犯罪者、そして量子コンピューターを用いてコンピューターの父に挑む。その勝利条件は以前も一度起きたオーバーワークによる活動停止であり、彼女の疲労限界を狙うこと。
そして東耶はノイマン2と共にオリジナルのノイマンのリソースを少しでも浪費させるために対話に臨む。
「私の負けだ。」
なんと彼女はあっさりと白旗を上げた。西耶の遺産である量子コンピューターと、これまで軽んじていた人間の力を認めて降参した。
そして崩れゆく電脳世界の中、ノイマンは西耶の忘れ形見である東耶を母のように慈しむと、彼女が知り得る全ての真相を語る。
灰都と東耶を引き合わせたことは彼女のシナリオであり、更にはゲールの従属を受けたことすら彼女の予定通りだった。
「自覚があったのだ。非情になりきることができない」
彼女の真意は、西耶の罪人格の一掃を聞いた際に、仲間さえも切り捨てられる機械になる必要があると悟り、判断を鈍らせないようにゲールに協力を仰いだのだった。(ゲールの成り変わりについては後から知った事実であったようだが)
ただ、偉人類計画についてはノイマンも同意しており、計画の成就は輪廻の枝が指し示す未来であり、西耶の望んだ世界平和に最も近いとさえ考えていた。そして何より、廻り者の世界に東耶を巻き込んでしまった償いとして、才能を渇望していた彼に生き直すチャンスを与えようとしていた。しかし結果としては、東耶は不完全な廻り者となり罪人格の才能を与えてしまった。そのことを謝るノイマンであったが、東耶は今の自分があるのも、西耶の真実を知ることが出来たのも、仲間達に出会えたのも全てノイマンのおかげだと彼女を抱きしめて感謝を伝える。
「フフ…ノイマンもコーヒー好きなんですか?」
東耶のその言葉に、ノイマンは項羽や西耶とのささやかな思い出を回想すると涙を浮かべる。
「…さてね…忘れてしまったよ。きっと東耶も好きになる。私の最後の予測演算とでもしよう。」
そして、完全に空間が崩壊する前に今のゲールの正体について少しだけ情報を提示すると、何かに思い至るがそれを口にすることはなく、東耶に最大限のエールを送ると、別れを告げた。
「…さよなら。」
「ああ、さよなら。」
東耶と別れた後、新たな電脳の主となるノイマン2に自身の死が偉人の杜の次の一手のトリガーとなっていることを伝えると、上手くやれよと言葉を残す。
一方、現実世界のノイマンはオーバーワークによって甚大なダメージを負っていた。能力の権限も既にノイマン2が手中に収めており、文字通りの死に体となっていた。
王達を分断するという東耶達の目論見が達成された後、一人パラディソスに残ったナイチンゲールはノイマンに言葉を掛ける。
「お疲れ様でした。」
「ああ…全く疲れ…た…。…少し…休憩させてもらおう…。
誰かコーヒーでも…。」
こうしてノイマンは何処か満足げに微笑むと、その身体は花弁となって消えて逝った。