概要
『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(Interview with the Vampire)とは1994年に公開された アメリカ映画である。監督はニール・ジョーダン。配給はワーナーブラザーズ。
原作はアン・ライスによる、「ヴァンパイア・クロニクルズ」シリーズの第1作である『夜明けのヴァンパイア』。
永遠の命を生きるヴァンパイアの苦悩と孤独が、妖しく華麗な映像によって幻想的に綴られる。
耽美な雰囲気とキリスト教的背景が特徴で同性愛的描写を漂わせている。ゴシックな雰囲気のせいかホラー映画に分類されている。
舞台美術も美しく評価され第67回アカデミー賞では2部門にノミネートされた。
あらすじ
現代のサンフランシスコ。街を見下ろすビルの一室で、インタビュアーは黒髪の青年ルイへインタビューを始める。
「私はヴァンパイアだ」
ルイが自らの半生を語り始めた。
18世紀末、最愛の妻を亡くし、絶望の淵に沈む彼の前に現れた吸血鬼レスタト。
彼によって永遠の命を与えられたルイは、レスタトと共に世紀末の夜をさまよう。
人間の命を奪うことをなんとも思わないレスタトに対し、人間の心を捨てきれずに苦悩するルイは人の命を奪うことが出来ず、小動物の血をすすって喉の渇きを凌いでいた。
ルイは無慈悲に殺人を犯すレスタトの快楽的な生き方に疑問を持ち、生きる意味を模索する。
だがある夜、母の亡骸にすがりつく少女クローディアと出会ったルイは、喉の渇きに耐え切れず衝動的にその命を奪ってしまう。レスタトは彼女をヴァンパイアの一族に招き入れるべく新しい命を吹き込む。
しかし、それは思わぬ悲劇の始まりだった……。
登場人物
※日本語吹き替えはソフト版/フジテレビ版/テレビ東京版の順
演:ブラッド・ピット 吹き替え:平田広明/ 宮本充 /堀内賢雄
今作の主人公であり語り手。黒髪緑目の青年。ニューオーリンズの農園主で豊かな暮らしをしていたが、愛する妻と子をお産で亡くし自暴自棄になっていたところをレスタトに見初められ、25歳の頃ヴァンパイアにされる。当初は人を殺すことに嫌悪を覚えて、小動物の血を啜って生きていた。レスタトに対して複雑な感情を抱いている。
ヴァンパイアの中で一番人間としての心や繊細さ、美しさを持っており、優しく穏やかな性格。しかし、キレると容赦ない。放火魔。
演じたブラッド・ピットは正反対の陽気な性格の為、撮影の間ずっとテンションを低く保つのに苦労したとの事。
演: トム・クルーズ 吹き替え:鈴置洋孝/ 江原正士 /森田順平
金髪の美形のヴァンパイア。永遠を共に生きる伴侶として、ルイをヴァンパイアにした。
ルイに対して非常に執着しており、心が離れたルイを引き止めるためクローディアをヴァンパイアにしてしまう。派手好き贅沢好きの浪費家で、大胆な性格。
フランス出身で、血や文化などこだわりを見せる。レスタトの味覚によると、悪人や美少年の血はおいしいらしい。
演: キルスティン・ダンスト 吹き替え:本多瑛未里/ 矢島晶子/ 大谷育江
レスタトによってヴァンパイアにされた幼い少女。
精神が成長するにつれて、大人の女性の姿に憧れ、いつまでも少女のままの自分に苦悩し、ヴァンパイアにしたレスタトへの憎しみを募らせていく。
まるで人形のような可憐な容姿だが、幼い頃から吸血鬼としての教育されたため冷徹で冷酷。
キルスティン曰く、撮影現場ではトムとブラッドからはとても優しくしてもらい、お姫様のようだったと当時を振り返っていた。
演: アントニオ・バンデラス 吹き替え:玄田哲章/ 小川真司/ 小山力也
パリで劇団をしているヴァンパイア集団のリーダー。
ルイに興味を持ち、ルイの人間的な精神に惹かれる。
演: スティーヴン・レイ 吹き替え:千田光男/ 西村知道/ 佐々木梅治
ヴァンパイア劇場のメンバー。ルイとクローディアに対して疑念を持っている。
ダニエル・マロイ(インタビュアー)
演: クリスチャン・スレーター 吹き替え:家中宏 /堀内賢雄 /成田剣
現代のサンフランシスコの記者。
逸話
キャスティングについて有名な逸話がいくつかあることでも有名な作品である。
クリスチャン・スレイターが演じているインタビュアーは、当初リバー・フェニックスが演じる予定だったが、リバーが急死したため代打での出演である。
健康的なハリウッドスターのイメージしか無かった1990年代初期のトム・クルーズがレスタトを演じることが決まり、当時世界中のファンの間で物議を醸したのだが、自身が希望していたキャスティングを無視された原作者のアン・ライス本人も、トムのレスタトについては「ありえない」と痛烈な批判を繰り返していた。
しかしながら映画が公開されると、トムの金髪碧眼の耽美な美貌は大好評で迎えられ、アン・ライスもトムの役作りに納得し、雑誌に見開きの広告を掲載して謝罪することになった。
日本の大きなお姉さまがたの間でも、当時たいへん話題となり現在も根強い人気を誇る。
美少女が服を破かれ裸にされるシーンがある等、男性客への配慮(一応)もある。
1994年(第15回)のゴールデンラズベリー賞でワーストスクリーンカップル賞(トム・クルーズとブラッド・ピット)を受賞してしまったが、これについては謎とする声は多い。
ブラッド・ピットとトム・クルーズはヴァンパイアの色白さと血管を際立たせる為、撮影前に毎回数十分ほど逆さ吊りになったり減量を強いられたりと過酷な撮影現場だったと語っている。