注意:本稿には、ゲーム『フラワーナイトガール』の極めて重大なネタバレを含みます
概要
フラスベルグは、スプリングガーデンに存在する3種の怪獣「守護神蟲」の1体として知られる、超巨大な鱗翅目を想起させる姿の怪獣である。肩書きと異名は「天雷と暁の王」、「千の翅」。
本来はベルガモットバレー東部の忘我幽谷の地下に封印されていたらしい。
名前の由来は、北欧神話のフレースヴェルグ。
他の守護神蟲と比較するとかなり情報量が少なく、謎が多い。断片的な情報しか得られていないため限られたことしか判明しておらず、ほとんどのことが不明なままである。
容姿と能力
画面上。下は敵対しているナイドホグル。
推定体長約1000メートル、尾部と翅のおかげで数倍大きく見えるチョウやガに似た姿が特徴。
一方、翅が20枚もあるなど特異な特徴も見られる。
主な武器は全身の鱗粉と、「天雷」と呼ばれる尾部からの電撃光線。鱗粉は自らの力を与えることで、眷属型の光弾「天雷の使徒」として放つことができ、さらに「天雷の使徒」に自らの「天雷」を浴びせて爆破させることもできる。これで多数の部隊や騎士団が殉職する様子も描写された。
また「天雷」の射程は恐ろしく長く、コダイバナの最奥からバナナオーシャンのエムオン島を狙撃することもできる。
これまで劇中で描写された単体の必殺技として、「天雷」の射程は2番目に長い(ちなみに、判明している中で過去最も射程が長かったのは、劇中時間約1000年前にアグレッサがネムノキめがけて放った「死の呪い」である)。
能力
フラスベルグは高い飛行能力を持ち、上空高くから前述の長射程の武器を駆使して戦うアウトレンジ型の戦略を得意としている。
しかしフラスベルグの能力はこれだけではない。その鱗粉は強力なバリアとなり、大抵の攻撃は鱗粉で弾き返してしまう。これにより、フラスベルグはナイドホグルに匹敵する優れた防御力を実現している。
また、フラスベルグには瞬間移動能力の存在が示唆されている。後述するが、ナイドホグルやミズウォルムは出現前に復活の兆候や復活直前直後の動向などが何らかの形で現れているが、フラスベルグだけ既に行動を起こし始めてからその存在が認知されている。
まとめると、フラスベルグは攻守ともに隙のない能力を保持しており、かつてナイドホグルに匹敵する存在だったというのは間違いないと言える。
性格
フラスベルグの性格は長年不明だったが、ナイドホグルやミズウォルムの情報から、極めて傲慢で自己中な性格であることがうかがい知れる。
時期は不明だが、自分よりも高空(というか宇宙)に存在する月に嫉妬する様がナイドホグルによって目撃されており、以前から我儘で自分勝手な性格であったことがわかる。
また、尊大で自己中な前例たちの例を出すまでもなく、このような存在は大抵、図に乗りやすくおべっかに弱いというわかりやすい特徴がある。アグレッサと手を組んでいた理由や、ミズウォルムを手下にしていた理由は、こういうフラスベルグの性格も関係していると考えられる。
他の存在との関係について
以前から、フラスベルグとナイドホグルが敵対し、互いに憎み合っている様子が知られ、これが1000年前の初代花騎士団長(コダイバナ王子、通称「勇者」)の勝利と両守護神蟲の封印に繋がっている。ここまでフラスベルグとナイドホグルが敵対している理由は、長年大きな謎とされていた。
しかし2024年の夏、外園騎士ミズウォルム・アオによって、断片的にだがついにその詳細の一部が明かされた。
それによると、フラスベルグは自分以外の全ての存在を見下し、等しく軽んじ侮蔑しているらしい。その対象は、守護神蟲としての契約対象であるはずの根源の世界花すらも例外ではなく、フラスベルグが事実上、スプリングガーデンの全ての存在と敵対していることが明らかになった。
そして、その傍若無人な態度がナイドホグルの逆鱗に触れ、いつしか互いに憎み合うようになったと考えられている。
つまり、フォスが推測していた「アグレッサの影響で殺し合うようになった」というのはあくまで結果論に過ぎず、アグレッサの侵略もただの引き金でしかなかったことになる。たとえアグレッサが攻めてこなくとも、遅かれ早かれナイドホグルとフラスベルグは全面戦争に突入していた可能性が高い。
実は、これが明らかになる1年前にプレイアブル化した外園騎士ナイドホグルのセリフにも、いくつか間接的にだがそれを示唆するような内容が見られる。
