概要
及び1941年12月7日(日本時間12月8日)に旧日本軍の行った真珠湾攻撃を英語で指す言葉になっている。
映画『パール・ハーバー』
メイン画像のシーンが(悪い意味で)有名なアメリカの戦争映画。2001年公開。マイケル・ベイ監督。
ふたりのアメリカ陸軍戦闘機パイロットの恋愛と戦いを描く大作映画。CGを活用した迫力ある戦闘シーンが特徴だが、それ以上に設定・考証面で史実を大幅に無視した場面、特にメイン画像に象徴されるような滑稽ともいえる日本軍関係の描写が物議をかもした。
ちなみにメイン画像のシーンは連合艦隊の作戦会議。マイケル・ベイ監督は『ハワイ・マレー沖海戦』のスチール写真をもとに「あえて史実をゆがめてプロパガンダ映画のワンシーンを再現した」と証言しているが、当該写真は作戦会議ではなく真珠湾攻撃シーンの準備風景(メイキング写真)である。分かっていてあえて再現したのか本当に本編にこんなシーンがあったと勘違いしたのかは不明。
そのほかにも以下の場面が日米で問題視された。いずれも先行する『トラ・トラ・トラ!』と比較されることが多い。
- 機銃掃射
日本軍の零戦が民間施設や民間人めがけて機銃掃射をする場面や、海面に浮いている水兵に執拗に機銃掃射をする場面があるが、これらは史実にはない過剰な演出として批判の声が上がった。
『トラ・トラ・トラ!』では機銃掃射は軍事施設や飛行場に駐機している戦闘機に限られている。
- 新しすぎる駆逐艦
真珠湾内に停泊している米軍の艦船群の中に、1975年に就役したスプルーアンス級駆逐艦が確認できる。こちらも『トラ・トラ・トラ!』と同様に退役した米海軍の軍艦を停泊させているが、第二次大戦時の軍艦からかけ離れたビジュアルの艦艇をそのまま登場させるという演出には批判の声が上がった。
ちなみに真珠湾に向かって進む第一航空艦隊もリムパック演習に向かう米艦隊の映像を空母だけ戦前の空母の姿に補正したため、巡洋艦や駆逐艦は戦後のそれである。
ちなみに攻撃隊の発艦シーンはエセックス級空母の艦尾に向かって航空機を滑走させる形で「赤城」を再現するなど空母だけ妙に気合が入っている。
- 強すぎるP-40
主人公たちはP-40戦闘機で零戦に挑むが、ふたりの乗ったP-40は異常に強い。零戦に対しては運動性能で不利のはずのP-40が多数の零戦を撃墜する光景は物議をかもした。
実際に2機のP-40が日本軍の攻撃隊を迎撃し戦果を挙げたという証言もあるが、彼らが撃墜したのは九九式艦爆や九七式艦攻がほとんどだったとされている。
ちなみに零戦は稼働する実機を撮影に使用したが、五二型を使用したため推力式短排気管が確認できるうえ機体塗装も深緑色のままである。
試写会まで炎上?
試写会は大々的に真珠湾で行われ、原子力空母『ジョン・C・ステニス』の艦上で行われたが、日本並びに日系の報道機関はシャットアウトしてしまった(同年に起こったえひめ丸事故の蒸し返しを恐れたという説がある)。この試写会に500万ドルの大金をかけたこと、このためだけにサンディエゴから真珠湾まで原子力空母を航行させたことも一部で批判された。
反響
流石に日本での上映時は滑稽な日本軍描写はほどんどカットされたことと、恋愛要素を前面に押し出した宣伝がされたこともあって興行的にはヒットした。
とはいえ映画ファン層からの評価は低く、アメリカでもロジャー・イーバートの「この作品は真珠湾攻撃どころか第二次大戦さえも知らない観客のために作ったのだろう」、ワシントン・ポスト誌の「ボア・ボア・ボア(退屈・退屈・退屈)」など批判的な意見もある。
ブラックコメディ映画『チーム★アメリカ』でも唐突に本作を批判するネタが織り込まれている。
日本のミリタリー系創作でも『ガールズ&パンツァー』のドラマCD内で「プールに軍艦の模型を浮かべて作戦会議」、「第二次大戦の映画なのにスプルーアンス級駆逐艦が出てくる」など本作を揶揄する台詞がある。
一方で迫力ある戦闘シーンはアニメ『艦隊これくしょん』第1話でオマージュされるなど好意的な評価も得られている。