プロフィール
概要
レーベンスティールは日本の競走馬である。父リアルスティール、母トウカイライフ、母父トウカイテイオー。
父リアルスティールはディープインパクト産駒で、2016年のドバイターフ勝ち馬。2015年のクラシック三冠戦線では皐月賞2着・日本ダービー4着・菊花賞2着と惜しい成績で終わったが、その相手は二冠を取ったドゥラメンテと菊花賞を取ったキタサンブラックであり、むしろ善戦した方という見方もできる(後に全妹のラヴズオンリーユーが海外GⅠ3勝・エクリプス賞最優秀芝牝馬受賞を果たしている)。国外GIの1勝も含む重賞計3勝ながらもこうした戦歴と好血統から社台スタリオンステーションでのスタッドインを勝ち取っており、本馬はそのファーストクロップ世代の一頭である。
また、「母父トウカイテイオー」の血統は、2023年でトウカイテイオーの没後10年を迎え、テイオー産駒の現役繁殖牝馬も次第に少なくなりつつあり、その点も特徴となる。
馬名「Lebensstil」はドイツ語で「生き様」の意味。父リアルスティールの馬名由来はヒュー・ジャックマン主演のアメリカ映画「Real Steel」で英語なのだが、「スティール」の響きに母トウカイ「ライフ」の名を引っ掛けた命名である。
戦歴
2歳
美浦・田中博康厩舎への所属が決まり、新馬戦として2022年11月13日東京競馬場の芝1800mでデビュー。鞍上はJRAの短期騎手免許制度で来日していたトム・マーカンド。しかしこのレースには、レーベンスティールを抑えて1番人気に推された一頭の馬がいた。レーベンの父リアルスティールを菊花賞で破り、この頃イクイノックスの台頭によって種牡馬評価も爆上がりになりつつあったキタサンブラックの産駒、そしてヴァンドギャルドの半弟でもあるソールオリエンスである。直線では2頭が後続を5馬身突き放すマッチレースとなったが、ソールオリエンスにクビ差敗れ、新馬勝ちを逃した。
中3週で臨んだ12月10日、マーカンドの継続騎乗で未勝利戦(中山芝1800m)に臨み、前走の鬱憤を晴らすかのように好位から逃げ馬を軽々と捉え、4角2番手から35秒6の上がり最速をマークして3馬身半差の快勝。この勝利によって「あの新馬戦の2頭は別格のようだ」と考えられ、ソールオリエンスも新馬戦を運ではなく実力で勝ったと評価され、その下馬評通りに年明けの京成杯を快勝。勢いは止まらず、ソールオリエンスは無敗でクラシック一冠目の皐月賞を勝ち取るという結果を残した。これがラジオNIKKEI賞とセントライト記念にて、同馬が収得賞金の関係で格上挑戦の立ち位置でありながら、上位人気となる要因となった。
3歳
だが、2歳11月のデビューは遅めの分類に入り、この時点で2歳重賞への挑戦は事実上断念。それでも、2歳12月に勝ち上がりを決めたため、3歳春季の間は、収得賞金のクラス分けの仕組みの関係で条件戦以外も挑戦できたが、1,2月の間は脚部不安に見舞われ、2月の共同通信杯などの3歳オープン戦への挑戦をいったん見送り、収得賞金を重視して、3歳初戦は2023年3月25日の1勝クラス戦(中山芝1800m)を選択。当日は1番人気に推されるも、不良馬場に脚を取られて逃げ馬をアタマ差捕まえ損ね、思わぬ昇級失敗を喫してしまう。
脚部不安の影響で短期間で出走するローテは避ける方を選んだうえ、収得賞金の観点からも皐月賞へ進むのはほぼ不可能となった。その次のクラシック、日本ダービーを検討するも、この時点での手持ちの収得賞金では弾かれるのは避けられず、本気で出走したい場合、ダービーの優先出走権のある青葉賞か京都新聞杯にて権利を取る選択肢しかなく、それは馬にとって負担のかかると言われているローテの選択肢しかなかった。最終的に馬の体調を優先して5月14日の自己条件(東京芝1800m)を選択。ダミアン・レーンを背に5馬身差楽勝し、2勝目を挙げるも、収得賞金的には日本ダービー出走は不可能であり、6月の出走もなかったため、いわゆる春戦線はここで終了した。
