概要
日付 | 2010年4月10日 |
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原因 | CFIT |
墜落場所 | 目的地から1kmぐらい手前 |
乗員総数 | 96人(乗客89人+乗務員7人) |
生存者 | なし |
使用機材 | Tu-154 西側のILSが使用できるよう改造されている |
出発地 | ワルシャワ国際空港 |
目的地 | スモレンスク北飛行場(当時は元軍用基地で現在は軍民共用) |
ポーランド大統領と妻、銀行総裁、陸海空の総司令官などの政府の要人や軍人、聖職者の高官やカティンの虐殺の犠牲者の遺族が搭乗していた。
役割 | 名前 | 年齢 | 階級 | 総飛行時間 | Tu-154での飛行時間 |
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機長 | プロタシウク | 36 | 少佐 | 3500+ | 2900+ |
副機長 | グリズナ | 36 | 少佐 | 1000+ | 450+ |
航法士 | ジエンテク | 32 | 中尉 | 1000+ | 50+ |
航空機関士 | ミハラク | 37 | 二等航海士 | 300+ | 同左 |
空港情報
スモレンスク北飛行場
進入最低条件 雲底100m 視程1000m
ロシア製の着陸装置(ILS)はあったが既に廃止されていた。
元は軍基地なのでTAWSに登録されていない空港である。
そのため通常着陸時も警報が鳴る。
墜落まで
1時間の遅延して離陸した本機だが目的地は濃霧に包まれていた。
先発していた別の便は着陸を試みたが復行、着陸を諦めダイバートした。
だが本機は雲底80m以下 視程800m以下で着陸準備を始めた、しかし進入直前には視程400m以下になっていた。
先行着陸した機体から「視程は200mもない」という通信があったが本機は着陸を進めた。
進入許可された機長はこの直後に「我々はここに着陸しなければならない(意訳)」と発言した。
空港から10km手前から降下を開始したが高度300mを下回ったころTAWSが作動、地表接近の警告音声(Terrain ahead)が流れたがこれを無視して降下を続けた、すると警告音声が止まった。
しかし空港から3km手前の高度180m付近で再びTAWSが作動し地表接近の警告音声が流れたがこれも無視し着陸を継続した。
濃霧のなかを警告音声を無視し続け、目視できない滑走路を探していた本機が高度100mに到達すると警告音声が「Terrain ahead」から「PULL UP!」になった。
しかし警告を無視し飛行を続けた、また管制官から「水平飛行せよ」と指示されていたがこれも無視した。
降下を続け高度60mになり副機長は「ゴーアラウンド」と発言したが機長は無視し降下を続けた。
高度50mになった際に管制官から「水平飛行せよ」と再び指示されていた。
航法士が高度を40、30と読み上げるなか機長は高度30mで操縦桿を引いた。
しかし遅すぎた。
樹木に左翼を叩き付け損傷、制御不能になり滑走路200m手前で左回転をしながら墜落した。
墜落の原因
結論を言うと「悪天候を理由に代替着陸をせずに、警告を無視して視認できない滑走路に着陸しようとした」である。
しかしながら上記のようにTAWSが再三警告していたのにそれを無視し続け着陸しようとしたことは明白だろう。
だが着陸先が「元は軍用」であったことも問題である。
TAWSは「一般的な空港と地形データ」をもっているが、軍用であったこの空港は「未収録」であった。
そのせいで「この場所に降りる=警告音声が鳴る」ということが常態化してしまった。
実態は不明だがポーランド空軍の最高司令官がコックピットにいたことにより、操縦士達に「極限的な心理的ストレスとプレッシャー」があったとも考えられている。
また「特殊な運用」(大統領専用機と元軍基地への着陸、VIPの搭乗)に対する欠陥もあるとされている。
空港側にも「安全ではない状況では空港を閉鎖するべきであった」というのもあるが、ロシア側の規定では「外国の航空機はパイロットの責任の下に離着陸は自ら決定するもの(意訳)」と定められていたため管制官が着陸を禁止することはなかった。
窃盗について
墜落現場で作業したロシア兵士が犠牲者からクレジットカードを盗み、現金引き出しや使用された形跡を発見し、起訴された。