マーク・リッパート
まーくりっぱーと
アメリカ合衆国第44代大統領であるバラク・オバマ大統領の側近として知られ、オバマ大統領が元老院議員の頃から外交政策のアドバイザーを務めていた。
大統領選挙においても彼を支えたことが縁で、オバマ政権が発足すると、国家安全保障会議で首席補佐官を務めたのち、国防総省で次官補(アジア・太平洋担当)や長官首席補佐官などの要職を歴任し、大韓民国駐箚アメリカ合衆国特命全権大使に起用され、ソウル特別市の在韓アメリカ大使館に駐在することになる。
詳細
2015年3月5日、ソウル特別市での講演会において、韓国人の過激な反米活動家金基宗(キム・ギジョン)に切り付けられて重傷を負い、約80針を縫合する手術を受けた。
右の頬骨の下からあごと首にかけての傷は、頸動脈の1~2cm手前までとどいており、下手をすると命を失う危険もあった。
この人物は前科6犯で反日活動家でもあり、以前も在韓日本大使の重家俊範大使に、2個のセメント片を投げつけ起訴されていた。
にもかかわらず、行事を主催していた民族和解協力汎国民協議会(民和協)は1人の警護員も配置しておらず、警察にも警護要請をしていなかった。
アメリカは韓国への疑念を深め、FBIによる綿密な調査に着手している。
事件後
事件後、リッパート大使の身を案じるネットユーザーから、大使を気遣うコメントが寄せられ、入院先の病院でリッパート大使は「自分だけでなく米国への攻撃だ」と韓国政府の金武星代表に発言している。
2015年3月13日付けの『朝鮮日報』によれば、ソウル地方警察庁の捜査本部は12日午後に、大使官邸でリッパート大使から事情聴取し、リッパート大使は「(襲われた際に)殺意を感じた」と述べて金容疑者の処罰を求め、「金容疑者について気になることは多いが、(質問は)保留する」とも述べたという。
リッパート大使は、韓国警察の捜査に積極的に協力するようにという米国政府の指針を受け、事情聴取に応じたとされる。
聴取は午後1時半から行われ、1時間45分にも及び、警察はリッパート大使に、襲われた当時の状況や被害の程度などを尋ね、特に金容疑者に殺人未遂容疑が適用されたことを踏まえて、切りつけられた際に金容疑者から殺意を感じたかどうかなどを詳しく聴取した。
警察関係者は「大使は聴取の途中、(切りつけられた)左腕が痛み肘掛けに腕を置く様子も見せたが、聴取に丁寧かつ誠実に応じた」と伝えており、大使が時おり冗談を言うなど、和やかなムードの中で進められたという。
警察は、供述調書を英文に翻訳し、13日午前に米国大使館へ送る予定で、リッパート大使は調書を検討した上で署名し、捜査本部へ送り返すとみられている。
警察によると、リッパート大使は「殺意を感じた」と供述しているが、一方で金容疑者は「危害を加える意図はあったが殺意はなかった」と繰り返しているという。
金容疑者の弁護人は「象徴的な意味で(リッパート大使の顔を)切りつけたのであり、一種のパフォーマンスだった」
などという金容疑者の供述を公表した。
金容疑者は前日の取り調べで、「5年前に日本大使に投げ付けたコンクリートの破片が当たらず、今度は攻撃するつもりで行事に出席した」などとも供述している
一方で、リッパート大使は退院直後の11日(現地時間)に放送された米NBCニュース番組の映像インタビューで「テロ以降、外出が怖くないか」と尋ねられ「全くそんなことはない。ソウルは安全であり、これからもためらうことなく韓国の人々と対話し、コミュニケーションしていく」と答えているという。