概要
排気量250ccクラス以上のスクーター。略して「ビクスク」と呼ばれることもある。
車体サイズは大きいものの、スクーター特有の気軽さと快適さ、大きな収容スペースを持つ便利さが特徴。
また、外装が自動車並みにデザイン性に富んでいることから、カスタムや痛車のベースとしても重宝された。
後述するビッグスクーターブームにより、2000年代のバイク市場を席巻した。
ビッグスクーターブーム
250ccクラスのスクーター自体は1980年代から存在したが、当時は少数派であり目立つことはなかった。
1999年にモデルチェンジした二代目では更なるヒットを記録し、ビッグスクーターの存在感を市場に示す。
これに他社が追従し、250cc~400ccクラスのビッグスクーターが活況を呈するようになった。
その後も市場は拡大を続け、各メーカーが様々な方向性のモデルを打ち出していった。
行政側もこれに呼応し、事実上ビッグスクーター専用となるAT限定の二輪免許を新設するに至り、MT教習でも1時間のビッグスクーター体験が組み込まれた。
2005年には、二輪車の販売台数の約半分がビッグスクーターという実績を叩き出し、この頃がブームの絶頂期であった。
しかし、ビッグスクーターは快適で実用性に優れる反面、運動性能の低さ故に走りにおける面白味がない上、低速域では他のバイクに比べると直進安定性が悪いため乗りこなす事が比較的難しく、MTで転倒しない人ですら転倒しやすい程、玉乗りのような特殊なバランス感覚が求められることなど、難しい割にはつまらないとしてすぐに飽きてしまうユーザーが多かったほか、ビッグスクーターを体験したMT卒業生からは前述の難しさから嫌われ、以降ブームは下火になっていった。
2008年、カワサキが発売したNinja250Rの大ヒットでMTのスポーツバイクが見直されたことが追い打ちをかけ、2010年代に突入するとブームは沈静化。
後の排ガス規制強化を機にビッグスクーターのラインナップは激減した。
現在ではメーカー・ショップ共に取扱いに消極的で、新車の展示車を見かけることは殆どない。
現在
ビッグスクーターブームは既に過去のものであり、令和突入時点ではかつての存在感は見る影もないほどに市場は冷え込んでいる。
全盛期に流行したカスタムも、ブームが去った後は「時代遅れ」「ダサい」として見放されるようになり、急速に街から姿を消していった。
それに代わって、排気量150cc~200cc程度の、原付二種とビッグスクーターの中間程度のサイズを持つ小型のスクーターが発展している。
ジャンルとしての呼び名はまだ無いが、スクーターの新たな市場を開拓しつつある。
2019年には大型自動二輪AT限定免許の排気量規制が撤廃され、クラッチ操作を必要としないデュアルクラッチ(DCT)を装備した大型バイクに乗ることが出来るようになったため、AT限定免許の選択肢が広がった。