概要
主人公である女性は大学進学を機会に一人暮らしをする時、母方の叔母からハカソヤという彼女らの故郷(四国の田舎)に伝わる御守りを貰う。後日、散財でお金に困った主人公はハカソヤに叔母からのお小遣いが入っているのを期待して開けてみると、中には形付けの厚紙と血液が固まった様な茶色い染みで染まった布が入っていた。気になった主人公はお金の無心と同時に母親にハカソヤの事を聞いてみるが、母親はお金を送ってくれると言うだけで教えてくれず、主人公は叔母へと尋ねるのだった。
登場人物
主人公
大学生の女性。既に経験済み。
母親
迷信等が嫌いであり、娘にハカソヤを渡すつもりも無かった。
叔母
姉と違って信心深い性格で母親(主人公の祖母)と一緒に故郷の集落に残っている。
ハカソヤ
主人公の母親の故郷(主人公曰く四国のド田舎)に伝わる女性限定の風習。大きく分けて二つあり、一つは例えば初潮が来た女の子や恋人が出来た未婚の女性に「おめでとう」の代わりに言う祝いの言葉。もう一つは母親から一人前になった娘へと渡す安産の御守りを指す。両方に共通しているのは、「必ず男性が見ていない、聞いていないところで」で行うという物であり、徹底的に男性から隠されて行うのが決まりとなっている。家に男性がいる場合は別の部屋まで行って行い、男兄弟がいる場合は近所の女性に預かって貰う。
その正体は自分を汚そうとする男への呪詛が籠められた風習である。昔、日本の村社会は性に対して奔放であり、既婚未婚問わずに物の様に女性を扱う男が多く、子供が出来れば村の子として育てられる事も珍しくなかった。特に地方は娯楽が少ないので論理観が変化するのが遅かったのである。そんな状況から生まれたのがハカソヤの風習である。夭折した生娘の破瓜させて血液を染みさせた布を使い、幸福な初体験を迎える事が出来る様に願いを籠めて御守りを作る。一方でハカソヤには復讐する為の力があるとも信じられており、男に乱暴をされている最中にハカソヤ、ハカソヤと唱えていたら相手の男が内蔵を吐いて死んでしまったという伝承がある。結果的に下衆な男を仮想敵として集落の女達が結束を強めるという形の風習となっている。
ネット上では、醜悪な存在から年下の女性を守ろうという趣旨の風習なので「優しい風習」「悪い風習じゃない」と肯定的な意見が多い。