時は人類史第3紀元の幕開け、ミンバリ連邦と地球同盟との戦争から十年、バビロン・プロジェクトがようやく現実のものとなった。
その目的は戦争をなくし、人類と異星人がお互いの違いを理解しあえる平和な場所を築くことだった。
そこは祖国から遠く離れた寄港地。外交官、詐欺師、起業家そして放浪者。様々な人類と異星人が共に暮らす250万トンの物体が宙に浮かぶ。
あたりは宇宙の闇、危険をはらんではいるが、ここに築く平和こそ、人類最後の願いなのだ。
これは最後のバビロン・ステーションの物語である。地球暦2258年、その基地の名は「バビロン5」
作品解説
ストーリーの舞台は23世紀の宇宙。人類は「地球同盟」という政府組織を立ち上げ、次々と宇宙へ進出し、地球外生命体との交流を始めていく。
そんな折、時は2245年のこと。人類はミンバリとのファーストコンタクトに失敗し、戦争に突入する。ミンバリは比較的温厚な種族だが、彼らの指導者を乗せていた戦艦を地球軍の戦艦が誤って攻撃し、その指導者が死亡したのである。
ミンバリの科学力と軍事力を前に、2247年頃には地球軍はほぼ壊滅状態に陥り、地球の手前まで進軍を許した。
地球軍は最終決戦突入を余儀なくされ、その最中、地球軍の宇宙戦闘機「スターフューリー」で編成された最後の大隊もほとんどが撃墜されて壊滅状態に陥る。
大勢の戦友の死を目の当たりにした隊長のジェフリー・シンクレアは被弾しながらもミンバリの戦艦に突撃を試みた。
しかし、彼が次に気が付いた時には目の前に戦艦の姿はなく、戦争が終わっていた。しかも、勝利目前だったはずのミンバリが突然に降伏したのである。
そして、彼にはミンバリの戦艦に突撃しようとした時から、ミンバリ降伏の事実を知るまでの約24時間の記憶が欠落していたのである。
戦争後、地球同盟では「バビロン・プロジェクト」が立ち上がった。
バビロン・プロジェクトとは、異種族間での平和的な外交関係を構築するため、外交的に最も中立が保てるような星系に大型の宇宙ステーション"バビロン"を建設する計画だった。
しかし、バビロン1~3は破壊工作によって失われ、バビロン4は完成後24時間で突然に消失した。
だが、惑星イプシロン3の軌道上に最後の希望として5つ目のバビロン・ステーションが建設され、2257年、奇しくもミンバリ戦争終結から10年後。バビロン5は稼働を始め、ジェフリー・シンクレアが初代司令官に就任し、プロジェクトがようやく現実のものとなった。
この物語は、最後のバビロン・ステーション"バビロン5"を舞台とし、5大種族の思惑や交流、超古代種族たちの暗躍により、さまざまな事件や軍事的対立関係に陥りつつも、地球人類が他の種族と平和な世界を構築していく物語である。
ストーリーの特徴
バビロン5の最もたる特徴は、全5シーズンが計画的、かつ明確に章付けが成され、まるで一本の小説のような構成となっている点である。これはスタートレックシリーズやスターゲイトといった他のSFドラマには見られない、バビロン5独自の特色と言える。
製作総指揮を務めるJ・マイケル・ストラジンスキーは脚本とシナリオ構成も担当している上、各5シーズンのオープニングは映像と構成だけでなく音楽もシーズンの雰囲気に合わせて変化させている。これはストラジンスキー曰く「OPは本の表紙や章の扉絵のようなものであり、シーズン(章)が変わるごとに一新しなくてはならない」との意向があったためである。
また、バビロン5シリーズでは、1993年にパイロット版(要は初回のお試し版みたいなもの)のTVムービーが放映されてから、シリーズ終了の1999年まで、登場する宇宙船や宇宙空間の映像には全て当時最新鋭の技術だったCGIが用いられ、コストの大幅な削減につなげている(一方、スタートレックシリーズでは、DS9とVOY途中までは模型による撮影が主だったが、予算などの関係から順次CGIモデルに移行していった)。
そのため、ストーリー開始当初から模型では撮影不可能なアングルからの"撮影"が可能だったため、大規模かつ迫力とスピード感のある戦闘シーン、音楽が見事に融合し、高い完成度を得ている。これに現実感と立体感のあるシナリオが組み合わさっているため、高評価を得た。(実際、1996年と97年のヒューゴー賞映像部門はバビロン5が受賞している。)
また、バビロン5は全110話のストーリーの他に6本のTVムービーが存在する。
日本での評価
バビロン5の日本での人気はアメリカに比べると、人気以前にバビロン5の知名度は絶望的に低い。その一方、シナリオ、映像面共に評価が高いので、とても勿体ない作品である!
