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フェデックス705便ハイジャック未遂事件

ふぇでっくすななひゃくごびんはいじゃっくみすいじけん

フェデックス705便ハイジャック未遂事件とは、文字通りフェデックスの貨物便が危うくハイジャックされかけた事件である。
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事故概要編集


発生日時1994年4月7日
発生場所アメリカ合衆国・テネシー州メンフィス
機種マクドネル・ダグラスDC-10-30F
乗員3
乗客1(ハイジャック犯)
犠牲者0名(全員生存)

事件発生編集

フェデックス705便はテネシー州メンフィス国際空港からカリフォルニア州ノーマン・Y・ミネタ・サンノゼ国際空港に貨物を輸送する便であり、49歳の機長、42歳の副操縦士、39歳の航空機関士の3名で運行されることになっていた。だが機体に乗り込むと機内には予定にはなかった乗客が1名搭乗していた。彼は同じフェデックスに務める航空機関士で、デッドヘッド(業務中の移動のために旅客機に乗客として搭乗すること)として同乗することになっていると語った。デッドヘッドはどこの航空会社でも普通に行われており、また当時は急遽デッドヘッドが同乗することも別に珍しくなかったのでクルー達は特に気にすることなく操縦席に入り、離陸の準備を始めた。

機体はその後メンフィス国際空港を離陸するが離陸から20分後、突如コックピット外のジャンプシートに便乗していたデッドヘッドの航空機関士がギターケースの中に隠し持っていたハンマーと水中銃を持ち出し、航空機関士・副操縦士・機長という順番で後頭部をハンマーで殴打し重症を負わせた。彼は持っていた水中銃をクルーたちに突きつけ、コックピットの外に出るよう脅したが航空機関士が意識朦朧の中で銃を掴み、犯人がひるんだところを機長と航空機関士で押し倒し反撃した


DC-10の本気とハイジャック犯との格闘編集

操縦席に座ったままだった副操縦士はベトナム戦争の従軍経験がある元海軍パイロットであり、機体の限界までアクロバット飛行をして犯人を壁にぶつけたり転ばせるなど、機長と航空機関士を有利にさせるための操縦を続けた。しかしこの時の副操縦士はハンマーで頭が殴打されたことによって頭蓋骨骨折の重傷を負っており、またかくいうDC-10も(旅客機として作られたのだから当たり前だが)アクロバット飛行に耐えられるような設計にはなっておらず、翼ががたがた揺れるなど空中分解してもおかしくない状態であった

それでもこうしたクルーの決死の抵抗の末に犯人は頭を壁にぶつけるなどして一時的に意識を失い、その間にクルーは犯人を拘束した。副操縦士は管制に緊急事態を宣言、警察と救護班の手配を要請した後傷が一番浅い機長と操縦を交代、メンフィス国際空港に引き返した。緊急着陸を指示された9滑走路は、貨物や燃料が満載で重く速度も出ていた機体ではオーバーランの危険があったため機長は長い方の36L滑走路への着陸を要求。対地接近警報が鳴り響く中、燃料を捨てない状態で着陸し滑走路端まで残り300mというギリギリの位置で停止した

すぐさま救護班が機体に乗り込み4人は病院に搬送され手当を受け、ハイジャック犯は無事に拘束された。機内は床はおろか天井まで血塗れになっており、クルー達とハイジャック犯の死闘を物語っていた


犯行動機編集

ハイジャック犯は42歳の男で、元海軍パイロットであると同時に武術のエキスパートでもあった。彼はフェデックスに入社後、航空機関士として勤務していたが虚偽の飛行時間を報告していたため近々本社に呼び出される予定だった。懲戒処分されパイロットとしてのキャリアが絶たれることを恐れた彼は、解雇される前に自分の乗る便をハイジャックしてメンフィスのフェデックス本社ビルに衝突させ、本社ごと自爆するというとんでもない計画を立てた

彼はハイジャックを事故に見せかけ、従業員に対する250万ドルという莫大な保険金をフェデックスから家族に払わせる計画を立てた。社員しか乗っていない飛行機ならハイジャックを疑われることは少ないと考えた彼はハンマーなどの武器を選ぶことによりクルーの致命傷を墜落時の挫傷にみせかけ、検視結果からハイジャック犯に襲われた痕跡が見つからないようになることを意図していた他、最終手段として水中銃も所持していた。またコックピットでの乱闘が記録されないよう離陸前にブレーカーを落としてコックピットボイスレコーダー(CVR)を一度停止させた。ただし離陸前にブレーカーが落ちていることに航空機関士が気づいて再びブレーカーを入れた為この目論見は失敗に終わり、CVRには機内での乱闘の様子が録音されている。


その後編集

逮捕された社員は裁判において心神耗弱による責任能力の不十分を主張したもののそんな言い分が通る訳もなく翌年にハイジャック未遂と殺人未遂で仮釈放無しの終身刑の判決が下った。

重傷を負ったクルー達は全員一命を取り留め、勇気ある行動を表彰されたが負傷の後遺症の影響もあり、副操縦士に関しては遊覧飛行が可能なレベルまで回復したが、ついに全員が商業飛行に復帰することは叶わなかった

ハイジャックされたDC-10はMD-10への改修・再塗装の後その後もフェデックスで運用が続けられ、2022年12月に同社のMD-10の用途廃止に伴い退役した。



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