概要
『万能文化猫娘』とは、高田裕三の漫画作品、またはそのアニメ化作品のことである。1990年に『Weekly漫画アクション増刊・増刊王』(双葉社)で連載していたが、同誌の休刊などによってわずか3回の連載で終了した。その後1992年にOVAが発売され、1998年にテレビ東京系でTVアニメも放送された。これと平行してOVA版の新シリーズも発行。1998年のTVアニメ化を受ける形で『月刊少年エース』(角川書店)にてメディアミックス戦略のための高田の手による前倒し漫画連載『新・万能文化猫娘』がスタートした。それぞれの作品によって設定や物語が異なっている。2010年秋には万能文化猫娘ブルーレイディスクが発売される。
原作
大学に通う美女、夏目温子はキャンパスでも男性人気を集める才媛。だが、その正体は────
動物を使った生体アンドロイドの研究を続けていた夏目久作の唯一の成功例、NK-1124、これが彼女の正体だった。動物実験の失敗を繰り返し、学会を追放されたマッドサイエンティストの久作だったが、その実態は息子の龍之介をして「平凡な男は、平凡らしく」と言われてしまうくたびれ中年男だった。
夏目温子──ヌクヌクと久作、龍之介の、波乱万丈ながらも賑やかの生活が描かれていく────
概要欄にある通り、わずか3回で事実上の打ち切りとなった。旧OVA版から登場する晶子・ありさ・今日子はすでにデザインされていたそうだが、一旦はお蔵入りになってしまった。また、冒頭で瀕死のヌクヌクを抱えて泣く龍之介の姿は描かれているものの、そこに至る経緯も描かれていない。
旧OVA版
クリスマスの夜。三島重工に追われる夏目久作と息子の龍之介。その途中、龍之介は1匹の猫を拾う。しかしそこへ、三島の社長室直属特別遊撃隊の小板橋今日子と三田村ありさの乗る武装ヘリに発見され、ランドローバー・ディフェンダーIIを駆り逃げる久作と龍之介。だが、その最中、久作の運転ミスとありさの機関砲乱射で、龍之介の抱えていた猫は瀕死の重傷を負ってしまう。それに悲しむ龍之介を見た久作は、実験室から持ち出した試作アンドロイドNK-1124に視線を向ける。
一方、三島重工の社長・夏目晶子は、自社の膨大な研究費によって製作中だったNK-1124と、溺愛するひとり息子の龍之介を連れて逃亡した夫・久作を追いかけていたが、ある日、NK-1124の完成した姿と龍之介が偶然テレビに捉えられたところを発見。今日子とありさに久作の捕縛と、龍之介の奪還を命じるのであった────
多くの設定が旧OVA版初出とあるが、厳密にはこれ以前に発売されたドラマCD版を元に、映像作品としてリブートしたもの。並行してドラマCDも世界観を共有する別エピソードとして展開が継続された。
ヌクヌクが女子高生とされたのもこのシリーズから。
また、晶子・今日子・ありさが『タイムボカンシリーズ』の三悪のリスペクトであることも明かされている。晶子が高飛車な令嬢育ちの女社長という、高田裕三のデザインに基づいた設定とされている。
原作漫画版で描かれなかった部分を展開したという点で、後々テレビアニメというしがらみでガラリと設定を変えざるを得なかったTV版・新OVA版(『万能文化猫娘DASH』)に対して、コアなファンからは本作こそ本来の『万描』と評価されることもある。
当時流行した、『機動警察パトレイバー』(旧OVA版)に端を発するハーフクール6話の規格で、前半3話で久作・晶子の確執に始まるヌクヌクと三島の手勢との戦いからの晶子との和解、後半3話でヌクヌクが人間として生きることに限界が生じ始め、ラストはヌクヌクがふたたび猫に戻るというストーリーが予定されていたとの事。しかし、スタートダッシュが芳しくなく、第3巻が発売されたところで一旦打ち切られた。その後、路線を変更して当初の企画とは全く異なるスラップスティック調を取り入れた第4巻~第6巻が発売された。
なお、舞台は当時の練馬区とされており、第4話で爆発させたガスタンクや、第5話の舞台であるファミレスのモデルは当時実在した。これも、現在では珍しくなくなったが、当時は『パトレイバー』と本作ぐらいだった。
余談だが、最終巻第6話では原作の準ヒロインキャラ(龍之介と良い仲)である萩原佳美と、旧OVA版後半からの吉川詠美が揃って登場するが、声優が佳美がこおろぎさとみ、詠美がかないみかと、当時のロリキャラ声優の代名詞的な先輩後輩が共演している。
主要登場人物
原作から登場
旧OVA版から登場
TV版から登場
- 三島重三
- 石山紀子
- 石山桃子
『DASH』のみ
- 樋口博士