概要
量子の重ね合わせやもつれを利用して超並列処理を行い、理論上は従来のコンピューター(以下古典コンピューター)よりも遥かに(1億倍とか9000兆倍と呼ばれる)高速な処理速度が実現されると言われているコンピューター。
基本的なアイデアが発表されたのは1980年代で、2010年代にはハードウェアとして実装されているが、まだ上記の性能を発揮するには程遠い段階。
超すごい計算が行えるようなイメージがあるが、実は古典コンピューターで解けない問題は量子コンピューターでも解けない。これは量子コンピューターは古典コンピューターを拡張したものであり、古典コンピューターでも量子コンピューターの動作を(時間はとてもかかるかもしれないが)完全にシミュレートできることによる。
原理
古典コンピューターは0と1を使用した2進数で計算を行うが、量子コンピューターは0と1が重なり合った(つまりどちらでもある)状態にある量子ビットで計算を行う。従来のスーパーコンピューターよりも圧倒的に早く計算が可能となる...はずである。
「はず」というのは、古典コンピューターに比べて非常に演算エラーが多く、最低でも数千ステップに1回はエラーを起こすため、小規模な演算であってもエラー訂正なしでは使い物にならないからである。何万回、何千万回というステップで演算を行うにはエラー訂正の回路も巨大となるため、現在実装されている数十〜百数十量子ビット程度の量子コンピューターは大半の演算において古典コンピューターに比べお話にならない性能しか発揮できていない。
特にノイズ干渉に弱く、これをシャットアウトするために絶対零度近くにまで冷却しなければならず、筐体の大半は量子ビットを冷やすための冷凍庫となっている。そのため、常温での量子演算は研究課題の一つとして取り上げられている。過去に微分方程式や連立方程式を解くのに使われていたアナログコンピューターは計算は速いがノイズに弱いため廃れたが、量子コンピューターも似たような問題を抱えているのだ。
応用
量子コンピューターで性能が出る代表的な演算として、自然数の素因数分解が挙げられる。現在の暗号化技術は「桁数の多い素因数分解には時間がかかる」という点を暗号が説かれないことの根拠にしているので、量子コンピューターが実現すれば、現在のインターネットのセキュリティが裸同然になってしまうという危険性がある。
一方、量子コンピューターは量子テレポーテーションの原理を使えば絶対に解けない(盗聴や攻撃を受けた際に必ず感知出来る)量子暗号通信も行う事が出来るとされ、この研究も同様に行われている。
市販品
中国SpinQ社が2020年から教育用に核磁気共鳴量子コンピューターを商品化・販売している。
この核磁気共鳴式は原理が単純で実現しやすく温度管理も容易だが、強力な磁場を使う関係上集積化が困難で、同社が販売しているものも2〜3量子ビットと他の方式よりも量子ビット数が少ない。そのため、実用性はなく量子演算がどういうものであるかを実際に動かして学ぶための教材として販売されており、価格も最廉価版ですら100万円以上するため大学などそれなりに規模の大きな法人でなければおいそれとは買えない代物でもある。ちなみに同社では20量子ビットクラスの超電導式も商品化に向けて開発中であるそうだが、さすがに超電導式ともなると億を超える価格になるのではないかといわれている。
表記揺れ
関連作品
(人の脳が量子コンピュータであるという説を元に量子の特性と言われている『量子は平行世界線を越えて行き来が可能な物質』・『量子コンピュータは外部からのノイズ(人の脳由来の量子)の影響を受けやすい』・『量子も共振現象が起こる』などを元に平行世界線の同一人物同士の脳の同期現象により、パラレルワールドでの出来事はデジャヴや夢という形で処理され、その結果平行世界線同士の齟齬が解消され、次第に合流・統合されるという理論が登場している。)