概要
『ハッピーフライト』は、矢口史靖監督による空港を舞台にしたドタバタコメディ映画。主演は田辺誠一。ANAが全面的に撮影協力を行っている。
企画当初、監督は航空パニック映画を考えていたが、その後2年間のリサーチの結果、航空機が墜落する可能性が非常に低いことと、同時に航空業界の裏で働く人々の面白さを知り、脚本の内容を変更し、結果的に、旅客機が機体異常で引き返し無事緊急着陸するだけという、ある意味で地味な物語(経緯自体は重大だが、人間側には異常な性格、行動、天才的な能力発揮は一切なく、全員が日常的な反応や業務遂行に徹している)を面白く見せる職人芸が問われる仕事となった。
最終的に、リサーチは多岐にわたり、シアトルに所在するボーイング社なども訪れた。鳥被害の深刻さ、多くがカジュアルな私服で仕事をこなす管制官たち、厳格さの一方で取捨選択と妥協も要求される整備、機長の権限と責任の大きさ、原則として中年期まで昇進できないため若いキャビンアテンダント(以下「CA」と表記)にも見下される副操縦士の悲哀など、業界外の観客に興味深い内幕が巧妙に織り込まれている。特に、空港側描写の中心として航空会社のオペレーションコントロールセンター(OCC)に思い切った比重がかけられ、管制塔ほど一般に広く知られてはいなかったこの部署にスポットライトが当たることになった。
主演は田辺だが、一応準主役となる登場人物が置かれており、特に本作では綾瀬はるか演じる新人ポンコツCAの斎藤悦子が有名だろう。