僕のお父さんは 齢60を超える 「光の戦士」だ
概要
2014年、原作者のマイディー氏がファイナルファンタジー14(以下FF14)の友達招待キャンペーンを切っ掛けに、ゲーマーである父親をFF14に誘い、正体を隠したままゲーム内で「親孝行」するという計画を、自身のブログに綴ったのが事の始まり。
高難度ダンジョン「大迷宮バハムート」のボス・ツインタニアの撃破をゴールに定め、FC(フリーカンパニー)のメンバーを巻き込み、佳境になってきた頃には各種メディアからも注目されながら、蒼天のイシュガルド発売2日前の2015年6月17日に見事に計画を完遂させた。
このブログをドラマ化に当たって一冊の本にまとめたのが書籍版となる。
ドラマ版と映画版までの歩み「光のぴぃさん」「光のでぃさん」
ドラマ化以前にもメディア化の話は幾つか持ち上がっていたが、オンラインゲームに理解のない、光のお父さんという題材をただの金づるだと思っている企画担当者ばかりでマイディー氏を辟易させるばかりだった。
神経を擦り減らす日々を送る中、ある日とある人物が光のお父さんをドラマ化する企画を立ち上げるために許可を頂きたい、という趣旨のコンタクトを取って来たのを機に状況が一変。
この企画人である「ぴぃさん」はかつて映画業界に居たものの紆余曲折の末に業界に疲れ果て、今はゲーム業界に籍を置いていたのだが、光のお父さんの物語を切っ掛けに映像作品への熱い思いが蘇り、かつての夢を叶えるためにゲームブログのドラマ化という前代未聞の企画に「挑戦」する事を思い立ったのだという。
他の企画担当者とは全く違う熱量と覚悟を悟り、これを快諾したマイディー氏の「オンラインゲーム讃歌をもっと大きな場所で描きたい」という夢と、ぴぃさんの「今度こそ背を向けること無く映像を作りたい」という夢を実現させる戦いを描いたのが「光のぴぃさん」、完成したドラマを制作陣とともに振り返るのが「光のでぃさん」となる。
主要人物(ドラマ版/劇場版)
ドラマ版ではコピー機メーカー、劇場版では広告代理店に務める普通の会社員。
子供の頃からのゲーム好きで父ともよく遊んでいたが、
幾つものすれ違いが重なった結果最近では会話もなくなり、距離を感じている。
父親の本当の姿を知るべく自らの正体を隠してFF14の世界に誘う事を思いつく。
光のお父さん。どちらの映像作品でも仕事一筋で重役昇進も確実と言われていたが、
ある日突然家族への相談もなしにその話を蹴って突然会社を辞めてしまった。
FF14の世界での交流を通じて誰にも明かさなかった彼の心にも変化が生じていく。
- スタッフ:
- 実写パート監督:野口照夫(「演じ屋」「オトメン」)
- エオルゼアパート監督:山本清史(「ドラゴンズドグマ」「真・三國無双MULTIRAID2」)
- 脚本:吹原幸太(「ゆうべはお楽しみでしたね」「ウルトラマンZ」)
小ネタ
- ゲーム内を描くエオルゼアパートは実際のFF14を利用し撮影され、ミコッテのマイディーを含む主要メンバーの大半もキャラ本人の中の人がエモートを駆使して演じている。特にドラマ版においては映像収録では開発チームの助けを一切借りず、実際に稼働中のグングニルサーバーでの撮影を行っている。これは「制作に神(運営)の力を借りてはユーザーの物語ではなくなる」「FF14というツールだけでこれだけ撮れるんだ、後に続くならやってみろ」というエオルゼアパート監督・山本清史氏のこだわりであるとか。
- 主題歌はドラマ版(the other end of the globe)、劇場版(COLORS)共にGLAYが担当。ボーカルのTERU氏はこの際に南條さんに送るはずのメールをマイディー氏に誤爆するといううっかりがきっかけで交流を始め、自身もエオルゼアに降り立つ事となった。
- 映像作品内でのお父さんはゲームを触るのはファミコン以来と描かれているが、モデルとなった現実のインディ氏はFPSやモンハンシリーズもバリバリこなすゲーマー。MHWやSEKIROも嗜んでいる。
- 原作者のマイディー氏は劇場版製作中の2018年に癌を患い、劇場版公開から1年と少し後の2020年12月、闘病の末に帰らぬ人となってしまった。これに際して吉田Pをはじめとして様々な方からメッセージが寄せられている。→マイディーさんへ(YouTube)/FF14公式ブログ"親愛なる友人であり、同志であるあなたへ。"
- その後、2024年1月に山本監督のSNSにて、父インディ氏の逝去が報告された。エーテルの果ての親子の旅路が健やかであることを祈りたい。