概要
「ピーターと狼」はセルゲイ・プロコフィエフが作曲した子供のための音楽作品。ベンジャミン・ブリテンの『青少年のための管弦楽入門』と並ぶ同ジャンルではポピュラーな楽曲である。
モスクワの中央児童劇場の芸術監督ナターリヤ・サーツが作曲を依頼したとされるが、その経緯は謎が多い。
サーツは「人間ばかりではなく動物も登場する音楽物語はいかがですか」と提案し、プロコフィエフがそれに賛同。少年ピーターが狼を捕まえる音楽物語を描いた。
1936年5月2日に謝金の関係で共同委嘱者となったモスクワ・フィルハーモニック協会のもとモスクワ音楽院大ホールで初演が行われ、5月5日には中央児童劇場でサーツの朗読を交えた演奏が行われた。
プロコフィエフが祖国への帰還に向けてより大衆とソヴィエト国家に受け入れられやすい平易なスタイルを模索していた時期の作品で、新古典的な明解な楽曲である。
かつては日本語で独自の語りが付けられることも多く、岡崎友紀、西田敏行、明石家さんま、中村メイコ、黒柳徹子、坂本九、坂東玉三郎、樫山文枝、竹下景子、いしだ壱成が朗読した音源がある。
また1960年代にセブンシーズから発表されたレコードは語り形式ではなく各キャラクターを声優が演じるボイスドラマ形式になっていた。
ディズニー映画版
1946年にはウォルト・ディズニー・カンパニーの「メイク・マイン・ミュージック」の1作としてアニメ映画が制作された。
ストーリーは大きく変更され、原作ではピーターの家で飼われていたアヒルと猫も森に棲む野生動物に変更されている。
また狼以外の動物たちにも個体名が付けられた。
音楽ファンタジーゆめでは…
芋虫が登場し、カラスに対してイチゴ味らしきアイスを持った不気味な少年が立ち向かう。
その後芋虫はさなぎになって冬を越し、春を迎え成虫となるが、その蝶が妙に不気味な造形で画面に近づいてくるラストシーンは「みんなのトラウマ」とも称される。