次走はラジオNIKKEI賞(GⅢ)。単勝1.9倍の圧倒的な1番人気で、ここは秋に向けしっかり収得賞金を積んでおきたいところだったが……前残りの展開になることが多いこのレース、戸崎圭太騎乗のレーベンスティールは中団から差しを狙ったものの、直線で進路に詰まり内で馬群を捌きながらの展開となってしまい、2着シルトホルンにハナ差3着。連対での収得加算すら逃してしまう、痛恨の結果となった。
ラジオNIKKEI賞の失敗によって、レーベンスティールはピンチに陥った。いくら「無敗の皐月賞馬に新馬戦でクビ差の馬」「勝ったレースはメチャメチャ強い」といっても、3歳夏季以降のクラス分けでは2勝クラスの収得賞金900万円の立場に過ぎず、このままでは菊花賞の勝ち負け以前にその除外の可能性に加え、何も策を立てなければ秋戦線の選択肢が狭まる可能性すら出てきた。そこで3歳限定重賞の9月18日のセントライト記念(GII)への出走を選択。2着以上になれば収得加算ができ、この重賞は3着以上なら菊花賞の優先出走権を得られるため、最低でも3着を確保することを至上命題とした。そして、ダービーでは2着惜敗し菊花賞での二冠を狙うソールオリエンスもここを秋の始動戦としており、新馬戦以来のリベンジの機会が巡ってきた。
ジョアン・モレイラ騎乗のレーベンスティールは、外を回してきたソールオリエンスを1.3/4馬身抑え、新馬戦のリベンジを果たすと共に重賞初制覇。2勝クラスから脱出してオープン入りを果たし、淀行きの切符も確保した。しかし、先述の通り、このセントライト記念を最優先とせざるを得なかった都合もあり、レース後の田中調教師は「さすがに体がしぼんでいる感じ」とコメントし、放牧が決定。周囲は菊花賞へ向かうだろうと思われていたが、疲労が激しいことから菊花賞へ向かうことを断念した。国内戦をもう1戦行うか再び休養し4歳に備えるかと思われたが、次戦としてなんと12月の海外GⅠの香港ヴァーズ(芝2400m)を選択。だが、現地到着後スクミが出て最終追い切りを遅らすなど、状態が良くないことは報じられていたが、その情報があまり知られていなかったせいなのか、モレイラの継続騎乗やセントライト記念の勝ち方が過剰評価されたのか現地、国内オッズ共に1番人気に推される。その状態で迎えた本番は最下位完走。モレイラもセントライトの時と状態が違いすぎるというコメントを残し、田中調教師も後に「(結果的に)いい状態で臨めなかったのが一番かなと思います」コメントし、結果的に初の海外遠征兼GⅠ挑戦は失敗に終わった。
とはいえ、トウカイテイオーの血を引く馬がJRAの重賞を勝ちは、2019年の中山大障害のシングンマイケル以来で、平地に限れば2015年のサウジアラビアRCのブレイブスマッシュ以来となっている。
4歳
始動戦として新潟大賞典(GⅢ)を選択。鞍上に津村明秀騎手を迎え、能力だけ見れば、最上位と判断され、1番人気に推された。少なくとも、馬券内は堅いと思われていたが、レースでは精彩を欠いて11着に終わった。
次戦として、エプソムカップ(GⅢ、東京芝1800m)を選択。鞍上としてルメール騎手を確保するも、斤量としてトップハンデの59キロ。今回も1番人気に推されるが、同世代が精彩を欠いている点、前走の大敗、斤量の懸念から、馬に対する1番人気というより鞍上ルメールという点だけで評価されている感があった。だが、本番では一頭だけ別次元の走りを見せ勝利。終わってみれば、不安要素をすべて吹き飛ばす快勝で、おまけにレースレコード付きという内容であった。
秋を見据え、放牧に出され、次戦ついては未定となっている。