概要
『逆転裁判6』第3話の被害者。享年42。
クライン教の高僧で、儀式や儀礼を執り行う祭司。
妻のサーラ・アータムと弟子のオガム・マイニーチェと共に生活している。
水清めの儀の最中に鳥姫に扮した人物によって殺害されたらしく、そのとき現場にいた綾里真宵が逮捕されることとなる。
関連タグ
成歩堂龍一 綾里真宵 サーラ・アータム オガム・マイニーチェ
この先ネタバレ注意!
僧侶の死の真相
事件の真相は真宵による殺人ではなく、マルメルの自殺である。
実はアータム夫妻は革命派の人間であり、同居していたオガムはクライン王国政府から送り込まれた秘密警察の一員だった(オガム・マイニーチェという名前も偽名である)ことを知る。
革命派ではあるものの、弁護士に対してはクライン国民同様疑いの目を夫妻共々持っている。
事件の前日、サーラは聖域に隠されたアジトでオガムに命を狙われ、抵抗した際に彼を死なせてしまう。アジト内に仕掛けておいた盗聴器を通してそれを知ったマルメルは、裁判で行われる御霊の託宣を利用して成歩堂龍一が昔馴染みの弁護士であった事を真宵から聞いたことも兼ねて、真宵に罪を着せることを思いつき、オガムが自分より後に真宵に殺されたように見せかける偽装工作をした上で自殺することで真宵に全ての罪を着せて妻を守ろうとした。
彼の狙い通り、御霊の託宣では鳥姫に扮した真宵が自分を殺したように見える映像が水鏡に映し出され、一度は真宵に有罪判決が下されたが、その直後、オガムが遺体で発見され、裁判は連続殺人に切り替わり、中断。翌日殺害を巡る裁判で真宵に霊媒され、法廷で証言しなければならなくなったことで真相が明らかとなり、真宵の無実が証明された。
最後はレイファから勾玉を借りたサーラによって除霊され、満足そうな笑顔を浮かべて冥界へと帰っていった。
彼がこのような行動をとったのは、クライン王国の法律が深く関係している。
サーラのオガム殺害は正当防衛と成歩堂は主張しているのだが、弁護士不在のクライン王国の法廷ではそれを証明することが困難であり、サーラが殺人罪で有罪になるのは明白だったため、マルメルが妻を守るには第三者による連続殺人事件に見せかけるために自ら命を絶つしかなかったのである。
もしも、せめてオガムが死んだ時点で助けを求めていれば成歩堂は即座に了承し、サーラのために戦ってくれたことは明白であり、成歩堂もその点を言及していた。
マルメルもそう言われた際には自嘲と共に認めていたものの、前述のように弁護士を信じることが出来なかった彼にとって、事件発生の時点では面識がなかった成歩堂に助けを求めることはあまりにもリスクが大きく、ましてやサーラは身重であったため尚更成歩堂に頼るわけにはいかなかったのである。
確かに真宵に罪を着せようとしたことは事実であり、霊媒された際も偽証に偽証を重ねたのでそれらに関しては批判されるのも止む無しであるが、大元の原因がクライン王国の間違った法律であるのもまた事実で、更にマルメルは除霊される前に真宵と成歩堂に謝っている。
全てはクライン王国の歪んだ法が生んだ悲劇であった。
ちなみに真宵に霊媒された時のマルメルは本人の姿に真宵の衣装と髪型というシュールすぎる出で立ちをしており、上着を脱ぐわ変なポーズ(クラインではとても神聖な意味合いがある)をとるわとやりたい放題(一応体つきも変化するのでイレズミの入った細めの男性体型となっている)。
実は長髪に憧れており、真宵に霊媒されたことで生前では得られなかった綺麗なロングヘアーが自らの頭からはえているのを知った際に喜んでおり、ゲーム中ではカッコつけながら颯爽と髪を透かしてドヤ顔を決めるモーションも披露してくれる
挙句の果てにはショックで上着を脱いだまま霊魂だけ抜け出て真宵が元の体に戻るというけしから(ryゲフンゲフン・・・・とんでもない出来事まで起きた(残n・・・・幸いうつ伏せになっているので見えてはいけないところは見えてない。なお、霊魂は霊媒の影響なのか肉眼でも目視可能となっており、実際に成歩堂がその目で確かめている)。
サーラの手によって冥界へ戻る時は真に残念な・・・・もとい、いつの間にか上着を着ていた。
この冥界へ戻る一連のシーンは、マルメルのギャグに振り切った出で立ちのせいで涙腺が引き締まって泣けずに困ったプレイヤーが続出したものの、演出その物は本気でプレイヤーを泣かせに来ており、マルメルの出で立ちに惑わされずガチ泣きしたプレイヤーも多い。
否定的な考察
徳のある僧侶とは思えない以下の行動を理由に否定的な意見も存在する。
・どんなに綺麗事を言ったとしても「自分達の目的の為に、全く関係の無い無実の真宵に、罪を押し付けようとしていた」ということは変わらないため、同情しにくい。さらに成歩堂が同罪で処刑される事を覚悟の上で法廷に立っているにもかかわらず、笑いながら無実の真宵を陥れる証言をしているのでヘイトを買っても致し方ない部分がある。
・彼らが賞金首になるほどの犯罪者を脱獄させようとしていたのが事件の原因である。オガムの方から見れば「凶悪犯の脱獄計画を知ったので、阻止の為に実行犯を殺害してしまった」といえば日本やアメリカ等の数多くの国で正当防衛が認められるのはオガムの方であるし、それが真実でもある。反対にサーラは一切認められずに捜査官を殺害した凶悪犯として裁かれるだろう。クラインの法は日本やアメリカとは真逆のようだ(現実の現代にもそういう国も少数ながら存在する「名誉殺人」等)。
・裁判などせずとも地下組織に逃げ出せばよかったのである。実際最後に妻は(必要ないにもかかわらず)そうしている。革命派は、武力による政権奪取ではなく、無血革命を目指し、飽くまで王族が非を認めての自己浄化でも構わないスタンスなので、発言力がある高僧には表舞台になるべく立ち続けてもらい、無為に地下潜伏させるのは、基本愚手であるが、真宵を罠にはめて処刑させる方が愚手であろう。後に明らかになれば名誉失墜は避けられないし、真宵は外国人なので国際問題にまで発展する危険性がある。
・証言も彼自身すでに死んでいる以上彼が「オガムは自分で誤って殺しました、そのあとに自殺しました、自殺理由は妻を巻き込みたくなかったから、まさか真宵さんが捕まるとは思っていなかった」と言えばいいのに二年も一緒に生活していた真宵に罪を着せる証言をする。ただし、クラインの常識では『親の罪は子の罪』であるため、マルメルが自分の罪と認めるに認められない状態であったこと、そもそも霊媒されること自体イレギュラーな上に、自分が死亡した→いきなり裁判所に立っていたために状況を認識するのが精一杯なまま証言の場に立たされ、嘘を考える余裕がなかったために、裁判の流れとしてオガムが死んだ時の状況も明かされてない=正当防衛の可能性を考えられてないのに、徒に真相を明かせる場面ではなかったため、死んでいるから嘘で罪を背負えばいいは、真相がわかった後での後出しジャンケンに近い(笑いながら真宵に罪を被せて良い訳でもないが)。
…客観的に見れば身勝手すぎて最後のシーンも感動すらできないだろう。