解説
長時間に渡る動画の一部を編集で抜粋すること。また、そういった動画全般を指す。
このような動画を投稿する人は「切り抜き師」とも呼ばれている。
主にYouTubeでこの投稿スタイルが盛んに行われており、中でもバーチャルYouTuber(VTuber)の動画配信を対象とした切り抜き動画が多く投稿される傾向にある。
VTuberの動画配信は最短でも30分〜1時間、最長だと12時間直前にまでなり、リスナー側も視聴を継続するのに時間の余裕が求められつつある。
「切り抜き動画」という利点
そういった余裕がないリスナーには配信の要所要所のみを的確に見られるのでありがたい存在でもあり、VTuber側も知名度の向上に繋がるので切り抜き動画の投稿を許容・推奨している事が多い。
実際に切り抜きから興味を持ってファンになったリスナーも多く、VTuber側も切り抜きの話をしたり自ら切り抜き動画を投稿する事もある(Twitchではクリップという似た機能があるが、視聴期間に制限がある)。なお、AVTuberの場合は扱うコンテンツの関係でチャンネルが飛びやすいため、切り抜き動画の存在は貴重である。
切り抜きの傾向とルール
切り抜き師の数だけテロップや立ち絵など編集も様々で箱推しもいれば特定の推し中心など切り抜きはほぼ毎日たくさん投稿されているので見比べて見るのも一興。
また、音声のみを切り取って自作の漫画やアニメーションとして表現する動画も多く存在し、こちらも人気が高い。
自作の漫画やアニメーションで表現している切り抜き師は歌ってみたのMVなどで企業から案件をもらうケースも存在している。
ただし、企業勢Vtuberの切り抜きを投稿するには特定のルールが設けられている場合もあり、投稿の際には規約などの文面があればしっかり目を通しておくなど、注意が必要。
また、一部ではサムネイルの時点で誤解や悪印象を与えかねない悪質な切り抜き動画も散見され、問題となっている。
切り抜きは基本的に切り抜き運営チャンネルの自己責任で行われる。その上で広告収入の収益配分は切り抜き元動画のチャンネル運営者と協議の末に決まる。つまり切り抜きは切り抜き師の善意が無ければ成り立たないコンテンツと言える。
「切り抜き」に含まれない「切り抜き」
当然ではあるが、動画の作者が切り抜きを許可していなければ著作権侵害となる。
切り抜き動画の中にはアニメや映画、ラジオといったものを無断で投稿しているものもあり、それらは切り抜きではなく、違法アップロード動画として扱われる。
このような動画を見つけた場合、公式コンテンツ等の著作元やYouTubeの運営への速やかな報告が推奨される。
過去にはこの違法アップロード問題により逮捕者が出た事もある。→ファスト映画
主な悪質切り抜きの例
主にこういった悪質切り抜きが増えるのは、VTuberによる配信が基本的に長時間であることに由来しているのが殆どである。
- 配信者本人が配信を終える前に切り抜きをアップロードする(実際、これのせいで配信者本人のアーカイブが複製と見なされて収益化が停止された例がある)。
- 主な原因はVTuber本人の配信中に該当する切り抜きを作成して限定公開し、配信が終わると同時にアップロードしているため。
- 本人が言ってもいないことを音声を繋ぎ合わせて言ったことにする。
- 例:「私はカレーが好き【だけど、ハヤシライスは好き】じゃない」→「私はカレーが好きじゃない」(【】が本来入っているべき言葉)
- VTuberがMMDを配布している場合、それらを使ってlive2Dでは出来ないような表情に加工したサムネを作る。また、無暗に「!」や「照れ」などのエフェクトを被せて大げさにする。
- 配信内ではイヤらしいことを一言も言ってないのに「受け取りようによってはそうとも聞こえる」表現を言ったように錯覚させられる。
- 時間稼ぎのために本題に入るまで全く関係の無いシーンから始まり、本題は残り1分程度しか切り取らない。
- 例:10分程度の切り抜き動画でサムネイルでは「〇〇が好きな料理を語る!」と載っているのに好きな料理について語ったのは残り2分前など。
- これはYoutubeの収益システムの都合、動画時間が8分を越えると広告が入る余地が生まれ、投稿者に収益が分配されるようになる事に起因する。
- 「実は〇〇だった」「××な理由は―――」など大したこともない言動をさも重大なことに見せかける。
- 例:「〇〇に新衣装がなかなか実装されない理由とは―――」→「デフォルトで3DモデルのVTuberなのでデータ作成に時間がかかるため」
- 例:A「Bちゃんにガチギレしました」、B「反省してます」その理由は……→「イベント中にB以外のメンバーも騒いでいたのでまとめて注意しただけ」
- 1時間程度の短い配信の内のほぼ8~9割を切り抜き動画にする。
これらの行為により、切り抜き自体を好意的に見ていないユーザーも増えている。
そしてこういった動画は大抵、配信者へのリスペクトなど二の次で利益ばかりを訴求する企業や切り抜き師により粗製濫造されているのが現状であり、そして(あえて言葉を選ばず言うなら)こういった動画サイト版マスゴミによって、良質な切り抜きまで一緒くたに嫌厭される、という事態に陥っている。
悪質切り抜きを避けるには
なお、悪質切り抜きを避けるには上記の悪例を逆利用すれば良い。
- やたらと主語の大きいタイトル
- 元動画が長くないはずなのに、やたらと長い(特に8分以上)切り抜きばかり
- 専用切り抜きチャンネルでもないはずなのに、流行に乗ったチャンネル名
- 何かネガティブな出来事があった際、いわゆる「お気持ち表明」ばかりを執拗に取り上げる
このような切り抜きチャンネルは自己の利益のために、本来敬意を払うべきネタ元の配信者すら食い物にしている可能性が非常に高い。
そっとブロックし、悪質なら通報もしてしまうと良いだろう。
関連タグ
邪神ちゃんドロップキック:違法な切り抜きを問題視し、公式が最速で切り抜きを行う展開となった。詳細はリンク先を参照。