概要
マキシマム6巻から登場したキャラクター。GUNG-HO-GUNSの最後のメンバーである『ダブルファング』と『トリップ・オブ・デス』の付き添いとして現れた老人。
その正体はナイブズとプラントを信奉する暗殺組織「ミカエルの眼」の幹部であり、上記のメンバー2人、そしてニコラス・D・ウルフウッドの戦闘の師匠。
そして作中でウルフウッドが居座っていたGUNG-HO-GUNSのナンバー5「チャペル」の席に本来入るはずだった人物である。
ミカエルの眼は暗殺者として有望な人材を確保するために、実態を隠してウルフウッドが育った教会兼孤児院を運営しており、素質ある人間がある程度の年齢まで育つと仕事の斡旋と偽って引き取り、戦闘訓練や生体改造を施して一流の暗殺者に仕上げるという非道を行っており、経緯は違えどウルフウッド、リヴィオ、ラズロはそのようにして暗殺者として育てられた。なお孤児院で働いている職員達は、そういった裏の事情は一切知らない(チャペル曰く「善人の方が扱いやすい」)。
そのカラクリを知ったウルフウッドは一緒に育った孤児院の子供たちや育ての親である「メラニィおばちゃん」らを守るために任務に乗じてチャペルを抹殺。さらに「チャペル」に成りすましてGUNG-HO-GUNSに参加し、全ての元凶であるナイブズをも始末することを画策した。
しかし殺害したと思っていたチャペルはかろうじて生きており、治療のために肉体の代謝機能を強制促進させる薬剤を大量に使ったことで一気に老化し、車椅子移動になることを余儀なくされながらもマキシマム7巻で再びウルフウッドの前に現れた。
その実態は異様なまでの完璧主義者であり、才能が乏しい者を弟子にすることを嫌う一方で、才能を見込んだ相手には異常なまでの極めて強い執着心を向ける。上記の3人はいずれもチャペルの御眼鏡に適った素質を持つ人材であり、特にウルフウッドとラズロに対する執着が凄まじい。
ラズロについては訓練に関わった組織の人間が彼によって複数人殺害されるという異常事態となり、組織上層部の人間が満場一致でラズロの処刑を支持する中、チャペルは自らの胸部を銃撃して重傷を負いながらもラズロの類稀なる才能の高さを命懸けで説き、助命を願っている。これがラズロにとっても「初めて誰かに必要とされた」と映り、師に心酔する要因となった。
一方ウルフウッドについては自分を裏切ったことに対して心底憎悪を向けていると同時に、愛弟子として手塩にかけて育て上げて来たという割り切れない思いも持ち合わせており、ヴァッシュの影響で甘い戦いをする彼の事を手厳しく批判しながらも、それでは彼がラズロには絶対勝てないという確信から意気消沈して涙を流したり、実際にラズロと対峙した初戦では圧倒的な実力を前にしながらも彼を気遣ったことによる甘さで後れを取ったことに対して改めて失望感を溢した。また、その後に「復讐」と称して行ったウルフウッドへの苛烈な拷問に対してはラズロですらもドン引きしながらウルフウッドに幾分か同情していた。その反面、ウルフウッドが予想外の戦術で窮地を切り抜けてリヴィオを倒した際には狂喜しながらその成長を褒め称えてもおり、色々な意味でまさに「狂気的」としか言いようのない複雑怪奇な人物である。
リヴィオに対しては執着を見せる場面こそないが、自らが育て上げたという自負もあってかその戦闘能力については絶対的な信頼を寄せている。また、互いに憎悪を向け合うウルフウッド、才能には惚れ込みながらも精神年齢が低く凶暴故に扱いに苦慮したり𠮟りつける場面も目立ったラズロと違い、リヴィオは後に判明する真面目で素直な性根の性格もあってか1対1の会話では談笑(チャペルの方だけだが)する場面があるなど、他2人の弟子よりも気安く接していた可能性もある。
なお、回想シーンでの容姿から考えてウルフウッドとリヴィオ・ラズロを指導していたのは同時期と思われ、作中での反応から少なくともウルフウッドには2人の存在を隠していたことが窺える。
若年時(肉体)の姿(イラスト左側)
元々GUNG-HO-GUNSのメンバーになるはずだったことから全盛期は相当高い戦闘能力を有していたと思われるが、劇中では老化に加えて車椅子生活になっているため相当衰えており、それに加えてウルフウッドから受けた傷の治療で無理をし過ぎたため最早あと一度の投薬にすら耐えられないほど肉体にガタが来ている。それでも車椅子ながら背後の爆風と階段を利用して大きく跳躍したり、片腕だけで突起を掴むことで車椅子ごと空中で制止して攻撃に転じたりと、作中のキャラの戦闘能力基準で考えても十分化け物じみた「魔人」である。
武器はウルフウッドやラズロが使用しているパニッシャーに類似した十字架型の大型機関銃。形状の関係からパニッシャーに搭載されているロケットランチャーは装備していないと思われるが、銃身回りの装甲を高速で射出して刺突武器として使うことができる。
孤児院を占拠して人質を取ることでウルフウッドをおびき寄せる形で仕掛けた決戦において、ラズロと共にウルフウッドを心身共に追い詰めるものの、突如として助太刀に現れたヴァッシュと、命懸けの大量投薬で一気にダメージを回復したウルフウッドへの驚愕から後れを取り、ウルフウッドの渾身の頭突きを食らって戦闘不能に陥る。直後に駆け寄ったラズロの見立てでは首と頭蓋骨を砕かれて即死とされていたが、後にこの状態から再び意識を取り戻し、過剰な投薬の反動で再び満身創痍となったウルフウッドを上記の武器の銃身射出でラズロごと葬ろうとしたものの、直前で気付いたウルフウッドがラズロを庇ったため失敗した。最期はチャペルがウルフウッドを葬るために自分をも殺そうとしたという事実に絶望、錯乱したラズロからパニッシャーの乱射を受けたことで粉微塵となり死亡した。