概要
個人防護装備は、陸上自衛隊の全隊員に貸与されている防護服である。
化学科部隊や1部の精鋭部隊は最新型の18式個人防護装備が配備されている。
陸上自衛隊の他、警察にも00式と同様の白色無地の物が配備されている。
陸上自衛隊と警察の合同訓練で迷彩柄の防護衣を着用した自衛官と白色無地の防護衣を着用した警察官が協力して除染を行う姿が公開されている。
服の上から着用するため、すこし大きめのサイズが貸与されることが多い。
構成
- 防護マスク
- フード
- 上衣
- 下衣
- インナー手袋
- ゴム手袋
- オーバーシューズ
- 大人用オムツ
- 補修用シール
- 簡易検知紙
- 携帯除染具
特にオーバーシューズは名前の通り靴の上から履ける靴という高性能なものであるはずだが、半長靴とのサイズがあっていないのかキッツキツの隊員が多く、そういった隊員の多くは半長靴の上にビニール袋を履いてからオーバーシューズを着用する等の創意工夫をしている。
特徴
迷彩柄の布製防護服で、85式防護マスク4型及び旧迷彩柄の88式戦闘用防護衣の後継として採用された。
戦闘装着セットの迷彩服と同程度の熱・火炎防護性及びIR偽装性を持つ。
旧式の88式戦闘用防護衣には排尿機能が着いておらず、地下鉄サリン事件で約8時間もトイレを我慢した隊員が一斉にトイレに駆け込む事案が発生したため、排尿を目的とした装備が封入されているが、どこからどう見てもオムツである。
有事の際はともかく演習等では大人としての尊厳を失いたくないのかオムツをつける隊員は基本的にいない。
防護マスクは専用のチューブを接続することで水筒と接続することができ、防護衣を着用したまま水を飲むことが可能である。
化学科器材ではあるが、全隊員に配備されているため、駐屯地の記念式典の装備品展示で化学科部隊が所属しない駐屯地でも展示されていることがある
逸話
防護服というのは毒ガスを浸透させない、入れないことが最も重要視されるものであるが、この防護衣の前に配備されていた88式戦闘用防護衣を上九一色村施設の強制捜査の際に防護服を配備していなかった警察に貸し出した際に腕章を安全ピンで取り付けたためにその防護衣が使えなくなったという逸話がある。
穴が空いてしまうとそこから毒ガスが侵入してくるため絶対にやってはいけないのである。
挙句、貸し出した防護衣のうち穴をあけられなかったものは脱いだものをいい加減にまとめたのか、丸いめた状態であったり部品に不足がある状態で返還されたため、丸ごと廃棄になったが警察からの弁償は無かったそうである。
一応フォローしておくと、一連のサリン事件は前例のない都市部での毒ガステロであったために警察には経験がなく、機動隊員のうち自衛隊による教育を受けることが出来たのはごくわずかでそれも数日前という直前であり、多くの機動隊員は教育を受けないまま渡されたために正しい使い方を知らず、普段支給される上着のような扱いをしたと推測される。
00式と18式の比較
00式個人防護装備と18式防護装備の違いは大きくわけて3つである
- 素材
- 防護マスク(ガスマスク)の形状、性能
- フードの形状
それぞれ解説すると
素材
00式に比べ、18式では素材がより高性能なものに変更され、エアロゾルへの防護性能が強化された。
防護マスク
00式では毒ガスを吸収する吸収缶が1つ取り付けられるが、18式では吸収缶が小型の物が2つになっている。
これは従来の00式では89式小銃を射撃する際に頬付けができずに上手く狙うことが出来ないという欠点があったが、18式では右利きにしろ左利きにしろ反対側の吸収缶を取り外すことで容易に頬付けすることができるようになっている。
また、00式防護マスクが2枚のレンズが着いていたのに対し、18式防護マスクでは両目が繋がった1枚の大型レンズに変更されており、視界が向上した。
00式では視力が低い隊員は専用のメガネをわざわざ製作していたのに対し、18式では鼻部分が繋がった事によりメガネを着用したまま装着できるようになった。
00式防護マスクの見た目は、若干異なるが漫画家鳥山明先生の自画像を想像すると2枚のレンズ、1つの吸収缶という特徴がわかりやすい。
レンズを保護するアイピースカバーという部品が存在し、これは簡単に取り外し、交換が行えるため、交換するためには整備部隊が行わなければならないレンズ本体を保護することができる。
また、防護マスクの形状に合わせて防護マスクを収納、携帯する携行袋の形状が18式ではよりコンパクトになった。
防護マスクの携行袋は大きくわけて2種類あり、蓋の部分を固定する部品が弾納などと同様のボタン式ものと、より気密性を高めて本体が汚染される可能性を極限したマジックテープのものがある。18式はマジックテープのものしか存在しない。
ボタン式の携行袋は順次更新されており、現在では予備の防護マスクで使用されていることが多い。
フード
フードは防護衣を着用する際に予め防護マスクを取り付けておいて直ぐに着用できるようにするのだが、フードに空いた防護マスク取り付け用の穴が防護マスクの形状変更に伴いこちらも変更された。