リィンバウム
りぃんばうむ
この世界を取り巻くようにして、機界ロレイラル、鬼妖界シルターン、霊界サプレス、幻獣界メイトルパが存在している。この四つの世界をめぐるようにして魂が輪廻していっていると言われ、リィンバウムは輪廻する価値を失った魂が堕ちる煉獄とも、逆に選ばれた魂が向かう天国あるいは楽園とも称されている。
輪廻する魂がたどるルートは
(前略)→サプレス→メイトルパ→ロレイラル→シルターン→サプレス→(以下略)
これが円環状に延々と続いていく。
リィンバウムはマナに恵まれた世界であり、そのため、四つの異世界の住人から目をつけられ、侵略を受けることも少なくなかった。リィンバウムの人々はこの世界にやってきた異世界の勢力を追放すべく「送還術(パージング)」を編み出し、その応用として「召喚術(サモーニング)」が生み出された。
それぞれの世界を司り統括するエルゴという超存在と契約した伝説的な人物「エルゴの王」により、リィンバウムと四つの世界との間に結界が張られた。これで異世界からの侵略の脅威はひとまず去った。
「エルゴの王」が建国した王国があったものの、権力争いにより分裂。現在は各地の領主の盟主として、「聖王国」、北方の「旧王国」、西方の「帝国」が存在している。旧王国は召喚師主体の王国(のちの聖王国)の体勢に反旗を翻して建国し、傀儡としていた王族を担いで亡命した集団が帝国を建国したため、他の2国との関係は最悪レベルであり、召喚師の地位が低い事も災いしてか、シリーズの主な舞台にはなった事がない。
異世界の力を使用できる「召喚術」はリィンバウムの社会で極めて大きな位置を占めており、この技術を持った「召喚師」の派閥が大きな影響力を持っている。
聖王国では、学術的な研究者の集まりである「蒼の派閥」と、職業として召喚術を扱う「金の派閥」があり、お互いにライバル意識がある。
帝国では、軍が召喚術を管理している。
非合法行動や世界の転覆をもくろむ召喚師の集団は、一括して「無色の派閥」と呼ばれる。
派閥に属さない召喚師もおり、一族内で召喚術を継承する集団や、悪事(無色の派閥ほどではないが)に走る外道召喚師などがいる。
リィンバウムの建築物、衣服は西洋ファンタジー風が基調になっているが、異世界から持ち込まれた意匠も見られる。
霊魂が輪廻していく仕組みが知られており、他者の死を悼み、墓をつくるという発想はあるものの、制度化・組織化された宗教は存在していない。エルゴの王に対する畏敬はあり、三大国の元首がすべてエルゴの王の子孫であるが、英雄崇拝的なレベルには達していない。エルゴについても、一般人の誰もが知っているものではない。
「2」の主人公とアメリカ人刑事レナードの夜会話によると、「神」や「地獄」という概念も知られていないようだ。シルターン人の巫女カイナとの会話でも、龍神や鬼神を単に「強い召喚獣」としか見ていない事が分かる。
「5」の時代には、響融化(アストレイズ)により、部分的に四つの異世界と融合、そこから世界間の移動が可能になる。
また、聖王国が前身となる「誓央連合」、蒼の派閥と金の派閥が統合されて成立した召喚師の組織「異世界調停機構(ユクロス)」、巡りの大樹自由騎士団(リィンバウムじゆうきしだん)を前身とする世界警察的な「警察騎士団(シルヴァリエ)」が存在し、一部の地域では試験的に異世界の技術を導入している。
リィンバウムではサモナイト石という特殊な鉱物が産出される。
原石を特殊な方法で精錬していくと、紫、黒、赤、緑、無色へと変色し、術に使用可能な状態になる。それぞれサプレス、ロレイラル、シルターン、メイトルパ、その他(ほぼ器物召喚専用)に対応する。色ごとのサモナイト石と特定のアイテムを組み合わせることでサモナイト石は召喚術を使う触媒となる。あとは召喚対象の「真の名」を唱えれば術を行使できる。
しかしながら、原石、その精錬方法、「真の名」の知識は召喚師たちのグループにほぼ独占された状態にある。そのためリィンバウムの住人であっても多くの一般人には手の届かないものとなっている(その割に、フリー戦闘などで頻繁に手に入るが)。
「召喚術」で呼び出される「召喚獣」は四つの異世界の住人が主だが、そのどれにも当てはまらない名も無き世界の住人がリィンバウムに召喚されることもある。
召喚を行った後は元の世界に送り返す「送還」を行うのが基本だが(常時存在させる「護衛獣」は例外)、術者の死などによってその機会を失った召喚獣はそのままリィンバウムに留まり「はぐれ召喚獣」となる。
「はぐれ召喚獣」のうち、知性のある種族(メイトルパの亜人など)はリィンバウムの社会に溶け込んだり、自前でコミュニティを作ったりしている。最悪の場合は、野生化して生態系を破壊したり、人間を襲ったり、人間の奴隷にされたりする。
召喚の誓約には強制性があり、いわば相手を奴隷にするのに近いため、やりようによっては道義的に問題が大きくなる。虐待された事のあるはぐれ召喚獣(特にメイトルパの亜人)には、リィンバウムの人間を憎悪している者も多い。
「5」の時代には既に過去の召喚術(「服従召喚」と呼んでいる)は使用不可能になり、響命召喚術や盟友召喚に取って代わられている。