概要
ロキュータスとはボーグ集合体におけるジャン=リュック・ピカードの呼び名。
ボーグは集合精神に操られているので個体という概念を持たないのだが、彼らは地球侵攻に際して以前遭遇したピカードに目を付け、彼をボーグ・ドローン化して代弁者にしようと考えていた。また、同時にピカードの持つ知識を利用して惑星連邦の戦力を把握しようとも考えていた。
ただし、その目的故に完全な「同化」処置(人格や肉体の徹底的な改造)は行われておらず、洗脳の解除やボーグ・インプラントの除去は比較的容易な状態となっている。状況によってはピカードをボーグ・クイーンと同等の個体にすることも考えられていたようだ。
ストーリー
74話(シーズン3最終回)「浮遊機械都市ボーグ(前編)」にて、ついに本格的な侵攻を開始したボーグに対し、応戦を試みるUSSエンタープライズD。しかし、ボーグ・キューブの圧倒的な戦力には歯が立たず、艦内へ侵入したボーグ・ドローンによってピカード艦長は誘拐されてしまう。残されたクルーがキューブ内へ救出に向かうも、ピカードは既に同化手術によってボーグ・ドローン「ロキュータス」と化していた。
続く74話(シーズン4第1話)「浮遊機械都市ボーグ(後編)」において、ボーグはロキュータスを通して惑星連邦の戦術・テクノロジーを完全に把握。赤色矮星ウルフ359付近に集結した宇宙艦隊の艦艇40隻、クリンゴン帝国の援軍を全滅に追いやった(ウルフ359の戦い)。更にキューブは惑星連邦本部のある地球への侵攻を続けるが、エンタープライズDの艦長代理となったウィリアム・ライカーはロキュータスと交渉するふりをして、反物質スプレッドを散布しつつ攻撃を実行。その隙にウォーフとデータ少佐をキューブ内に潜入させ、ロキュータスの奪還に成功した。
しかしキューブの侵攻は止まらず、ロキュータスから情報を聞き出そうにもすぐに洗脳を解除することは難しい。ライカーは最終手段として特攻を決断しかけるが、その時ロキュータスが「休みたい」と言い始める。ピカードが微かに残された意志で打開策を示唆しているのだと気づいたデータ少佐は、ロキュータスを介してボーグ・ドローンの休息コマンドを実施。キューブの機能を停止し、自爆へ追いやることに成功した。
こうしてボーグの侵攻は阻止され、ピカードも治療を受けて元の姿に戻ったが、彼の心は同胞を殺戮したトラウマが残される事になった。加えて同化の影響は残存しており、劇場版第8作「ファーストコンタクト」における第二次ボーグ侵攻の際、キューブの弱点を看破するきっかけともなった。
また、ウルフ359の戦いで艦と妻を失ったベンジャミン・シスコ司令は、敗戦の元凶たるロキュータス=ピカードに対する、拭い去れないわだかまりを抱くことになった。
余談
放送当時、主人公のピカードが敵に回るというクリフハンガー展開は大きな話題を呼び、低迷していた番組の人気を取り戻すきっかけとなった。演じたパトリック・スチュワート自身も通りすがりの女性ファンから「あなたのせいで(続きが気になるあまり)夏が台無しになった」と声を掛けられ、番組の成功を肌で感じたという。