前述の通りフラスベルグは、とにかく高慢で横柄な性格であるらしく、それがナイドホグルの気に障っていたことが、最終的に両守護神蟲の決裂に繋がったと考えられる。世界花含めてそのことに触れる存在がほぼいない中、守護神蟲という当事者でありながら人間の言語が使える外園騎士の存在は貴重と言える。
そして、これまでフラスベルグと手を組んできた存在というのは、いずれも弁が立ちゴマスリのお上手な連中たちである。
一般的にミズウォルムはより強い存在や利用できそうな相手に対しては調子の良い言葉を使い、弱いと判断した存在には悪意剥き出しの態度を取る(外園騎士ナイドホグルや根源の世界花への手のひら返しの様子を見れば明らか)。
そしてアグレッサは他者を騙すことに長けており、リコ・アグレッサを見てもわかる通り、利用しようとする相手には美辞麗句を並べ立てて言い寄っている。
無論、これだけでは説明ができない挙動が見られたことも事実であり、フラスベルグがアグレッサと共謀して、アグレッサの完全復活とスプリングガーデンの滅亡を企図した理由は、まだ明らかにはなっていない。
また、根源の世界花がこのような存在と契約し、守護神蟲の地位を与えた理由も不明である。
行動履歴
同じ守護神蟲であるナイドホグルやミズウォルムと比較して、フラスベルグは目撃された記録がかなり少なく、しかもほとんどが遠距離からの観察である。そのためフラスベルグの行動には謎が多く、全体的に情報が不足している。
記録上
以前から、ナイドホグルの対になる存在として名前だけ知られていた。
確実な記録は物語開始から約1000年前の、アグレッサがスプリングガーデンに侵略してきた時の記録である。フラスベルグはこの時期、害虫化の呪毒で他の守護神蟲もろとも害虫化し、スプリングガーデンの守護などそっちのけでナイドホグルと死闘を繰り広げていた。
その隙を突かれて撃墜され、封印されたのである。
記録に残っているのはここまでで、その後はジュズダマが崇拝していた、という程度である。
・フラスベルグに関する誤認
劇中時間で約900年前、迫害されていたジュズダマが異能に目醒めた際の落雷が、伝説の「天雷」=フラスベルグの攻撃だった、と長年言われていた。ジュズダマはこれを根拠にフラスベルグを崇拝し、フラスベルグを信仰するカルト教団まで創立していたが、ジュズダマの封印(約900年前)とフラスベルグの封印の時期に無視できないほどの差がある点が以前より指摘されていた。
そして2024年に外園騎士ミズウォルム・アオから、「あの落雷とフラスベルグには何の関係もなかった」ことが明かされた。900年来の謎が解明された瞬間である。
すなわちジュズダマが異能に目醒めたのはまったくの偶然であり、その際の落雷はフラスベルグの光線ではなく通常の自然現象、そしてジュズダマが産まれるずっと前にフラスベルグは封印されており、フラスベルグはこの件には無関係で、ジュズダマの勘違いで崇拝されていただけに過ぎなかった、ということである。
また4部最序盤、ディープ・レコードがかつての守護神蟲について、「害虫化する前のフラスベルグは、空から世界を見守る存在だった」と考えていたが、これも後に間違いであると判明した。とはいえこの推測がされた当時は、まだ守護神蟲に関する情報が決定的に不足しており、「本来の守護神蟲=文字通りのスプリングガーデンの守護神」だと認識されていた点は注意が必要である。
守護神蟲が単純に「スプリングガーデンとそこに存在する衆生の守護神」というわけではないと判明したのは、もう少し後のことである。
再発見
フラスベルグが劇中で始めて確認されたのは、本編2部終章のラストである。この頃、以前からベルガモットバレーやコダイバナで目撃されていたフラスベルグの眷属の子孫「フラス・フリンデ」の異常増殖が確認されており、警戒したシュウメイギクとノヴァーリスが、ベルガモットバレーの宝器「遠見の魔法鏡」で旧コダイバナ首都跡を観測したことで、知らない間にフラスベルグが復活していたことが発覚した。
本来ベルガモットバレー東部(当時ミズウォルムの事件が起きていたリリィウッドの国境に近く、何か前兆があれば誰かに気づかれてもおかしくない)に封印されていたフラスベルグが、いつの間に封印を破り、どのようにして誰にも気づかれずに、コダイバナの最奥まで移動できたのかは不明である。コダイバナ北東部の防衛線付近で目撃されていなかったことから、瞬間移動能力を使っていた可能性もある。
