「……フン。お人好しなんだよ、お前は」
概要
東都大学付属病院に勤務していた外科医で、仁野環の兄。
1年前の夏、自宅で右側の頚動脈を切って死亡した。死亡した当時は泥酔していたこともあり、後述のように動機と考えられる出来事もあったことから、警察は自殺と断定した。事件当時35歳。
人物像
性格・腕ともに最低な医者。生前の同僚からも「金に汚く、腕はサッパリ」と酷評されており、死亡する数日前にも手術ミスを患者の家族から訴えられていた。警察はこれが自殺の動機だと判断していたが、妹の環には「兄は患者のことなど考えておらず、手術ミスを詫びて自殺するような人間ではない」と自殺説をはっきりと否定され、保の死は他殺であるという確信を持たれている。
環には激しく嫌悪されており、事件の調査をしているのも「兄の敵討ちなどではなく、ただ真実が知りたいだけ」とコナンに話している。
7年前には、心臓病の患者の手術を担当した際に、共同で執刀していた医師の腕を誤ってメスで切ってしまい、それが原因でその患者は亡くなったという。
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以下、ネタバレ注意
妹の思った通り、保の死は他殺だった。
発端となった出来事は、7年前の心臓病の患者の手術を担当した件。共同で執刀していた医師の腕を保が誤ってメスで切ってしまったという話であったが、その腕を切られた医師こそが今回の事件の真犯人である風戸京介だったのだ。
当時の風戸は東都大学付属病院に勤務しており、「黄金の左腕」と称される優秀な外科医だったが、この一件で利き腕(左腕)の手首を負傷したことが原因で外科医としての生命を絶たれ、心療科医に転向して米花薬師野病院に移っていた。
それから6年後、風戸と偶然再会した保は彼を自宅に誘い、一瞬に酒を飲む。この際、風戸は酔った勢いでそれまでずっと心に抱えていた疑問を保にぶつけた。
「あの事故はわざとだったのではないか?」
すると、酔って気が大きくなっていたからなのか、保は風戸を嘲笑いながらあっさりと真相を暴露する。
「……フン。お人好しなんだよ、お前は」
そう、保は風戸の腕を誤って切ってしまった(過失)のではなく、わざと切った(故意)のである。風戸にとって、保に対する殺意を抱くには十分な出来事であり、保はその場で自殺に見せかけて殺害されてしまった。
この他、自身の殺害とは直接の関係はなかったが、裏で病院の薬の横流しも行っており、それを小田切敏也(小田切敏郎の息子)に知られて恐喝されていたという事実が捜査の過程で発覚。敏也も警察から事情聴取を受けることになった。
総じて彼は医者としても人間としても最低であり、風戸をはじめとする多くの人々の人生を狂わせた元凶としか言いようがない(むしろ、こちらの作品によく登場する医療関係者に近い)。
だが、前述の通り「手術ミスを詫びて自殺するような人間ではない」と言い切られるなど実の妹からも心底軽蔑されるその人間性ゆえに自殺の動機を疑われ、皮肉にも事件が再捜査されるきっかけになった。