永琳と薬
東方Projectに登場する八意永琳にまつわる二次創作の一つ。
永琳は原作において「あらゆる薬を作る程度の能力」を持ち、『東方永夜抄』以後、居住する永遠亭が世間に開かれた事と合わせ薬師として活動するようになった。
その腕前は人間の里でも評判となっている様子(『東方求聞史紀』)で、「 天才 」八意永琳は高度な医療技術・製薬技術を通して今日の幻想郷で人々を助けている。永琳の製薬技術は妖怪にも対応しており、人間用の薬と妖怪用の薬とを製造する事が出来る。診療も行っており、人間妖怪分け隔てない様子である。
永琳が作中で生み出した薬の一例としては、蓬莱山輝夜との共作である永遠の命をもたらす「蓬莱の薬」(『永夜抄』他)、「 未来を体験する力 」をもつ「紺珠の薬」(『東方紺珠伝』)等がある。
さらに胡蝶夢丸(~ナイトメアタイプ含む。『東方文花帖』)や兎が興奮したり精神的にハイになる薬(『東方儚月抄』漫画版、4コマ版)等もつくりだしている他、メディスン・メランコリーの毒を利用した薬の研究(『東方花映塚』)や製薬のための資源となる植物の栽培(『東方三月精』)なども行っている。
永琳の製薬技術などはこれまで蓄積したものを放出するだけでなく新たに知識や体験を得ることで深化を続けている様子で、千年以上に渡る間柄である輝夜は永琳が新しい体験に開かれている様子をしてその博識さの由来は「 何にでも挑戦する所にあるのか 」とも考察している(『儚月抄』)など、永琳の智はさらに成長を続けている様子が描かれている。
なお永琳によって生み出された薬について、実際にそれを人々の手に届けるための人間の里などでの販売については鈴仙・優曇華院・イナバが当たる。しかし鈴仙は対面販売を苦手としている様子である。
鈴仙は人間の里での規約もあって変装した姿(例えば鈴奈庵鈴仙にみられる変装)で行商し、自身の能力である「波長を狂わす程度の能力」も駆使しながらこれを行っているという営業販売としての苦労がある。
「八意製薬」
二次創作においても薬を通した永琳の様々な表情が描かれる事があり、「八意製薬」もその在り方の一つである。pixivでは実際の製薬会社の広告や製品パッケージのパロディなどもみられる。
ストーリーとしては例えば永琳の製薬技術を中心的な基盤資源として組織化・体系化ないしは企業化したものとして語られるケースなどがある。
そのあり方は創作作品ごとに様々で、近代的に産業化されているケースもあれば、街の薬屋さんにも似た身近なものの感覚で捉えられる事もある。例えば販売から営業までを独自に産業化した企業としての「八意製薬」としての描かれ方や永琳の二つ名の一つである「竹林の薬屋さん」のイメージにも近い素朴な薬売りとしての描かれ方などである。
薬を実際に作り上げるのも永琳本人や永遠亭の兎たちである事が多い。
兎たちの餅搗き(薬搗き)もまた「八意製薬」の主たるパワーになる。
ただし作品によっては『月のイナバと地上の因幡』で描かれたような兎たち(モブイナバ)によるストライキが想像される事もあるなど、その経営は一筋縄ではいかない。機を見るに敏な因幡てゐが、自身と配下の兎たちの待遇を向上させる絶好の好機を見逃す事もないだろう。
また永琳にまつわる二次創作の延長という事もあってその製薬技術は時に特殊な目的を主軸に発揮されることもあり、特にR-18的展開において何らかの目的に志向される特殊な薬品パッケージにその名称が登場する事もあるなど、永琳本人の登場が無くとも「八意製薬」の印字やロゴ等を通してその姿が存在感を示す事もある。
「八意製薬」には「八意永琳の薬に出来ない事は無い」というイメージを象徴的に具体化する装置の一つという位置づけもあり、同時に「八意製薬」というフレーズそのものが圧倒的な意味を醸すものでその言葉だけで有無を言わさぬ納得感を与えるのである。
物語の展開などを見る時、時には展開を一気に短縮する要素や超展開を通す要素ともなるものでもあるが、便利すぎるがためにこれが御禁制の一包と見られる事もあるため扱い方には注意が必要である。「八意製薬」そのものについても、用法用量のバランスが大切となるようである。