「あんたは黙って、あたしの後ろでせせこましく露払いだけしてればいいの」
CV:佐藤利奈
概要
本編開始より五百年前に活躍した第二十代正規勇者にして、極位古聖剣セニオリスの担い手。師匠はニルス・D・フォーリナー、兄弟子はヴィレム・クメシュ。
煉瓦色の髪をハーフアップにした少女で、ヴィレム曰く「人格・性格・性分・性根から心根に至るまでお前は褒められるところのまるでないやつだが、その変わり身の早さだけは少し尊敬してる」とのこと。サバサバした性格で、皇帝が相手でも「おじさん」呼ばわりである。
出自
「お前とかゆーな。亡国とはいえ、余は正当なる王家の血に連なる者ぞ。ちゃんと敬え」
初代正規勇者アーベル・メルケラの興したディオネ騎士国の王女で、王位継承権は十四位。牧歌的な小国の象徴として、幸せそうに笑顔を振舞うのが役目だということを理解し、また、そういう笑顔が自然と出るほどには幸せだった。
九歳の頃、ディオネ騎士国は古霊族(エルフ)の大群に襲われて滅亡。リーリァは忠臣の一人によって逃がされ生き延びる。なお、ディオネ滅亡に際しては帝国の暗躍があったと疑われていたが、リーリァ本人は「帝国のせいで祖国を失ったとは思っていない」「でも無関係だったとも思わない」「ディオネを無傷で手に入れようと弄した小細工が予想外の結果を生んだ」「恨んではいない」「せめてあの地を、あの地に住まう民草を、善く治めてほしい」と思っている。
そしてじいやとともに旅をする中、リーリァは様々な受け入れ先で「祖国を失った悲劇のお姫様」の役を求められる。そのことに気づいたリーリァは、その役を受け入れつつも、自分は果たして悲しんでいるのだろうかと自問するようになる。
リーリァ・アスプレイは空洞を知っている。
ヴィレムとの出会い
「へ」
「……へ?」
「へたくそ」
十歳の頃、森でじいやに待っていてくれと頼まれていたリーリァは、棒切れで剣術の稽古をしていたヴィレム少年(見た目は同い年だが、ヴィレムの方が一歳年上である)と出会う。リーリァから見ればその鍛錬法にヴィレムの技量は及んでいなかったのだが、なぜか目が離せなかった。そしてふとしたことでヴィレムに気づかれたリーリァの兄弟子との初めての会話が上記である。
この会話のせいで、身内に甘いヴィレムもリーリァだけは例外とした。
バゼルフィドル
「約束通り、助けに来たよ。──お友達価格で」
十三歳の頃、吸血鬼(ヴァンピリック)とその眷属を倒した際に極位古聖剣セニオリスを「人の国を墜とすため、万の数を鏖殺するための病魔」(正確には四万七千六百五十三人)に汚染される。
その修復は帝都では不可能だったが、幽霊船都市国バゼルフィドルの護符商人アステリッド家ならば可能だと師匠ニルスに言われる。ニルスの紹介でリーリァは(お目付役の)帝都賢人党柴飾二等シリル・ライトナーを訪れ、アステリッド家当主であり、犬猿の仲であるアデライード・アステリッドにセニオリスを預け、観光の途中でエマ・コルナレスと出会う。
そしてアステリッド家の、またバゼルフィドル闇社会の騒動に巻き込まれていく。
極位古聖剣セニオリス
『其方が旅の道連れを望んだならば、我はその先を望もう』
『其方を想う四十一の祈りとともに、そして其方自身の一つの願いとともに、これからの旅を共に歩むことを願おう』
極位古聖剣。
名もなき勇者と旅を共にした神片精霊カイヤナイトが、勇者が剣を失ってもなお赤銅竜ニルギネルゼンと戦おうとするのを見て、勇者の仲間の形見と一緒に一振りの剣に身を変えたもの。
「荒れた海での酔いを抑えるお守り」「傷んだ野菜を見分けるお守り」「病床で悪夢を防ぐお守り」「熱いものを飲んでも舌を火傷しないお守り」「初めて訪れた場所でも北の方角がわかるお守り」など四十一の護符でできている。
特筆能力は「相手を問答無用で死者に変える」。対象が不死であれ不滅であれ、あらゆるものに『死』の呪詛を刻み『死者』にする。
適合条件は帰る場所を持たず、帰りたい場所に帰ることを諦め、自分自身の未来をすべて投げ出し終えること。人間種や黄金妖精の中でも、非常に特殊な素質を持つ極一部の者にしか扱えない。
正規勇者
「──正規勇者は、かつて実在した『典型的な勇者』の人生のコピーだ」
正規勇者とは、讃光教会が選ぶ聖人である。一度に一人しか選ばれないため、(ヴィレムのように)正規勇者となりうるものは準勇者と認定され、やはり聖人とされる。
正規勇者と認定されるには、武芸呪術に秀でていることはもちろんだが、勇者に似合う悲劇的背景を背負うものでなければならない。古の勇者の悲劇的な人生に似た道を歩んできたものでなければいけない。
なぜかといえば呪術の基礎は詭弁と牽強付会であり、つまり似たようなものは似たような性質を持つとされているからである。勇者にしか倒せない強敵であっても勇者と同じような人生を歩んできたものならば倒せるかもしれないという理屈である。
つまり正規勇者と認定されたリーリァは讃光教会によって「世界一不幸な人」認定されたということであり、正規勇者である限りは不幸でなければならない。満たされてしまうと正規勇者の資格を失い、教会は別の勇者を選定するからである。
正規勇者は、かつての勇者のように誰よりも強い力を振るい、敵と戦えば必ず勝つ。そして、本当に救いたい相手は決して救えないし、帰りたい場所には決して帰れない。
星神との戦い
「あたしは、リーリァ・アスプレイ。あんたを殺して、世界を救う、ただの勇者だよ」
リーリァが十七歳の時、星神エルク・ハルクステンと、地神たちが、人類に牙を剥く。
不死の存在である神。しかし、あらゆるものを死者に変えるセニオリスの特筆能力ならば、人類を救えるかもしれない。
しかし、その救われる側に、リーリァはいない。
死を覚悟して、リーリァは仲間たちに見送られ、準勇者たちと共に、神に挑んだ。
別名・表記ゆれ
関連タグ
終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?
ヴィレム・クメシュ 兄弟子
クトリ・ノタ・セニオリス ラキシュ・ニクス・セニオリス リーリァに続く聖剣セニオリスの担い手たち
この記事のカテゴリ
キャラクター・人名 イラスト 小説 作品名 イベント ゲーム セリフ
以下は余談である。
決戦の前夜、リーリァはニルスのもとを訪ねる。
そうする正当な理由があってのことだが、もう一つにヴィレムのところに行きたくないから、というものがある。
リーリァは、ヴィレムのことを知っている。ヴィレムが周りにいる者を幸せにしなければ気が済まない性質であることを。だから、リーリァが寂しいから一緒にいてくれと頼めば断らないことを知っている。そしてそれで自分が満たされてしまうことも。世界一幸せになってしまうことも。
正規勇者の資格を失ってしまうことも。つまり讃光教会が別の誰かを正規勇者に仕立て上げてしまうことも。それが誰になってしまうのかも。
「ヴィレムだけは、絶対に正規勇者になんか、ならせない。
戦う理由なんて、それで充分。あたしはそのためだけに正規勇者をやってるし、明日はそのためだけに、星神を討つんだ」