繰り返し言う。とても勿体ない!
ここまで日本のバビロン5ファンたちが嘆く理由に関しては、バビロン5日本語版DVDに関して検索してみるとわかるはずである。
前述のようにバビロン5は、5シーズンすべて揃って1つの作品となる。言い換えれば、5つの章すべて揃うことで一冊の本が完成するのと同義なのだ。
しかし、2012年現在、日本語版のDVDはシーズン3までしか発売されておらず、しかも、そのシーズン3のDVD-BOX発売日は2005年10月7日!(一方で廉価版の発売は2006年7月14日)
つまり、シーズン4以降のストーリーが、(シーズン3DVD-BOXの発売から)6年余り経つ今になっても発売されていないのである!
さらに、TVムービー6本も、1本とて日本語版で発売されていない!
(ちなみに、ドラマとTVムービーは全話スーパーチャンネルで放送済み)
これに関しては販売元のワーナー・ホームビデオに質問することを強くお勧めする。
もちろん、作品に興味を持っていただけたらの話であるが、是非、視聴していただきたい。
主な登場人物
バビロン5のレギュラーキャストは、スタートレックやスターゲイトに比べて、変動が著しいという特徴がある。キャラクターの詳細は外部リンクのwikiページを参照のこと。
役名 | 役者 | 吹き替え声優 | レギュラー | 備考 |
ジェフリー・シンクレア | マイケル・オハラ | 中多和宏 | シーズン1 | バビロン5初代司令官 |
ジョン・シェリダン | ブルース・ボックスレイトナー | 加藤亮夫 | シーズン2~5 | バビロン5二代目司令官 |
スーザン・イワノバ | クローディア・クリスチャン | 寺瀬今日子 | シーズン1~4 | バビロン5二代目副司令官 |
マイケル・ガリバルディ | ジェリー・ドイル | 星野充昭 | シーズン1~5 | バビロン5初代警備主任 |
デレン | ミラ・ファーラン | 滝沢久美子 | シーズン1~5 | ミンバリ連邦大使 |
ロンド・モラーリ | ピーター・ジュラシック | 田口昂 | シーズン1~5 | セントーリ共和国大使 |
ジ・カー | アンドレアス・カツーラス | 菅原淳一 | シーズン1~5 | ナーン政府大使 |
コッシュ・ナラネク | アードワイト・チャンバーレイン(声) | 岩田安生 | シーズン1~4 | ヴォーロン帝国大使 |
スティーヴン・フランクリン | リチャード・ビッグス | 江川央生 | シーズン1~5 | バビロン5医療主任 |
リタ・アレキサンダー | パトリシア・トールマン | 高橋理恵子 | シーズン3~5 | コッシュの副官、商業テレパス |
レニアー | ビリー・ムーミー | 青木誠 | シーズン1~5 | デレンの副官 |
バー・コットー | スティーヴン・ファースト | 緒方文興 | シーズン1~5 | ロンドの副官 |
ウォーレン・ケファー | ロバート・ラスラー | ? | シーズン2 | スターフューリーのパイロット |
ナターフ | ケイトリン・ブラウン→メアリー・ケイ・アダムズ | 鈴木渢 | シーズン1~2 | ジ・カーの副官 |
タリア・ウィンタース | アンドレア・トンプソン | 金野恵子 | シーズン1~2 | 商業テレパス |
マーカス・コール | ジェイソン・カーター | 谷昌樹 | シーズン3~4 | バビロン5常駐のレンジャー |
ザック・アラン | ジェフ・コナウェイ | 堀尾雅彦 | シーズン3~5 | 二代目警備主任 |
エリザベス・ロックリー | トレイシー・スコッギンズ | 幸田夏穂 | シーズン5 | バビロン5三代目司令官 |
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