フラスベルグはコダイバナ中の害虫軍団を従えると、東部ブレーメンに敷かれていた防衛線を破るべく、害虫軍団をけしかけた。一時ブレーメンは陥落寸前に陥ったものの、コダイバナ王家の末裔メコノプシスの覚醒により形勢が逆転。以降、コダイバナ東部で膠着状態となった。
千の脚の方舟計画
膠着状態に陥り、徐々にジリ貧になっていた花騎士側は、最終手段として、フラスベルグの天敵であるナイドホグルを、ミズウォルム・シロの力で無理矢理「浄化」し、クジラ艇を搭載した揚陸艦としてフラスベルグと戦わせるという危険な作戦「千の脚の方舟計画」に踏み切った。これは前述の、ナイドホグルとフラスベルグが憎み合っており敵対している、ゆえに両者が鉢合わせたら必ず戦い始める、と断定できたからこそ可能だった計画であり、花騎士側の最後にして最大最強の切り札でもあった。
計画は成功し、無事ナイドホグルがコダイバナに到着すると、いよいよフラスベルグとの最終決戦が幕を開けた。
壮絶な死闘の中、花騎士はナイドホグルの戦いをアシストすべくフラスベルグの翅を攻撃。無数の鱗粉を蓄え、攻防の要になっていた翅を全て破損したフラスベルグはついにナイドホグルに捕まり、最後は「太陽の剣」ソーラードライブを喰らって焼き尽くされる…はずだった。
アグレッサ復活とフラスベルグの狙い
その時、突然アグレッサの怨霊が復活し、全ての守護神蟲を呑み込み復活の依代にしてしまった。
フォス曰く、実はこの「アグレッサの復活」こそがフラスベルグの目的であり、フラスベルグは蘇ったアグレッサとともに、スプリングガーデンを滅ぼそうとしていたのである。
ナイドホグルやミズウォルムまで巻き込むつもりだったのか、最初から自分をアグレッサの生贄にするつもりだったのか、そもそも何のためにスプリングガーデンを滅ぼそうとしていたのかも定かではないが、いずれにせよフラスベルグとアグレッサが手を組んでいたことは確実であろう。
しかしフォスの降霊により、アグレッサの闇の中に突入した花騎士たちによりナイドホグルとミズウォルムは奪還され、ついにフラスベルグ自身も奪還された末、アグレッサの怨霊は滅ぼされた。
その後、フラスベルグは忘我幽谷の地下に戻され、無期限の仮死状態(再封印されたのかは不明)となったきり、再びその姿を現したことはない。
フラスベルグは外園騎士を生み出すのか?
2023年以降、これまで、ナイドホグル、ミズウォルムと、2大守護神蟲の外園騎士が確認されていた。このことから、いずれフラスベルグも外園騎士を生み出すのではないか?と噂されている。
では、実際にフラスベルグが外園騎士を生み出す可能性はあるのだろうか?
結論から言えば、外園騎士を生み出すことに何らかのメリットを見出すようであれば十分に可能性はある、というのが2024年現在の見解である。
そもそも、最初にナイドホグルの外園騎士が発見された頃は、世界花の化身体の前例のみが参照され、「外園騎士=守護神蟲が人類と和解し合うための後継者」だと認識されたが、いかなる形であれそれが目的だったのはナイドホグルだけである。
ミズウォルムの場合は人類との和解など目的とはしておらず、外園騎士ミズウォルム姉妹が人類と和解したのはミズウォルムに反旗を翻してからである。
すなわち、外園騎士だからといって、守護神蟲にとっては必ず人類と和解させる必要はなく、外園騎士を生み出したからといって人類との和解の意思があるとは限らない。
よって、フラスベルグの単なる気の迷いで外園騎士が生み出されていても不思議ではなく(これもミズウォルムという前例がある)、今後フラスベルグの外園騎士が出現することがあっても不思議ではない(というより、不思議ではなくなった)。あとは、フラスベルグが外園騎士を生み出すことに、フラスベルグ自身がどんなメリットを見出すか、のみである。
「外園騎士フラスベルグ」(仮称)が、これまでの外園騎士同様プレイアブル化するのかどうかはさておき、今後フラスベルグの外園騎士が何らかの形で現れ、花騎士たちに襲いかかってくる可能性は、考慮すべきレベルで十分高いと考えていいだろう。
関連項目
フレズヴェルク:名前の由来が同じ。
世界花:守護神蟲と同等の地位を有する存在。