概要
槓子(明槓、暗槓は問わない)を三つ持った状態で和了すると成立する役。食い下がり無しの2翻。
役満を除く役の中で最も難易度が高い役、と言っても良く四暗刻、大三元、国士無双の役満御三家と比べても圧倒的に珍しい役である。しかし、2翻であり、不遇役と呼ばれる事が多い。
不遇役
そもそも大前提として1人で三回「槓」をする、という事自体が容易ではない。麻雀を実際にやったことがある人ならば分かるだろうが槓そのものを見掛けない局面の方が圧倒的に多い。そんな珍しい槓という行為を一人で三回も行うのだから成立要件を満たすことすら至難の業である。
そしてそもそも槓子を作るという事は前提として、暗刻が存在するかポンをした牌と同じ牌をツモる必要性がある。前者の場合、最初から暗刻を大明槓して槓子にする、ということはまず考えられない(オーラスなどでかなり不利な状況でドラ目当てで行うくらいか)。
暗刻が複数存在すれば三暗刻や四暗刻などの役が見える上、大明槓をしてまで門前というアドバンテージを崩す必要性は薄い。手牌を下手に晒してしまうと他のプレイヤーの警戒度も高まり和了が難しくなるためである。
一方、後者の場合はポンをした後に運良く残る1枚をツモる、という必要があり、やはり確率がかなり低い。
更に一般的なルールでは複数のプレイヤーで四回槓を行うと四開槓で流局(四槓散了)となる。その為、もし他のプレイヤーが槓を行った場合、三槓子で和了するには既に三槓子状態で、相手の槓の後の捨て牌で和了するか、自分の3回目(全員合わせて4回目)の槓した時に嶺上開花で和了するの2パターンしかチャンスが無くなってしまう。その為、仮に三槓子の状態まで漕ぎ着けたとしても、それを恐れた他のプレイヤーに適当な槓をされて流局に持って行かれるケースは決して珍しいことではない(流局にする事が目的なのだから役が無くなる槓だろうと問題は無い)。
そして2回槓をした時点で最低でも二副露していることが多く、例え残る一つ暗刻やポン済の明刻があったとしても、その時点で既に聴牌していることが多く、槓材(槓するための牌)を得る前に和了することが多い(大体の場合対々和などの形になっているため役が無いというケースも稀であろう)。
そして、四開槓にされなくとも、槓を数回した時点で一般ルールでは槓ドラが増えるため、三槓子の時点でドラが4つになっており裏ドラ目当てで立直を狙ってくる者やドラを恐れてベタ降り(またはスピード和了)される事も多い。加えて三回槓をした時点で手牌が4枚しかない、つまり放銃の危険性が高く、結果として折角三槓子の聴牌になったとしても和了出来ない、というケースが多い。
そんな高難度の割には食い下がり無しの2翻役と他の役が無いと実は大して強い役でも無い(一応対々和と複合しやすく、これができれば満貫確定)。勿論符数は高くなるだろうが抑も4翻を超えれば満貫以上で符数は関係無いためハイリスクの割にはリターンが少ない役であるといえる(3翻でも50符以上は確定するため満貫になる事が多い)。
強いて言えば3回全て暗槓ならば必ず三暗刻と複合し、また立直をかけて大量の裏を乗せる(ドラが4種類になるので裏も4種類になる)期待値が高いのは利点である。とはいえ、3回も暗槓出来る確率はかなり低く、寧ろ他家に立直を掛けられる危険性が高いだろうが。
ローカルルールでは三槓子を役満とし、四槓子をダブル役満とする場合もあるようだがそれでも上述のように下手な役満より出にくい為、釣り合っているかというと微妙であるといえる。
中国麻雀では32点役『三槓』が本役に相当する。