リズレさん
りずれさん
CV:本渡楓(小説版発売記念PV)
ある世界、ある国のあるところで、幼少期に奴隷として悪党に攫われたエルフさん。その後は、非情な世界で心身ともに深刻な傷を負わされて〜云々〜なんやかんやあってエルフさんは薬売りさんに助けられ、彼から懸命で暖かな思いやりのある治療を受けている。
エルフさんのお話しは、彼女の回復を綴った治療記録でもある。
なお、作品のタイトルが長いせいか、各話にはタイトルの代わりに「リズレさん」のタグが付けられることが多い。
金髪と緑眼、そして長い耳が特徴なエルフ。更に素晴らしいものも持っている。
しかし、前の主人によって「さんざん弄ばれた」せいで、上の画像からも見てわかるようにハッキリ言って酷たらしい有様となっていた。
彼女と出会った薬売りさんの診察では―
- 手足の壊疽は進んでいるのか、包帯が巻かれている。そのため、自力での活動もままならなず、事実として食事も人の手を借りなかければならない。
- 体全体に痛々しい鞭の痕や切傷・打撲・裂傷の数々が見られる。
- 爪は殆ど剥がされており、歯は奥歯の数本以外が抜かれてしまっている(喉は損傷してなかったことから、辛うじては喋る事ができる)。
- 聴力は失われていないが、エルフの特等的な耳が傷つけられた跡がある。
- 両目とも視力はなく、左眼球は物理的に消失している。
となっており、もし処理や保護を断れば命が危ない事や、彼女の消え入りそうな声で発した心からの「ささやかな願い」を耳にしたことから、薬売りさんは彼女の購入(救命)を決意。なお、質屋から請求された引き渡し金は「家畜一頭分に満たない」額であった事から、それに憤慨した薬売りさんは内密に済ませる意味も込め「手数料も多めで」とエルフの娘を引き取った。
エルフさんは、言葉に表さずとも分かる非情な仕打ちを受けてきた事や、きっと長らく生きた者ではなく只の物として扱われてきたであろう状態から、薬売りさんと出会った時には殆ど感情を失っていた。質屋から出立する際の荷支度で触れたりしても、終始無反応で意思の疎通も困難であったが、涙を流せない訳ではない。
薬売りさんと出会った頃は、彼から話しかけられても「・・・。」と無言だったため、エルフさんの本名など素性は不明。それでも彼女の治療を決意している薬売りさんから願いを込めて、渾名「リズレ」を与えられる。
その意味はズバリ「復活」である。
時系列で未来に当たる画(サムネイル画像)だと、多少の傷跡は残っているが五体満足にまで回復し感情も取り戻している模様。
薬売りさんと出会った当初は、肌着としても粗末なボロ布と、手足に包帯が巻かれていたエルフさん。
薬売りさんが暮らす静かな村へ移住してからは、村人から譲ってもらった女性ものの衣服を纏うようになる。髪も手入れされ、体中に湿布などを貼られていながら可愛らしい様子になったが…。
保護直後
エルフさんは幼少時に奴隷として悪党に攫われ、悪い金持ちによって心身ともにボロボロにされ、捨てられる形で質屋に押しつけられてしまう。そんな彼女がいる都市を訪れていた薬売りさんと運命の出会いを果たす。
薬売りさんに購入(救命)されてからは静かな村に構えている工房へ運ばれ、そこで本格的な治癒を施される事となった。
村人からは快く受け入れられているようで、村娘・モネからは無垢で温かな笑顔で接せられている。
薬売りさんの懸命な治療や、村人からの声掛けから、少しずつ感情を取り戻している様子が垣間見える(特に、エルフ特有の長耳が「ぴこぴこ」動く様を観察すると分かりやすい)。
しかし、薬売りさんの工房でまともな設備がある環境へ移ったとはいえ、リズレさんが負った「傷」は相当深く困難が続く。
ある日には、高熱の発症や体内に仕組まれていた神経毒(おそらく、前の主人が悪意を持って仕込んだもの)で倒れてしまう。
それでも、薬売りさんはめげることはなく、村の馴染みであるアネとモネ親子の力を借りながら、神経毒を治す薬を作る。そして……
彼女の瞳に、喪われたはずの『光』が灯ってきた―――
解毒剤に使用した材料の成分が視神経にも影響したのか、明暗の判別ができる程度だが視力が回復。それに伴い意識も戻った。
たどたどしくも会話ができるようになったが、以前までの虐待の影響か薬売りさんに拾われる以前の記憶を失っていた(そのため、本当の名前も「帰りたい」と願っている故郷のことも不明のままである)。
それでも、会話や食事をこなせるまでに回復していた事から、薬売りさんは記憶喪失を様子見にしてリズレさんの身体の回復を優先するのであった。
取り戻した手足
治療の結果、少しずつ話せるようになり、食事も脂っこいものでも普通に食べられるようになってきた。喜怒哀楽もハッキリ出せるようになったが、視力や手足の壊疽のこれ以上の回復の見込みはないため、薬売りさんに背負われて彼の友人の闇医者アダムスカ(アダム)のところまで旅することに。
あと一歩のところで薬売りさんが過労で倒れてしまうが、とっさにもしものために持たされていた信号を発する魔道具の首飾りを発動させ、アダムに救助された。
