曖昧さ回避
北欧神話に登場する神ヘズ
神話
バルドルが殺されるという恐ろしい予言を聞いたその母神フリッグは、地上のありとあらゆる武器に、あるいは武器でないものにもバルドルを傷つけさせないという誓いをたてさせた。神々はバルドルが本当に殺されないか、そっと石を彼に投げてみる。しかしバルドルはまったく痛みがなかったと告げたので驚く。神々は慎重に本当にバルドルが安全かを試すために、石や小枝を投げつけてみるが、石も小枝も誓いを守って何の打撃も与えなかった。神々は喜んで調子に乗り、様々な武器をバルドルに命中させ、そしてバルドルが無事なのを見てますます喜んだ。災難を司る神ロキはこのようなバルドルの様子を不愉快に思い、一計を思いついて老女に変身する。
老女の姿でフリッグに会ったロキは、ヴァルハラの近くに生えた若いヤドリギがあまりに若く無力であるゆえに誓いを立てていないことを知る。さっそくロキはそのヤドリギを手に入れると、必殺の武器に作り替えた。そして盲目の神ヘズが、バルドルに武器を投げては喜んでいる神々の外れに立っているのに目をつける。盲目であるヘズは、バルドルに狙いを定めて武器を投げることなどできないのである。ロキは、バルドルに敬意を表すためにヘズもまた武器を投げるべきだ、と言葉巧みに口説く。ロキの助言を受けたヘズはヤドリギを投げ、これが正確に命中してバルドルは死んでしまう。
神々はロキを追うが、ヘズは復讐の為にオーディンが生み出した弟ヴァーリによって殺されたという。しかしラグナロクの後、バルドルとヘズは和解し、共にニブルヘイムからこの世に復活するという。
異説
以上の神話はアイスランドのスノリによるものである。デンマーク人のサクソが『デンマーク人の事績』にて描くヘズはだいぶ異なった描き方になる。ヘズはスウェーデンの高潔な王子であり、ノルウェーの王女ナンナを巡って好色で横暴な半神バルドルと戦う。長い戦いの果てにヘズはバルドルを倒すが、オーディンの復讐によってヘズも倒れるというものである。
関連タグ
Fate/GrandOrder:とあるサーヴァントに組み込まれた神霊として登場。