誘導分岐
- アラビア語で「国王」を意味する言葉。本頁で解説
- 『遊☆戯☆王』の登場人物。→マリク・イシュタール
- 『テイルズオブグレイセス』及び『テイルズオブグレイセスf』の登場人物。→マリク・シザース
- 『アサシンクリード』の登場人物。→マリク・アルシャイフ
- 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の登場人物。→マリク・ヤードバーズ
- 『ファイアーエムブレム』シリーズの登場人物。→マリク(ファイアーエムブレム)
アラビア諸国での国王を意味する「マリク」
アラビア語においてمَلِك(malik, マリク)という語は「権力・権能(مُلْك, mulk, ムルク)を有する者」という意味の名詞で、イスラームの聖典クルアーン(コーラン)では「(人々の)主」としての神、預言者の物語の中に登場する統治者としての王を指す言葉として登場していた。
アラブ・イスラーム世界では統治者・元首に相当する人物はسُلْطَان(sulṭān, スルターン)と呼ばれてきた。これはカリフ制の下でカリフより権威・権限(سُلْطَة, sulṭa(h), スルタ)を認められ任命されていたことと結びついた呼び名であったが、カリフ制解体や西洋化に伴いمَلِك(malik, マリク)の称号が取り入れられていった。
現代においてはオマーンを除きアラブ連盟に加入している国のうち
の各王国において元首はمَلِك(malik, マリク)を名乗っている。このうちバーレーンについてはしばらくの間首長国の形をとっていたが、2002年に王政に移行。バーレーン王国となり元首もアミール(首長)からマリク(国王)へと称号が変わった。
「マリク(malik, 国王)」と類似した「マーリク(mālik)」「マラク(malak)」「マラーク(malāk)」について
マリクとマーリクの違い
アラビア語には良く似たつづりで異なるمَالِك(mālik, マーリク)という語があり、英字表記がمَلِك(malik, マリク)と全く同じmalikないしはMalikになるため混同されている。
مَالِك(mālik, マーリク)は「(物・権利・王権などの)所有者、保有者、保持者、持ち主」という意味で、アラブ系男性名として多いのはこちらである。しかしながらMailkと当て字されることが多いためにمَلِك(malik, マリク, 王・国王)と間違われ、原語ではマーリクという男性名であるにもかかわらず「Malikはマリクというアラブ人の名前で"王"という意味」だと説明され、キャラクター命名に使われることが多い。
イスラームにおいて地獄に19いるとされる番人の天使たちの集団を指すزَبَانِيَة(zabāniya(h), ザバーニヤ, *注:ザバーニーヤは読み間違いなので要注意)らを統率する天使の名前も مَلِك(malik, マリク)ではなくمَالِك(Mālik, マーリク)の方だが、こちらもマリクと書かれている記事が多く見られる。
マラクとマラーク
またアラビア文字表記がマリクと全く同じで母音記号のみ異なるمَلَك(malak, マラク)という名詞もあるが、そちらは天使(1体)を意味する別の語となっている。مَلَك(Malak, マラク)ならびにつづりと発音が似ているمَلَاك(Malāk, マラーク, 天使)はいずれもアラブ諸国では女性名だが、英字表記がMalakとなっている場合は見分けがつかない。
مَلَك(Malak, マラク, 天使)とمَلَاك(Malāk, マラーク, 天使)はそれぞれ男性名として広く用いられているمَالِك(Mālik, マーリク)とまれに男性名として用いられるمَلِك(Malik, マリク)とも似ているため、これらが混同されている例も存在する。