しかし、アダムの診察の結果は、失った左目は仮に眼球があっても回復不可能(おそらく、視神経が損傷していると思われる)、手足に至っては腐食の呪いもかけられており、もはや手遅れであり切断しないと命にかかわるという残酷なものだった……。
リズレさんはショックを受けながらも薬売りさんたちを信じて任せることを決意。アダムが研究用に保存していた「コレクション」から適合しそうな右腕と左足が見つかったため、切断と移植手術が実施された。
手足の移植は成功し、神経が繋がり出した兆候が見られるようになり、こちらは改善がみられるようになった。
しかし、アダムによれば女性としての機能も破壊されており、治療は一応可能なのだが大きなリスクを伴うらしい(詳細はリズレさんにのみ話されており、薬売りさんはまだ知らない)。
腕のリハビリの最中、薬売りさんから彼が多くの人を殺めたという過去を明かされる。しかし、それでもリズレさんの彼への恩義は揺らぐことはなかった。
そして、薬売りさんと向き合おうとする思いが奇跡を起こしたのか、彼女の右目の視力が完全に戻った。
……ただし、薬売りさんの顔をちゃんと見えるようになったことから、介助されるたびに彼を意識するようになってしまい、赤面する日々を送っている。
治療困難な個所も多数残っているが、全身の傷が(流石にあとは残るが)ほぼ塞がり目立たなくなっているなど、確実に回復はしている。
56話時点では、右腕も次第に動かせるようになっており、それまで手書き文字だったセリフが活字表記になったことから、言葉も流暢に喋れるまでになっていることが示唆される。
回復してきた彼女は、恩返しもかねて薬売りさんを手伝いたいと思うようになり、薬売りさんから「一人で動けるようになったら」と提案されたことで奮起。
今まで以上にリハビリに精を出し、その結果、4ヶ月後には手足は自由に動くようになり、松葉杖で歩けるまで回復、薬売りさんを手伝えるようになっている。
その後、ドワーフのマドリリの手により、欠損したままの左腕と右足の代わりとなる義肢が作られ、ようやく自力で歩けるようになった。
故郷への帰還、そして……
治療がひと段落し、平穏な日々を送っていたある日(小説版では義肢を受け取って帰宅した直後)、薬売りさんの元をエルフの少女が突然襲撃してくる。薬売りさんに取り押さえられた彼女は、リズレさんの姿を見ると、
「姉さん!!??」
と驚愕する。
イドリアと名乗った彼女はリズレさんの実の妹であり、彼女の口からリズレさんの本名が「ルミレア・シェラ・アゥスプルス」であることが判明した(本人はいまだ記憶が戻らないが、薬売りさんはこれ以降彼女を本名で呼ぶようにしている)。
しかし、ことはそれだけでは終わらず、イドリアは、以前に良かれと思ってリズレさんが自分の持つ力を込めて作った「歌唱石」の存在を知り、イルダ人(人間)に獣を鎮めるエルフの秘術を売り渡した咎人がいると探っていた末に、薬売りさんが出どころであると気付き、襲ってきたのだった。
故意でないとはいえ、秘術を外部に漏らしてしまった以上、リズレさんはエルフの里「エルスヴァリア」で裁定を受けざるを得なくなってしまう。
イドリアの様子から、裁定は厳しいものになる可能性が高く、しかも、結果はどうであれ、暴行され穢れた身ではエルフとしてもはや扱ってもらえないという残酷な事実まで判明してしまう。
里に帰還した彼女と薬売りさんは問答無用で死刑判決を受けてしまうが、程なくして里がエルフに恨みを持つイルダ人たちの襲撃を受ける。どさくさに紛れて二人を逃がそうとするイドリアにより牢から出されるが、エルフたちを放っておけず襲撃者に立ち向かっていく。しかし、襲撃者の中に自分を攫った相手がいたことでリズレさんはルミレアとしての記憶を取り戻した。
首謀者でもあるその男と相討ちになってしまう薬売りさんだったが、リズレさんが移植された右腕に宿るハイエルフの魔力を覚醒させた回復魔法を発動させたことで一命をとりとめた。
自分たちを救ってくれた二人に対しエルフたちは恩赦を与えたが、リズレさんは自分の意志で再び薬売りさんと共に里を出ることにした。
その後、薬売りさんは紆余曲折を経て彼女の体を完全に修復できる魔法薬ハイポーションの精製に成功する。副作用としてエルフの寿命が削られてしまうが、彼女は躊躇うことなく受け入れ、欠損していた手足や左目を取り戻した(明言はされていないが、この時に妊娠できる体に戻っている。ただし、肌の傷跡や欠けた耳などは僅かに残った)。
五体満足になった彼女は「ルミレア」ではなく薬売りさんが付けてくれた「リズレ」でこれからも呼んでほしいとお願いする。その言葉に、薬売りさんも胸に秘めていたリズレさんへの思いを告白。二人は遂に結ばれた。
それから時は経ち……
「おかえりなさい、薬売りさん(※)……。あっ、じゃなくて」
「「お父さん」」「パーパ」
二人の子宝にもめぐまれて、リズレさんと薬売りさんことアレンは幸せな日々を過ごしている。
※メインイラストでは「おかえりなさい、薬売りさま」になっている。
また、小説版ラストで、現在は「リズレ・ルミレア・ティルディーン」と名乗っていることが判明した。