概要
支配者(ドミニオン)と呼ばれる精霊に準ずる程の力を持つとされる準精霊の1人。
本名、及び霊装は不明。無名天使の名称も不明だが、描写から自身に忠実で明確な意思を持った人形を生み出したり、対象者を人形に作り替えてしまう能力を持つ。隣界の支配領域は“第一〇領域”。
支配者たちの中でも特に謎に包まれた存在で、その姿は誰も見たことがなく、各界の支配者たちが集まる会合にも自身の無銘天使で作り出した人形を介してか出席していなかった。そんな行為を繰り返していた為、同じ支配者の中には不信感を抱いて使いを密かに送り込む者もいたようだ。
何の目的か自身の代表として彼女の側近にして、一番お気に入りのリュコスと朱小町の2人の二人形たちを運営者とした殺し合い(バトルロワイアル)を主催している。
関連項目
以下、物語の核心に迫るネタバレに付き閲覧注意‼
実は彼女、生まれつき病弱なのか、隣界へと迷い込んだ時からベッドに寝たきり状態で体が全く動けない状態であり、隣界に来た当初は誰からも見向きもされない、ただ消失(ロスト)を待つだけの存在であった。
そんな境遇であったことに加えて友達も親友も誰一人としていなかった彼女は、無名天使で生み出した人形たちだけが唯一の友達であった。
しかし“第一〇領域”に住んでいる準精霊の少女たちは“戦うことで生きる望みを見出す”という好戦的な性格の持ち主が大多数を占めていた為、せっかく作った人形たちも“おぞましいもの”、“侮辱するもの”として次々に破壊されてしまい、自身もいつ命を奪われるか判らないという恐怖に怯える日々を送っていた。
そんな事態を打破するべく、無名天使で作り出した大多数の人形たちにより圧倒的な物量による圧殺戦法で、次々にバトルマニアの準精霊たちを葬り、葬った彼女たちを自身の能力で友達(人形)に作り替えて徐々に力を付けていき、それでも安心できない彼女は今まで集めて来た霊結晶(セフィラ)を餌としたバトルロワイアルを開催。
自身が目を付けた目ぼしい戦闘狂の準精霊の少女たちに殺し合いをさるのと同時に、自身の代理人を密かに参加させて最後まで生き残った準精霊の少女を斃して参加者全員を自身の友達(人形)に作り替えるという行為を繰り返し、自身の安全と安心を得る為にいつ終わるとも知れない死の連鎖を永遠と繰り返していた(その過程で緋衣響の友人であった陽柳夕映もその犠牲となり、響の恨みを買い、彼女の仇として命を狙われる事となっている)。
よって彼女の主催しているバトルロワイアルは実際には絶対に主催者自身の代理人である人形が勝つように仕組まれた出来レースであり、一度参加者に選ばれると辞退した瞬間に彼女の友達(人形)に作り替えられる運命が待ち構えるという絶対に抜ける事の出来ない恐怖のデスゲームである(事前にその情報を知っている者もいるようだが、結局強大な力を得られるかもしれないという誘惑に負けて参加してしまう)。
この事からも分かるように卑劣な性格をした狡猾な策略家ではあるが、裏を返せば本来の彼女は小心者にして臆病な性格の持ち主という事でもあり、その本質が彼女を狂気に駆り立てた最大の要因である。それ故に、本心では自身の喪失(ロスト)を願っていた節もある。
自身がどんなに背伸びしても勝つ事の出来ない真性の精霊には絶対に手を出さないと誓っていたのだが、真性の精霊である時崎狂三(の姿を借りた緋衣響)と、彼女と共にやって来たエンプティ(の姿をした本物の狂三)の本質を見抜けなかったことが仇となり、友達(人形)に作り替えるという準精霊の少女たちを侮辱するような行為に怒りを覚えた本物の狂三に人形軍団を全て破壊された挙句に、本体が隠れていたバトルロワイアルの会場であった学校の屋上から引きずり出される羽目となってしまった。
最終的には、彼女の本心を悟った響に狂三から借りた刻々帝の銃で心臓である霊結晶を破壊され消失(ロスト)。やっと恐怖に怯える日々から解放された事で安全と安心を得た為なのか、その顔は安らぎに満ちた寝顔の様であった…………。
なお、彼女の死後、第一〇領域で喪失する準精霊の数は激減している事が語られている為、どれだけの数の準精霊たちが犠牲になっていたのかが窺い知れる。
人形遣いの代理人たち
指宿パニエ(いぶすきぱにえ)
人形遣いが主催するバトルロワイアルの参加者の1人である準精霊の少女。
ピンク色のロリータファッションの幼い少女で、幼い見た目同様に舌足らずな口調をしている。
霊装は<旧糸霊装・五二番(ヴィクトリア)>。発言する無名天使は青銅製の巨人の姿をした<青銅怪人(タロス)>。CVは日高里菜。
バトルロワイアルが開始された後、シェリ・ムジーカと対峙が、圧倒的な戦力差の前に殆ど歯が立たず、命乞いするものの聞き入れてもらえないまま<炎魔虚眼(セクメト)>で屠られ早々に乃木あいあい、佐賀繰唯に続き第三の脱落者となってしまった……………。
と思われていたが、その正体は後述するフォルス・プロキシと同じくデスゲームの主催者である人形遣いの無名天使で作り出された人形=人形遣いの代理人。
その体内にはフォルス・プロキシ同様に無数の人形たちが蠢いており、彼女の無名天使<青銅怪人(タロス)>も同様に内部に入っている無数の人形たちで動かしている操り人形に過ぎない。
人形遣いの主催するデスゲームの本質を知っていたシェリ・ムジーカによって早々に屠られたのだが、正体が正体だけにその後何事も無く登場している。
なお、彼女の容姿は人形遣いにそっくりだという文面が観られる事から、どうやら人形遣い本人の姿をモデルに作られた人形であるようだが、詳細は不明。
案外、彼女は人形遣いの分身のような存在であったのかもしれない。
フォルス・プロキシ
霊装は<虚空霊装・九一番(マスターマインド)>。無名天使は<不可視指(ギュゲス)>。
一言も喋る事も無く、全身を包帯でぐるぐる巻きにしているその外見同様に不気味な容姿をした準精霊の少女だが、それもそのはず、その名が示す通り指宿パニエと並ぶ人形遣いの代理人の1人で、その実態は準精霊などではなく人形遣いの無名天使で作られた人形たちの集合体。
戦闘時には口から体内(?)に無数に蠢いている準精霊の少女を改造して作られた人形たちを吐き出し、その圧倒的な物量をもってして相手を圧殺する。よって彼女には無名天使なんぞは存在しない。
ちなみにバトルロワイアルには人形遣いの代理人は1人しか参加していない事もあれば、数人が参加している事もあるようで、事前にこの事実を把握していたシェリ・ムジーカも、彼女の正体に気づかずに油断していた所へ不意打ちで襲い掛かり葬り去っている。