概要
ランシールバグ とは ファミコン版 ドラゴンクエストⅢに存在するバグの一つで世界のへそ「ランシール」でのイベントの内部処理の問題から発生するバグでありファミコンマガジン誌上で公開されたことから広く知られるようになった。
これが発生すると画面が大きく乱れたり、ゲームが完全にフリーズして進行不能になったりと深刻な影響が出ること、アイテムやキャラクターのコピーなどのさらなる裏技に活用できたことから大きな話題となり、問題の大きさからバグ発生対策を施したFIX版(非公式にBバージョンと呼ばれる)も発売された。
基本的な発生のさせ方
パーティーを解除して1人でランシールの神殿に赴き親父の質問に対して「はい」と答えたあと左奥のダンジョンへ進まず下方の出口を通って街に戻る。
こうすることで 開発陣が想定していなかった「ランシールのダンジョンを1人で攻略中というフラグが立ったままの通常攻略」という異常状態に突入し
様々なエラーが発生する。
バグ発生時の基本的な影響
ルーラやキメラの翼が使えなくなる。
ランシール神殿の神父に話しかけた直後からこの状態となる。バグ発生中はルーラやキメラの翼が使えない。
冒険の書の特殊化
ルーラ使用不能状態時に冒険の書に記録すると、その冒険の書は普段とは少しかわった状態になる。これを特殊化と呼ぶ。
復活場所
通常、冒険を再開したときや全滅したときは、最後に冒険の書に記録した場所からはじまるが、ランシールバグ中は再開する場所が変化することがある。
ランシールの質問
通常地球のへそで全滅すると、ランシール神殿で再開し、「もう一度やってみるか?」と神父に尋ねられる。この質問のことをランシールの質問と呼ぶ。ランシールバグ実行中は、この質問を他の場所でも聞くことができる(神父はいなくてもメッセージのみ出現する)。この質問の答え方がルーラ不能状態に関わってくるので、ランシールの質問に対する答え(はい・いいえ)には十分注意すべき。
棺桶状態
ランシールバグを利用すると、パーテイー全員が死亡した状態でも全滅扱いにならず、棺桶のまま街の中やフィールドを歩くことができる。
本バグを利用して可能な裏技
アイテムの複製・消去
クリア前に勇者をパーティから外す
自走式棺桶
Lv0で名前の無い勇者
キャラクター増殖
本バグの根本原因
本バグの根本的な原因すばり「想定の甘さ」である。
ドラゴンクエストⅢはプレイの自由度が高くプレイヤーが任意で変更出来る項目が比較的多くランシールのダンジョンに一人で訪れるスタイルもその一つであった。しかし、開発陣は「ランシールへは必ずパーティーで訪れるもの」と信じて疑わず市街への逆戻りしないようにする足止めに一時的な切り離し&属性変更でNPC扱いに変更されるパーティーメンバーを使ってしまった。そのためパーティープレイでは問題無いがシングルプレイで来ると足止めできず市街に戻れてしまうという問題が発生したのである。
そして、想定していないプレイなのでデバック対象にもならずそのまま世に出てしまったのが真相であった。
後に メインプログラマーの内藤氏も自身のyoutobeチャンネルで本バグを「想像力欠如系バグ」と称し想定の甘さ故に残っていたバグであったと語っている。
改修版(通称Bバージョン)
前述のとうり本バグの解消を目的に改修版(通称Bバージョン:呼び名はカセット背面のラベルにBと刻印されていることに由来)が発売された。
内容的にはランシールバグの解消にためにランシールのダンジョンに入らず街に出ようとするとランシールのダンジョン挑戦のフラグが解除されるように改良されたもの。これにより普通のプレイではランシールバグに遭遇することはほとんどなくなった。ただし、後にユーザーにより改修版でもランシールバグと同等の状態に持ち込む方法が発見され 完全に根絶されたわけではなかったことが明らかになっている。